大河ドラマ「逆賊の幕臣」 小栗の功績 広める機に 放送決定に歓迎ムード
2027年に放送されるNHK大河ドラマ「逆賊の幕臣」が3日に発表され、主人公が横須賀製鉄所(横須賀造船所)の建設に尽力した江戸時代の幕臣、小栗上野介(こうずけのすけ)忠順(ただまさ)(1827-68)に決まった。日本の近代化と横須賀発展の礎を築いた一方で、これまで功績に光が当たる機会は少なく、歴史研究家や観光関係者からは「小栗の偉業を全国に広めるまたとない機会。放送が待ち遠しい」と期待感が広がっている。
小栗は1860年に日米修好通商条約批准書交換のため使節団として渡米。帰国後は外国奉行や勘定奉行などの要職を歴任し、横須賀製鉄所建設に携わった。27年は生誕200年に当たる。
軍政の改革やフランス語学校の設立など日本の近代化に大きく貢献したが、大政奉還後に官軍との徹底抗戦を主張。隠居先の上野国権田村(現群馬県倉渕町)でとらえられて処刑され、明治新政府の成立後は「逆賊」のレッテルを貼られた。
小栗が発案し、フランス人技師のヴェルニーが実現した横須賀製鉄所は日本初の近代艦船造船所として知られ、横須賀が軍港都市として発展していく上で重要な役割を果たした。小栗にスポットが当たることについて、横須賀開国史研究会会長で郷土史家の山本詔一さん(75)は「ようやくという思い。これまで正当な評価がなされていなかったが、横須賀の郷土史を語る上でも欠かせない人物」と評価。本紙で「OGURIをあるく」を連載する藤野浩章さんも「日本の工業の発展は横須賀から始まったと言っても過言ではなく、(放送を通じて)この事実を全国の人に知ってほしい」と期待した。
22年には北条義時を主人公とする「鎌倉殿の13人」が放送され、翌年1月まで鶴岡八幡宮境内に開館していた大河ドラマ館には期間中で30万人を超える入場者があった。小栗にひもづく観光キャンペーンなども今後具体化するとみられ、観光活性化や誘客促進への期待感も高まる。上地克明市長は5日、「この度の放送を大きな契機と捉え、小栗公の功績を多くの方々に知っていただくためにさまざまな事業を企画していきたい」とのコメントを出した。