古くから人間と関わりが深い魚<コイ> 最長50歳&面白い生態を持っている?
学校の帰り道、友達と木の枝を振り回しながらいつもの秘密基地に向かう。秘密基地の場所は五島にある「鷹ノ巣川」近くの竹林で、川を泳ぐコイを見ながらアニメやゲームの話をするのが筆者の日課でした。
毎日当たり前のように泳いでいて、どこの川に行っても目にすることのできるコイですが、実はとても面白い生態を持っている魚なのです。
コイの生態について
コイはコイ科に分類される淡水魚で、比較的流れが穏やかな川や池、用水路など様々な場所に生息しています。全国どこでも見ることのできる魚で、体長は100センチ程まで育ち、過去には120.5センチのコイが日本で釣り上げられています。
コイは汚れた水にも適応する能力が高く、水のない場所でも長い時間生き続けることができるほどの生命力を持っています。
コイは長寿
さらには長寿でもあり、寿命は15~20年、最大で50歳ほども生きるとされています。
かつては岐阜県東白川村で飼われていた錦鯉の「花子」が223歳としてギネスブックに載ったこともあったそうですが、実際は正確な年齢をはかるのは難しく、これは誤りとされています。
驚き! コイの恋事情
普通、生物は同じ種類同士で繁殖を行うのですが、コイは少し違います。コイは「コイ属」に分類される近い種類の魚と交配できることがあるのです。
例えば、日本ではコイとフナが交配した「コイフナ」が見つかることがあります。
日本とコイの歴史
錦鯉は日本の国魚であり、「生きた宝石」とも呼ばれ養殖が盛んに行われていますが、実は大昔から日本人はコイと暮らしていたのです。
これまで数千年前(縄文時代、弥生時代)の遺跡からコイの咽頭歯が発見されているのですが、縄文時代と弥生時代で咽頭歯のサイズを比べてみると、縄文時代は成魚サイズしか確認できなかったのに対し、弥生時代は稚魚サイズが多数発見されるのです。
これは、縄文人は川や湖で野生のコイを採取していたのに対し、弥生人は稲作などにより付帯的にコイの稚魚を利用するようになったとも考えられています。
遥か昔から日本人とコイの交流は続いているのですね。
いつまでも満腹にならないコイ
コイは雑食性で、髭には匂いや味を感じとる「味蕾」という感覚器がついていることからかなりのグルメで、水草や貝、イトミミズを好んで食べています。
コイには「胃」が存在しておらず、食道から直接腸につながっています。エネルギー効率が低く満腹感を得られないからか、“爆食”であることでも知られます。
胃がないことで排泄が60分に1回という脅威のスピードで行われるため、コイは1日中エサを食べ続けてしまうのです。
コイが生態系に与える影響
コイは体が大きくて見栄えするという安直な考えで川やダムに放流されることが多いのですが、放流された先に生息していた生物達を根こそぎ食べてしまう可能性があるほか、遺伝子の撹乱で生態系が乱れ、過去には放流されたコイが持っていた病気が蔓延し、地元のコイが大量死した例もあります。
コイに限った話ではないですが、放流するのは絶対にやめましょう。
普段何気なく目にしているコイですが、その生態や歴史を調べてみるととても興味深い魚だということがわかります。
次に川でコイを見かけたときは、いつもと違う視点で観察してみてくださいね。
(サカナトライター:ティガ)
参考文献
Japan Game Fish Association