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2035年の福岡市はどうなる? 新たな福岡を描く第10次基本計画が今春スタート

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2035年の福岡市はどうなる? 新たな福岡を描く第10次基本計画が今春スタート

今後のまちづくりの目標や施策などを示した『第10次福岡市基本計画』が、スタートしました。福岡市は今後10年、どのような方針で都市経営をしていくのでしょうか。そして、10年後となる2035年の福岡市は、どのような姿になっているのでしょうか。今回は第10次福岡市基本計画を見ていきましょう。

第10次福岡市基本計画が今春、スタートを切る

福岡市の都市経営における基本戦略のイメージ図(出典:『第10次福岡市基本計画』冊子・本編)

 

人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市━━。
福岡市は2025年4月、まちづくりの目標や施策を総合的・体系的に示した長期計画である『第10次福岡市基本計画』をスタートさせた。
日本の自治体は通常、都市の将来像を描いて、まちづくりや都市経営の方針を示した『総合計画』を最上位計画とし、総合的かつ計画的な行政運営を行っている。

 

 

総合計画は、基本構想~基本計画~実施計画の3層構造となっている。
福岡市では、基本構想・基本計画・実施計画について、下記のように趣旨を説明している。
◎『基本構想』:福岡市が長期的に目指す都市像
◎『基本計画』:基本構想に掲げる都市像の実現に向けて、まちづくりの目標や施策を総合的・体系的に示した10年間の長期計画
◎『実施計画(政策推進プラン)』:基本計画を推進するにあたって、福岡市が取り組む具体的な事業を示した4年間の計画

 

 

基本構想について福岡市は、2012年12月に四半世紀ぶりに改訂し、「住みたい、行きたい、働きたい アジアの交流拠点都市・福岡」を都市像として掲げている。
今回、策定した第10次福岡市基本計画は、2025年度から2034年度までの10年間にわたる長期計画だ。

 

福岡市総合計画の体系図(出典:『第10次福岡市基本計画』冊子・概要版)

 

 

全国に先駆けて1961年に総合計画を策定した都市は福岡市

実は全国に先駆けて総合計画を策定したのは福岡市だった。
福岡市が1961年に策定した『第1次総合計画』では、工業都市を目指す内容だった。
しかし、福岡市は政令指定都市で唯一、一級河川を持たず、工業化に不可欠な水源に乏しいという地理的特性があった。
このため、5年後の1966年に策定した『第2次総合計画』では、商業地としての福岡・博多の歴史を踏まえて、第三次産業を重視する路線へ方向転換して今日、福岡市における発展を導いている。

 

 

福岡市総務企画局企画調整部で、総合計画を担当する後藤英文企画課長は、次のようにコメントする。

後藤英文企画課長

福岡市ではこれまで、「『生活の質の向上』と『都市の成長』の好循環を創り出す」ことと「福岡都市圏全体として発展し、広域的な役割を担う」ことを都市経営の基本戦略として、まちづくりを進め、人口が増加するなど、国内外から、元気なまち、住みやすいまちとして評価されています。

今回の第10次福岡市基本計画の策定では、市内12万人の小・中学生を対象に一人一台のタブレット端末によるアンケートを実施するなど、次代を担う子どもや若者をはじめ、幅広い市民等から意見を募りました。

そして、「多様な人材が育ち、集い、チャレンジできる環境をつくる」ことも基本戦略として、新たに打ち出すとともに、身近な緑を大切にするまちにしていくことや、若い世代が色々なことにチャレンジでき、まちづくりにも積極的に参画できるようにしていくことなどを盛り込んでいます。

計画は策定して終わりではなく、実現していくことが大事です。

今後、実施計画の進捗や達成状況を市民の方々とも共有しながら、計画の実現に努めていきたいと考えます。
元気で住みやすい福岡市をさらに発展させ、市民一人ひとりが夢や希望を持てるようなまちとしていきたいと思います。

 

