心に響く朗読劇、あの頃と今を紡ぐソロ曲、思いがけないプレゼントのような新曲披露も! 土岐隼一さん、山谷祥生さん、山下大輝さん、寺島惇太さんによるGrowth初の単独イベント「ALIVE PARTY Ver.Growth」レポート
2.5次元に存在する芸能事務所「ツキノ芸能プロダクション」に所属するユニット「SOARA」と「Growth」。
彼らの活動を描く「ALIVE」シリーズ10周年を記念して、「Growth」に所属する、衛藤昂輝、八重樫剣介、桜庭涼太、藤村 衛を演じる土岐隼一さん、山谷祥生さん、山下大輝さん、寺島惇太さんによる、「ALIVE PARTY Ver.Growth」が2025年5月31日(土)/ 6月1日(日)に相模原市民会館で開催されました。
異なるセットリストが披露された2日間。Growthの面々は多くのファンたちを魅了しました。本稿では、5月31日(土)の公演をレポートとしてお届けします。
【写真】土岐隼一・山谷祥生・山下大輝・寺島惇太出演「ALIVE PARTY Ver.Growth」レポート
10周年記念ステージは4人のアカペラからスタート!
2020年6月に開催予定だったGrowthによる単独イベント「A.L.P Ver.Growth」が、新型コロナウイルス感染症の拡大によって中止となってから5年。待望のGrowth単独イベントがついに開催されるこの日、会場の相模原市民会館に、たくさんのファンが駆けつけました。
客席の照明が落ちると、ステージ画面に現れる緑の光と4人のシルエット。Growthのこれまでの歩みを振り返るようなオープニング映像が流れ、芽吹いたばかりの双葉が映し出されると、暗転のまま4人のアカペラが響き渡ります。
ユニット曲「Super Nova」が始まると、4人のイメージカラーであるブルーグレー、オレンジ、ピンク、紫のスカーフを持ったダンサーが登場。続いて緑の照明にあてられたスモークの中から土岐さん、山谷さん、山下さん、寺島さんがステージに登場し、客席から大きな歓声が上がります。
イベントビジュアルと同じ衣装に身をつつんだ4人によって繊細に紡がれるハーモニー。視線を交わしながら一音一音を丁寧に届けるような歌い方が、観客の心をとらえます。
「Super Nova」から息つく暇もなく、続けて披露されたのは「Re:born」。土岐さんと山下さん、山谷さんと寺島さんが背中合わせになり、4人の歌声が変則的なリズムの上に重なります。
序盤から、Growthの世界観を鮮やかに描き出す4人の表現力と歌唱力に、思わずサインライトを振る手が止まってしまう観客の姿も。中央に集う4人の背後には、緑に輝く大樹が映し出され、やがて静かにフェードアウト。その穏やかな余韻が、胸の奥にじんわりと感動を広げていきます。
最初のMCでは、待ってくれていたファンの皆さんとやっと会えた喜びを分かち合う4人の姿が印象的でした。2020年の単独イベントに向けた打ち合わせの思い出を懐かしそうに語り合う最中で、当時検討されていた案が形を変えて今回の演出に採用されたというエピソードが飛び出すと、客席から大きな拍手が湧き起こります。
客席には、2015年開催の「ツキプロフェスタ in ラフォーレ原宿」、2016年開催の「ツキプロライブ2016 in 中野」に参加していたファンの姿も。4人は改めて「ALIVE」シリーズ10周年を迎えられたことへの感謝を丁寧に伝えました。
これまでの軌跡をたどる朗読劇
続いては、久しぶりのイベントで気持ちが昂ぶっているGrowthの様子を朗読劇でお届け。「楽しんでもらえていますか?」と昂輝が客席に呼びかけると、剣介、涼太、衛も一体感につつまれた空気感を嬉しそうにかみしめます。
5年前に予定されていた単独ライブで悔しい思いを経験したからこそ、一緒に音楽を楽しめる時間を大切にできると、これまでの楽曲を振り返ることに。中でも「新約ラダ・キアナ」にはそれぞれ特別な想いがあるそうで、涼太は、Growthにとって1つの集大成とも言える楽曲だと語ります。
また、事務所の合同舞台など楽曲以外のお話も見逃せません。最近は個人としての活動も増えてきたそうで、雑誌のお仕事も経験する昂輝、バラエティー番組に呼ばれるようになった剣介、舞台への出演が増えた涼太、園芸番組のゲストに呼ばれている衛と、それぞれの活躍を紹介し、褒め合います。実は、昂輝の記事が載っている雑誌をこっそりと買っていた涼太。そのことを剣介に暴露されると、客席からは楽しげな笑い声が上がりました。
4人の和気あいあいとしたやり取りに笑みがこぼれるなか、「ライブ準備中の裏話」というトークテーマが展開。決起会と題した打ち合わせが白熱した、衛の独特の世界観を理解しているスタッフに感動した……など、次から次へと裏話が飛び出します。今回は“リベンジ公演”という意味合いも含んでいるからこそ、セトリに悩み、何回も打ち合わせを重ねたそうです。
他の3人から「頼もしかった」と言われた涼太は、ライブ全体の演出にも興味を持っていたこともあり、ステージの魅せ方なら力になれると思ったとのこと。自分のアイデアが形になったのはすごく楽しかったと笑顔で語ります。
もちろん、今回のライブの立役者は涼太だけではありません。リーダーとしてメンバーを引っ張る昂輝。振付に携わった剣介。メンバーそれぞれが自分のできることをしていたからこそ、いつもよりもライブ音源の制作に集中できたと感謝する衛。また、剣介の運転で会場へ下見に行った際、その後にみんなで思いきり遊んだという仲良しエピソードには、会場に集まったファンも頬が緩んだ様子でした。
「あの頃」と「今」を紡ぐソロ曲、そして新曲がサプライズ披露!
