犬が死ぬ可能性のある『口の病気』4選 日頃からすべきチェック方法や効果的な予防策まで
1.歯周病
犬の歯周病とは、歯垢の中にいる細菌が原因で歯肉が腫れて炎症をおこす病気で「歯肉炎」「歯周炎」の総称です。歯周病は、犬の口の病気のなかでもっとも一般的なもので、3歳以上では8割が歯周病だとも言われています。
歯茎の炎症が進行すると、歯を支える骨が溶けていき、最終的には歯が抜けてしまいます。さらに歯周病が悪化すると細菌が血液に入り込み、心臓や腎臓に影響を与える可能性があります。
歯周病の初期には「口臭」や「よだれが多くなる」といった症状が見られます。口臭がキツイと感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
歯周病の予防には毎日の歯磨きが効果的です。ブラッシングが難しい場合は舐めるだけでも効果が期待できる歯磨きペーストやジェルの使用、歯磨き用のおやつがおすすめです。
2.メラノーマ
メラノーマは、犬の口腔内や皮膚、目、爪などに発生する腫瘍で、口腔内で発生することが多い腫瘍のひとつです。口腔内に発生するメラノーマは、非常に悪性度が高く、進行が速いことが特徴です。
口腔内に発生するメラノーマの初期症状としては、以下があります。
✔口の中にしこり
✔出血
✔よだれが増える
✔食欲不振
✔悪臭がする
進行が速いため、発見時にはすでに肺やリンパ節に転移していることも少なくないと言われています。異常を感じたら早急に動物病院を受診する必要があります。
なおメラノーマは原因がわかっていないため、効果的な予防法もありません。
3.扁平上皮癌
扁平上皮癌は犬の口腔内に発生する悪性腫瘍のひとつで、口腔内ではメラノーマに次いで多いガンです。8〜10歳の中高齢の中型犬から大型犬に多い傾向です。
扁平上皮癌の多くは歯茎への刺激が原因だと考えられており、ドライフードや固いおやつなどが刺激となる場合があります。
口の中にできる扁平上皮癌は、あらゆる場所に発生する可能性がありますが、下あごの先の方にできることが多いです。
特徴的な症状としては、口の中にカリフラワーのようなできものや、赤いただれが見られるようになります。また扁平上皮癌の初期では、以下のような症状が見られます。
✔口臭がきつくなる
✔よだれが増える
✔出血
✔食欲不振
✔口腔内の腫れ
✔歯並びの乱れ
扁平上皮癌も明確な予防法はありません。定期的に口の中をチェックし早期発見に努めましょう。
4.線維肉腫
線維肉腫は、犬の口腔内に発生する腫瘍で3番目に多いガンです。腫瘍は、歯肉に発生しやすく、平たい、固い、ピンク色という特徴があります。
一般的にガンは中高齢に多く発症しますが、繊維肉腫は5歳未満でも発症することがあるため、若い犬も油断できません。
繊維肉腫のおもな症状は以下となります。
✔食事を摂ることが困難
✔元気がない
✔よだれが増える
✔出血
初期ではほとんど症状が見られず、ある程度腫瘍が大きくなるまで目立った症状は見られません。そのため気づきにくく、発見が遅れることもあります。
ほかの口腔内腫瘍と同様に詳しい原因はわかっていません。予防のためにも、定期的に口の中をチェックし、異常が見られたときは早めの対処が求められます。
まとめ
犬の命にかかわる口の病気には、歯周病やメラノーマ、扁平上皮癌、線維肉腫などがあげられます。これらの病気は、進行すると命に関わりますので、いずれも早期発見・早期治療がカギになります。
早期発見のチェックポイントは、歯や歯茎の状態、口臭、よだれ、食事の様子です。定期的に口の中をチェックして、いち早く異変に気づけるようにしましょう。
異常を感じたときは、速やかに動物病院を受診し獣医に相談することが大切です。
(獣医師監修:葛野宗)