府中市美術館「橋口五葉のデザイン世界」の見どころ紹介!『吾輩ハ猫デアル』装幀や新版画も
女性の美しさを柔らかく表現した新版画で、世界に知られる橋口五葉(はしぐち ごよう、1881-1921)。Appleの共同創業者のひとり、スティーヴ・ジョブズも作品を愛したと言われています。 府中市美術館にて、五葉の画業に光を当てた『橋口五葉のデザイン世界』が開催されます。会期は2025年5月25日(日)〜7月13日(日)です。 五葉は新版画のみならず、書籍装幀、グラフィックデザイン、絵画作品など多岐にわたって活躍しました。 本展では50点近くの書籍を中心に、五葉のデザイン世界の全容に迫ります。夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』の装幀は、五葉の仕事の出発点として特に見逃せません。
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見どころ①『吾輩ハ猫デアル』をはじめとするブックデザイン
1881(明治14)年、鹿児島市に生まれた橋口五葉。1899(明治 32)年に上京し、はじめは日本画を学びますが、黒田清輝の勧めで洋画の道へと進みます。
東京美術学校に在学中、五葉は長兄・貢を介して美術にも造詣が深い夏目漱石と知り合い、交流を持つように。小説家としての出発点である『吾輩ハ猫デアル』を世に出すにあたり、美しい本にしたいと考えていた漱石に応えたのが、五葉でした。
これを機に五葉は脚光を浴び、本書は日本の近代装幀史に大きな足跡を残す名作として、今も高く評価されています。
本展では『吾輩ハ猫デアル』に加え、俳句雑誌『ホトトギス』に寄せられた五葉の挿絵や、『鶉籠』『草合』『行人』など漱石との関わりから生まれた装幀の数々が紹介されます。
表紙に漆塗りを用いた本もあれば、スエードを用いた本も。五葉は素材にも工夫を凝らし、唯一無二の作品を世に送り出しました。
五葉は他にも、日本近代文学を代表する作家の装禎を多数手掛けました。華やかなデザインで包まれた泉鏡花の著作や、本文にまで装飾が施された『浮草』(ツルゲーネフ著、長谷川二葉亭訳)なども、本展で展示されます。
ブックデザインという言葉がまだなかった時代、五葉はその草分け的な仕事で活躍しました。手のひらに収まる小さな世界に凝縮された五葉の美意識を、ぜひご堪能ください。
見どころ②美術やデザインの枠組みを超えた豊かな画業
五葉の装幀の特徴とも言える、職人との協業や素材へのこだわり、画面を花々や小動物のモチーフで埋め尽くす華やかな装飾性。これらはその後の仕事にも活かされ、五葉は絵画や版画にも活躍の領域を広げていきました。
日本画と洋画を学び新たな表現を追究していた五葉は、1907(明治40) 年、油彩による衝立形式の《孔雀と印度女》を東京勧業博覧会に出品し、二等賞を受賞。第一回文展には《羽衣》が入選しました。本展では、装飾的な花鳥イメージに五葉らしさが溢れる《黄薔薇》も紹介されます。
さらに、石版を三十五度刷り重ねたポスター《此美人》に加え、絵葉書や雑誌なども展示。五葉が創造した華やかな世界を深く味わえる、贅沢な展覧会になりそうです。
見どころ③女性を描いた新版画
浮世絵の研究を重ねた五葉は、九州・耶馬渓への旅をきっかけに、自ら版画を手掛けることになります。《髪梳ける女》をはじめ、柔らかな女性の美を描いた作品は人気を博し、五葉は「大正の歌麿」と称されることも。
ところが1921(大正10)年、五葉は41歳で病没。生前に制作された版画作品は13点と少ないものの、いずれも普遍的な美が描き出され、今も国内外で愛されています。
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締切は2025年5月28日(水)まで。
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展覧会情報
橋口五葉のデザイン世界
会期:2025年5月25日(日)〜7月13日(日)
◎前期:5月25日(日)〜6月15日(日)
◎後期:6月17日(火)〜7月13日(日)
※一部作品の展示替えあり
会場:府中市美術館
開館時間:午前10時~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日:月曜日
展覧会ウェブサイト:橋口五葉のデザイン世界