福岡市総務企画局企画調整部の後藤英文企画課長

 

 

第9次基本計画で大きく躍進した福岡市

福岡市における住宅地・商業地の地価公示価格の推移(出典:『第10次福岡市基本計画』冊子・本編)

 

現行の第10次基本計画の一つ前である第9次基本計画のスタート前、2010年10月1日現在の国勢調査で福岡市の人口は146万3,743人 であり、世帯数は70万7,358世帯だった。
2025年5月1日現在、福岡市の推計人口は166万6,217人であり、世帯数は90万1,018世帯となっている。
この15年弱で人口は20万人強増え、世帯数も20万世帯弱増加した計算だ。

この間、2014年5月に国家戦略特区『グローバル創業・雇用創出特区』に選ばれた福岡市は、同年10月にスタートアップ(起業・創業)支援拠点『スタートアップカフェ』を誕生させた。
一方、福岡市の安全・安心で魅力あるまちづくりを推進する『天神ビッグバン』が、2015年2月に始動。
また、同『博多コネクティッド』も2019年1月にスタートした。

 

 

都心で耐震性の高い先進的なビルへの建て替えが進む一方、福岡市全体での地価も上昇した。
10年前の2015年における福岡市の公示地価は、1平方メートルあたりの商業地平均で57万3,000円、同住宅地平均で12万1,000円だった。
10年が経過した2024年時点での公示地価は、商業地平均で2.5倍弱の140万3,000円、住宅地平均で1.8倍弱の21万7,000円まで上昇している。

 

 

このような地価上昇は、結果的に固定資産税を重要な財源の一つとする市町村の財政にも大きく貢献している。
2014年度の市税収入2,821億円だった福岡市は、2023年度には1.3倍弱の3,699億円まで増えた。
さらに2025年度の一般会計当初予算では、過去最高となる4,035億円の市税収入を見込んでいる。

 

福岡市における市税収入額の推移 (出典:『第10次福岡市基本計画』冊子・本編)

 

 

2035年の福岡市~推計人口・世帯数、再開発計画などでみる

第10次福岡市基本計画がスタートしてから10年後となる、2035年の福岡市は、どのような姿になっているのだろうか。
2035年における福岡市の姿について、将来推計による総人口や世帯数、高齢化率などをみていきたい。
さらに天神ビッグバンや博多コネクティッドなどを通じて、移り変わりゆく福岡・博多の風景についても取り上げてみよう。

 

 

将来推計総人口や同世帯数、同高齢化率でみる2035年の福岡市

福岡市の2035年における将来推計総人口169万4,000人・同世帯数102万1,000世帯━━。
福岡市総務企画局が2023年12月、『令和5年12月議会総務財政委員会報告資料』を提出した。
同資料において、次期福岡市基本計画の策定に向けた検討資料として、将来人口の推計結果を報告している。
その推計期間は、2020年を基準時点とし、2050年までの30年間だった。

 

 

推計結果によると、福岡市の将来推計総人口は2035年後も続伸し、2040年には人口ピークとなる総人口170万2,000人となるとの推計だった。
2040年時点で107万9,000世帯となる世帯数は、その後も続伸して2050年に118万6,000世帯となる見通しだ。
一方、2020年10月時点での国勢調査(確定値)で22.1%だった福岡市の高齢化率は、2035年に25.5%となり、4人に1人が65歳以上の高齢者という状況を迎える。

 

福岡市の将来人口推計 (出典:『第10次福岡市基本計画』冊子・本編)

 

 

街並みが一変。再開発計画等でみる2035年の福岡市への近未来年表

『ヒューリックスクエア福岡天神』が開業、『福岡空港第二滑走路』が供用開始、『福岡空港国際線ターミナルビル』がグランドオープン、『福岡市民ホール』が開館、『天神ブリッククロス』が完成、『ONE FUKUOKA BLDG.』がオープン……。
2025年5月時点でも福岡市内では、大規模施設や先進的なビルのオープンが相次いだ。
今後も『天神住友生命FJビジネスセンター』や『(仮称)博多駅前三丁目プロジェクト』の完成、『OHASHI HILL』のグランドオープン、新『福岡武道館』の完成などが続く。

