ベランダビオトープの<メダカ>が産卵! 母メダカの様子を様々な角度から観察してみた
筆者の家のベランダで作成したコンテナビオトープ。先日、そこで暮らすメダカが赤ちゃんを産みました。
子どもはいつの間にか生まれており、卵そのものはもちろん、母メダカが卵を産み付ける瞬間も観察はできていませんでした。
しかし根気強く観察を続け、ついに卵と、それを産み付ける瞬間を捕らえることができました。様々な機材を駆使して撮影したメダカの産卵シーンと共に振り返ります。
メダカの産卵は案外短い
メダカは日照時間と水温によって繁殖期を判断しており、野生では立春を過ぎたころから産卵が始まります。 筆者の作ったビオトープも野外設置のため、夏に差し掛かる今、産卵行動が見られるようになりました。
具体的には水温18~20℃を超え、約13~14時間の日照時間があれば、産卵のトリガーとなるようです。
メスは産卵した卵を腹部に抱えたまま泳ぎ、30分から数時間以内に水草などにこすりつけて卵を産着させます。また図鑑やネット等で調べたところ、産卵自体も夜明け前より始まり、日の出の明るくなる時には終わっているそうです。
天然メダカの場合、朝の4〜5時に行なわれることが多く、朝8時頃には終わるようです。朝が早く、また水草に産みつけるまでの時間も限られています。
屋内水槽での飼育ならガラス越しにすぐ観察ができますが、屋外設置のビオトープではなかなか観察が難しいです。それでも何とか観察してみたいと思い、毎朝仕事前にビオトープをチェックする時間を確保して、観察を繰り返しました。
卵を抱えた母メダカ(提供:みのり)
そしてようやくとらえました! 腹部に卵を抱えた母メダカです。
メダカの小さな身体に対して考えると、非常に大きな卵であることがわかります。おそらくついさっき生んだばかりなのでしょう。
ということは、このまま観察していれば水草に産み付けてくれるかもしれない……?
水草の上を這うように泳ぐ母メダカ
卵を産み付けてくれることを期待してしばらく観察していると、母メダカは普段は取らない行動を取り始めました。
マツモ(水草)に身体を擦りつけたり、上に乗り上げようとしているのです。
おそらく、お腹に抱えた卵を絡めて産み付けようとしているのでしょう。水面付近に浮かんだマツモの上を這うように泳ぐ姿も観察できました。
こうした行動を繰り返し行い、30分から数時間以内に卵を水草に絡ませて産み付けているのでしょう。
水中から動画撮影を試みる
主にビオトープの上から一眼レフを用いてメダカを撮影していましたが、ふと水中からも撮れないか?と思い立ちました。ちょうど水中からも動画が撮影できるGoProを持っていたため、ミニ三脚に取り付け、水中に沈めてみました。
私が傍で見ていたら警戒してしまうと思い、撮影開始ボタンを押して水中に沈め、しばらくの間GoProから離れていました。
後ほど回収してPCに取り込み、動画をチェックしてみると……
母メダカが映っていました! 上から見た時と同じように、マツモの周りをぐるぐるまわって様子を伺っています。
そして、産み付けられました! 上記写真は動画から切り抜いたもので少し分かりにくいですが、前の写真より水面が波打ってるのが分かると思います。
これは、マツモの上に母メダカが乗り上げたためです。まさに、卵を産み付けようとしている瞬間でした。
他にも、ビオトープ上の浅い場所にGoProを置いてみると、「針子」と呼ばれるメダカの子どもが複数映っていました。水面付近に集まるのはよく見かけますが、水深も浅い場所を好むようです。
掃除屋として入れていたミナミヌマエビも、偶然目の前を通過。実は彼らも知らぬ間に繁殖し、爆発的に増えていました。
メダカを含め、このビオトープ内で命が循環しているのです。
卵と赤ちゃんの成長を見守っていく
撮影写真を取り込み、記事を執筆している間にも、瞬く間に卵も針子も増えていきました。
メダカは条件がしっかり整えば年中いつでも繁殖します。栄養状態も良いため、無理せず繁殖できる環境が整っているのでしょう。
暑い時期ゆえ、外に出て観察を続けるのも中々骨が折れますが、これからも母メダカと卵、針子たちの成長を見守っていきたいですね。
(サカナトライター:みのり)
参考文献
メダカを殖やす-神畑養魚株式会社