ケリングがルノーのルカ・デ・メオ前CEOを新たなトップに任命 自動車業界の熾烈なグローバル競争に打ち勝ってきた手腕に期待
ケリンググループ(Kering Group)は6月16日、同日開催した取締役会での承認を経てCEO(最高経営責任者)にルカ・デ・メオ(Luca De Meo)を任命したと発表した。9月9日に開催される株主総会後、取締役会の決議を経た後、9月15日付でCEOに就任する予定だ。現在、フランソワ・アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)が会長兼CEOを務めているが、今後は会長として新CEOをサポートしていく。
新CEOに就任するルカ・デ・メオは、ミラノ出身の58歳。ボッコーニ大学で経営学の学位を取得すると、フィアット・グループやトヨタ・ヨーロッパなどでキャリアを積み、2020年7月にはルノー・グループのCEOに就任する。ルノー・グループの業績を5年間で回復させると6月15日に突如辞任を発表し、その動向が注目されていた。
ケリンググループの2024年12月期の通期決算は、売上高は前年比12%減となる171億9400万ユーロ(約2兆7338億円*)、当期純利益は同62%減となる11億3300万ユーロ(約1801億円)で、最終利益は前期から6割以上の大幅な減益となり、速やかな立て直しが求められている。
ケリンググループの旗艦ブランドである「グッチ(GUCCI)」は、2025年1月1日付けでジャン=フランソワ・パルー(Jean-François Palus)の後任として、ステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)をCEOを任命。さらに、サバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)に代わって、「バレンシアガ(Balenciaga)」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)をアーティスティック・ディレクターに起用する人事を行っている。
自動車業界からラグジュアリー業界への異例の転身となるが、フランソワ・アンリ・ピノー会長が述べているように、ルカ・デ・メオ新CEOは長年、国際的な上場企業グループを率いてきた統率力と、ブランドに対する鋭い洞察力が高く評価されている。「ランボルギーニ(Lamborghini)」の監査役会のメンバーや欧州自動車工業会(ACEA)の会長などにも選出され、人望も厚い。なによりも激化するグローバル競争に打ち勝ってきた手腕には、ラグジュアリー業界でも期待の声があがる。
新CEOに就任するルカ・デ・メオは早速コメントを発表しており、「グループのブランドの力、そして従業員の専門性に刺激を受け、この新たな挑戦に対し、私は情熱と意欲、そして自信を持って臨みます。ケリングをラグジュアリー業界における不可欠な存在へと共に成長させていくことを確信しています」と話している。
*1ユーロ=159円換算、決算発表当時のレートで換算