Yahoo! JAPAN

「第66回ベルリン国際映画祭」に正式出品 ティルダ・スウィントンが製作を指揮『ジョン・バージャーと4つの季節』

映画評論・情報サイト BANGER!!!

「第66回ベルリン国際映画祭」に正式出品 ティルダ・スウィントンが製作を指揮『ジョン・バージャーと4つの季節』

シアター・イメージフォーラムにて、2016年の第66回ベルリン国際映画祭に正式出品された、映画『ジョン・バージャーと4つの季節』(原題:Seasons in Quincy Four Portraits of John Berger)の日本語字幕版が上映される。

描かれるジョン・バージャーの素顔

英国を代表する女優、ティルダ・スウィントンが製作を指揮した本作では、同氏が強く影響を受けた作家であり、社会構造を巧みに捉えたアート批評や独自の文学作品を世に残したジョン・バージャーの素顔が描かれている。バージャーの作品がもつ普遍性と、近年のアジアでの評価の高まりを受け、日本初公開となった。

『ジョン・バージャーと4つの季節』©2015 The Derek Jarman Lab

英国の作家ジョン・バージャー(2017年没)は、1970年代から80年代にかけて、資本主義がもたらした豊かさの中で周縁化されてきた人々の生活や人間の内面を、独自の視点と筆致で描いたことで知られている。

1972年の小説「G.」でのブッカー賞受賞や、世界的ロングセラー「Ways of Seeing」(邦題「イメージ:視覚とメディア」/ちくま学芸文庫)で国際的な作家としての地位を確立したバージャーの著作は、近年、韓国で著書の多くが翻訳されているほか、フィクションとノンフィクションの手法を織り交ぜながら移民労働者の生活を描いた「A Seventh Man」(邦題「第七の男/黒鳥社)を始め、日本でも昨年邦訳が立て続けに刊行された。

そんなバージャーを敬愛するのが、英国の実力派女優ティルダ・スウィントンだ。2007年に映画『フィクサー』でアカデミー賞助演女優賞を受賞、(2025年2月14日現在)開催中の第75回ベルリン国際映画祭で金熊名誉賞を授与されるなど、現代映画界のトップランナーのひとりであるスウィントンは、1980年代から親交を深めてきたバージャーの素顔を描くため、2009年にロンドンの映像プロダクション「デレク・ジャーマン・ラボ」と共同で本作を企画。2016年には正式招待作品として第66回ベルリン国際映画祭で上映された。

投げかけられる“本質的な問い”

“「抵抗」への呼びかけは、ジョンの大きな仕事だった。火薬や焚き火より強力な威力を持つ抵抗という行為の本質。次世代はそこから学ぶべきだ”(ティルダ・スウィントン/本編より)

作中では、スウィントンとふたりの子ども、そしてバージャーを慕うアーティストたちが彼のもとを訪ね、戦争の記憶、人間と動物、政治とアート、そして次世代への継承について、哲学的な対話が展開される。最初の公開から8年が経った今、スウィントンが伝えようとしたバージャーの最後の言葉は、混迷をきわめる現代に、改めて本質的な問いを投げかけている。

『ジョン・バージャーと4つの季節』©2015 The Derek Jarman Lab
『ジョン・バージャーと4つの季節』©2015 The Derek Jarman Lab
『ジョン・バージャーと4つの季節』©2015 The Derek Jarman Lab

『ジョン・バージャーと4つの季節』は2025年5月24日(水)よりシアター・イメージフォーラムにて公開

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. から好し、「背徳の」武蔵野油蕎麦を発売 背脂・ニンニク・から揚げの禁断のハーモニー!

    おたくま経済新聞
  2. 茶芯ブールならではのこの貫禄! 20年かけて育て上げた、ヴィンテージさながらの一足。

    Dig-it[ディグ・イット]
  3. スマートなごみ箱「スマゴ」の力でポイ捨て激減! 道頓堀での活躍に2.5万人感激「ゴミの山はなくなりました」

    Jタウンネット
  4. <海の巨大生物たち>クジラ・ジンベイザメ・ダイオウイカの神秘的な世界 大きいだけではない魅力とは?

    サカナト
  5. 突然、大型犬が『猫の前で寝ようとした』結果…あまりにも尊い『可愛すぎる現象』が938万再生「もはや恋人レベル」「なんだか涙が出てきた」

    わんちゃんホンポ
  6. 【フード心理テスト】自分大好き度を診断「疲れているときに飲みたいドリンクは?」

    charmmy
  7. その数10,000点以上!神戸阪急にどうぶつをモチーフにしたラブリーな作品が大集合♡ 神戸市

    Kiss PRESS
  8. 田舎暮らしに「向いている人」「向かない人」を教えてください!【教えて!移住プランナーの仲西さんvol.4】

    田舎暮らしの本 Web
  9. 【福岡カフェ巡り】興味が広がるきっかけに出会う大人のくつろぎの場(福岡市・西新)

    UMAGA
  10. 【福岡フルーツカクテル紀行】「ホテルオークラ福岡」のイチゴの特製カクテル「フレーズ・ド・モカ」

    UMAGA