 

さらに来年2026年においても『西日本シティ銀行本店本館建替えプロジェクト』の完成をはじめ、話題のビルや大型施設が相次いでオープンする予定だ。
さらに2026年、日本初開催の『第21回世界観光ガイド連盟会議』が開かれ、30年ぶりの日本開催となるプラネタリウムの国際会議も福岡市科学館を会場に開かれる。

 

 

天神ビッグバン開始後の2015年2月から2024年3月末までの建築確認申請数は73棟に上り、うち竣工棟数は2024年3月末時点で58棟だった。
また、博多コネクティッド開始後の2019年1月から2024年3月末までの建築確認申請数は29棟であり、うち竣工棟数は2024年3月末時点で22棟を数える。
今後も引き続き、福岡・博多における街の風景は、大きく変わっていくものと考えられる。

 

 

 

福岡市都市計画マスタープランが約10年ぶりに改定へ

福岡市では、基本構想~基本計画~実施計画の3層構造になる総合計画に加えて、分野別計画がある。
分野別計画の一つである『福岡市都市計画マスタープラン』の改定が現在、進んでいる。
福岡市都市計画マスタープランとは、福岡市の都市計画に関する基本的方針を示した計画だ。
2001年5月に当初計画を策定し、2014年5月に現計画へ改定した。

 

 

現行の福岡市都市計画マスタープランは、改定から10年余りが経過しており、この間に都市計画を取り巻く社会情勢も大きく変化している。
このため、福岡市都市計画マスタープランの新たな改定に向けて専門的・学術的な見地から情報提供や助言を得るため、有識者らをメンバーとする福岡市都市計画マスタープラン改定検討懇話会を設けて作業を進めてきた。
2025年度中の改定を予定しており、今後、改定された新たな福岡市都市計画マスタープランによるあたらしいまちづくりや都市計画が進んでいくものと考えられる。

 

出典:福岡市『都市計画マスタープラン第4回懇話会資料』

 

 

福岡市の都市経営は新たな〝近未来航路〟で船出する

今回の第10次福岡市基本計画によって福岡市は、〝生活の質の向上〟と〝都市の成長〟の持続的な好循環による「人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市」の実現に取り組んでいく。
そして、基本構想で掲げる都市像である「住みたい、行きたい、働きたい アジアの交流拠点都市・福岡」への新たなスタートを切った。

 

 

基本構想~基本計画~実施計画という3層構造になっている福岡市の総合計画では、具体的な実施計画も議会に報告される見込みだ。
福岡市都市計画マスタープランをはじめとした各分野の計画も改定もともに進んでいる。
これらの体系的・戦略的な取り組みによって福岡市は、どのように進化していき、持続的に発展していくのか。
今後も福岡市の動向について、注視していきたいと考える。

 

 

参照サイト

福岡市総務企画局『令和5年12月議会総務財政委員会報告資料』
https://www.city.fukuoka.lg.jp/gikaizimukyoku/giji/shisei/documents/20231214_somu_hokoku.pdf

 

 

福岡市総合計画
https://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/kikaku/shisei/fukuokashikihonkosokihonkeikaku/sougoukeikakumain.html

 

 

第10次福岡市基本計画の冊子・本編
https://www.city.fukuoka.lg.jp/soki/kikaku/shisei/fukuokashikihonkosokihonkeikaku/documents/fukuokacity_mp.pdf

 

 

福岡市都市計画マスタープラン
https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/toshikeikaku/machi/toshikeikaku-mp.html

 

 

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福岡市の人口が2040年に170万人を突破と推計!福岡市が人口を伸ばし続ける都市なのはなぜ?
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