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学習机から悪臭が!?片づけ整理整頓苦手な発達凸凹次男、効果ありだった3つの工夫

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学習机から悪臭が!?片づけ整理整頓苦手な発達凸凹次男、効果ありだった3つの工夫

監修:新美妙美

信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教

掃除中の引き出しから出てきたのは目を疑うようなアレでした

わが家は私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。

次男ウッシーヤは、幼い頃から成人した現在まで整理整頓が苦手です。日々工夫を重ねているので最近はずいぶんできるようになりましたが、小中学生の頃は、物の片づけや整理整頓がまったくできませんでした。そのため休みの日は、私が見守る中、ウッシーヤ本人が学習机とそのまわりの掃除をすることがよくありました。

ウッシーヤが小学校高学年の頃の、ある休日のことです。いつものようにウッシーヤに声をかけながら、床の上に散らかった物の片づけや掃除機がけを済ませたところ、なんだかまだ臭いが気になったので、引き出しの中身をすべて出して掃除するように言いました。ウッシーヤは平静のようでしたが、かすかに動揺したようにも見えました。私は、ウッシーヤは心の状態が顔に出ないことを当時は理解していませんでした。

ウッシーヤが引き出しを開けると、スパゲティーが私の目に飛び込んできました。私はわが目を疑いましたが、確かに食べかけのスパゲティーでした。スパゲティーはかなり長い間、引き出しの中に放置されていたようで、腐って悪臭を放っていました。

夫ラクマは子どもらしい失敗だと笑って面白がっていましたが、私はとても笑えませんでした。どんなにきつく叱っても一向に、整理整頓や物の管理ができない状態は良くならなったからです。片づけだけでなく、忘れ物や失くし物、クラスメイトの物を間違えて持ち帰ることが非常に多かったのです。

その直後、ウッシーヤが特別支援教育の専門家から「発達凸凹の傾向があるようだ」と指摘されたことを受けて、自分でもいろいろ調べて工夫するようになりました。

勉強道具の所定の位置にラベルを貼って整理整頓を促した

特別支援教育の専門家のアドバイスで、ウッシーヤは療育を受けるようになりました。そして親である私たちも発達に関する文献や資料を読んで学ぶうちに、叱るのは逆効果だから工夫するほうが大事だと知るようになりました。私たちは工夫の一つとして、勉強机の上や引き出しの中にラベルを貼り、置き場所を決めるということをやってみました。

机の上には「バッグだけ置く」と書いて貼り、バッグを置くエリアをテープで囲みました。4つある引き出しの取っ手にはそれぞれ「よく使うもの」「いっぱいになったら整理して捨てる」「普段使わないもの①」「普段使わないもの②」とラベルを貼り、使い分けるよう教えました。

「よく使うもの」とは、文房具などです。「いっぱいになったら整理して捨てる」とは、学校からの宿題や行事などの連絡が書かれたプリント類です。「普段使わないもの①」とは、小物や雑貨類などです。「普段使わないもの②」とは、お出かけ用のバッグやポーチ、画材などです。

この工夫のおかげで、毎週末になると、散らかった勉強机周りの整理整頓が手早くできるようになりました。でも目を離すとすぐに散らかったり忘れ物が増えたりするので、工夫したことがしっかり実行できているかの定期チェックは、とても大事だと感じていました。

宿題などの忘れ物防止のため、教科ごとに色分けしたファイルをつくった

中学生になると、教科書などの勉強道具もますます増えてきたので、国語・数学・英語・理科・社会の主要5教科は、それぞれ異なる色のラベルを貼ったファイルを用意しました。日々の宿題や家庭学習などは、毎日ファイリングすることで、見分けやすく、かつ取り出しやすくしました。授業にはファイルごと持って行き、バッグを開けると、すぐにラベルが目に入るので、分かりやすくなりました。

ちゃんと活用できているか、毎朝・毎晩、バッグとファイルの中身をチェック

これらの工夫がきちんと活用されているか、私はバッグとファイルの中身をほぼ毎日チェックしました。ただ私自身も忘れ物が多いタイプなので、チェック漏れが心配でした。そのため毎週末には、夫ラクマと二人で一週間のふりかえりを行い、次男ウッシーヤの整理整頓のチェック漏れがないかを確認し合いました。

このような学習の工夫はほかにもいろいろあります。当事者の家族会や講演会で、わが家の子どもたちの学習の工夫を紹介する機会が良くあるのですが、当事者家族ほど「こんな大変なことはできない」といった否定的な意見や感想が出てきます。

確かに毎日工夫をしていくのは保護者の時間が取られるし、忍耐も必要です。しかし、私たちの経験上では、苦労するのは工夫をスタートした数ヶ月です。発達凸凹タイプの子どもたちは、習慣化できれば地道に継続できることが多いように感じます。もし、しばらく続けて効果が現れないようなら、別の方法に切り替えるとうまくいく場合が多かったです。

親族や家族からは「過保護ではないか」という批判もよくありました。発達凸凹タイプが工夫することは、近視の人がメガネをかけるようなものです。そして、それは決して甘えでも怠けでもないのだと周囲に理解してもらうことは、工夫することと同じくらい大切なのです。

でも、なかなか言葉だけでは周囲の人は理解してくれません。根気よく説明することに加えて、工夫で結果を出すことが大事だと思います。

執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ

(監修:新美先生より)
次男さんの整理整頓の支援の工夫について、詳しく教えて下さりありがとうございます。整理整頓が苦手な方への対策をタイプ別に大きく分けると、「細かく区切って1対1対応でどこに何をしまうかを明確にする、ラベリング・ファイリングをするといった方法が有効なタイプ」と、逆に「細かく分けずに、ざっくり一つの袋・箱に全部なんでも入れる、定期的にチェックして不要なものは処分するといった方法がマッチするタイプ」があります。

整理整頓が苦手なお子さんは、どういうやり方があるのかも分からないので、やり方を提示して、運用の仕方を大人(親や学校の先生など)と一緒に経験していき、中学生、高校生と年齢が大きくなるにつれて、段階的に自分でできるようにしていくという丁寧な支援が必要だと思います。これは過保護ではなく、自立のために必要な支援ですよね。

整理整頓の仕方も、合う合わないがあります。親や先生とお子さんとでは、整理整頓のタイプが違うこともあります。記事にもコメントされているように、効果がないやり方にはおしつけずこだわらず、別のやり方を試みるというのも、よいかと思いました。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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