イベントも中盤に差し掛かり、ここからはソロ楽曲が次々と披露されました。
ソロステージの口火を切るのは、ALIVE「あの頃の僕らは」シリーズより、涼太の「ファンタズマゴリア」。桜の枝を片手に持ちながら、椅子にゆっくりと座る山下さん。透き通った高音がのびやかに響き渡り、爽やかな風が場内を駆け巡ります。ステージ中の山下さんの表情からは、仲間への深い想いがあふれているようでした。
画面に映し出された大樹。美しい色とりどりの花が咲き開くと、ステージに登場したのは山谷さん。剣介の「Cosmo*Locomotor」をキュートな歌声で披露します。この空間を味わうように会場を見渡し、時折目を閉じながら歌う山谷さん。そんな山谷さんの想いに応えるように、客席もやわらかいオレンジ一色に染まります。
次に登場した寺島さんは、衛の「ひとつなぎの物語」を熱唱。心に染み渡る壮大な曲調を、紫色の花を胸に抱えながらやさしく歌う寺島さん。ステージ画面に映し出されるMV映像も相まって、衛の明るい未来を感じることができました。
ソロステージのラストを飾るのは、昂輝の「羽ばたける光」。寺島さんから受け渡された水色のガーベラを手に持つ土岐さんが、幻想的なメロディーに合わせて透明感のある歌声を響かせます。舞い上がるような高音に、ジッと耳を傾ける観客の姿も。4人のソロ楽曲が紡がれるたびに、高まる客席のボルテージ。会場は心地よい一体感で満ちていきます。
その後、土岐さん、山谷さん、山下さん、寺島さんがステージに再集結。全員の成長を感じるソロ楽曲を披露できたことに笑みを浮かべ、年々高まる楽曲の難易度に圧倒されながらもそれをステージ上で歌いきったときの達成感は格別なものだと、4人は満ち足りた様子で語り合います。
今日という日、そして楽曲に浸りつつも、メンバーから最後のメッセージが届けられました。山谷さんから、全員が初めて集結し歌えたのは本番当日だった、という衝撃的な真実が明かされると、客席からは驚きの声が上がります。緊張や不安を覚えつつも、すごく楽しかったと笑顔を見せる4人の姿が、とても輝いて見えました。
ラスト2曲を届ける前に「歌い終わった後に感想を言うことも考えました。でも、きっと彼らは、音楽ですべてを語るだろうなって。そういう想いがあったので、今回は歌で最後です」と語った土岐さん。
そしてサプライズ披露されたのが、新曲「創造のレトロ」。この楽曲は、現在のGrowthが表現する新たな形の「空想のレトロ」です。懐かしさとともに新たな始まりを感じるメロディーに、胸の高鳴りが止まらず涙を流すファンの姿も。
興奮冷めやらぬ中、ステージは最後の楽曲「新約ラダ・キアナ」へ展開。「ラダ・キアナ」を現在のGrowthがセルフリメイクした楽曲を、ブーケを手にした4人がやさしく、愛おしく歌い上げます。
4人が歌い終わったあと、ステージ画面に映し出されたのは「Fin」という文字。そして、これからもGrowthが成長し続ける証のようにキラキラと輝く新たな双葉。ステージの最初から最後まで、彼らの世界観に引き込まれたイベントとなりました。
なお、本公演のアーカイブ配信は6月8日(日)まで視聴可能です。ぜひ何度でもALIVE PARTY Ver.Growthをお楽しみください。
また、今回の「ALIVE PARTY Ver.Growth」のBlu-ray化も決定! 現在、予約受付中ですので、ぜひこちらもチェックしてください。
【取材・文:福室美綺】