【台湾食べ歩きの旅 #17】嘉義で食べたい絶品メシ3選! 他ではお目にかかれない!?
台湾一周旅行は首都台北から時計回りにぐるっと南下し、高雄→岡山→善化を北上中。次の目的地は台南に負けない美食地帯、嘉義(ジャーイー)だ。
おすすめの地方都市は台南でも高雄でもなく、嘉義
台湾に初めて行く人には、まずは台北で台湾料理をひととおり食べて、中正記念堂や迪化街(乾物街)を歩くことをすすめるが、2回目以降は台北+地方をおすすめしたい。
台湾の地方都市は認知度では台南、高雄が抜きん出ているが、私のおすすめは嘉義。聞き覚えのない人が多そうな地名だが、観光資源は大変豊かだ。
そのひとつは食。嘉義には台湾でも3本の指に入るほど活気あふれる大きな朝市がある。その朝市を囲むようにして雑貨店や飲食店がひしめき合っていて、地元の人々の日常を垣間見ることができる。
夜は夜で、街の中心部に夜市があり、小さな食堂もあちこちに点在している。台北や台南と比べると土地にゆとりがあり、道幅も広いので、どことなくゆったりとした雰囲気が漂うのも魅力だ。
1泊5000円で、まずまずのホテルに泊まれる
嘉義のホテルはスマホのアプリから予約したのだが、嘉義は台北、高雄、台南などと比べるとホテルが安いのでありがたい。
物価高と円安の影響で都心のホテルは値上がりしている一方、小さな町はホテル数が少ないためもともと価格設定が高めだ。その点、そこそこ都会でホテル数も多い嘉義は宿が選びやすく、1泊5000円台でかなり贅沢なホテルに泊まることができる。
今回は3つ星ホテルに宿泊。バスタブもあるので久しぶりに湯につかれそうだ。宿泊者は無料で自転車を借りることができるので、早速、夜の市内探検に出かけた。
嘉義の名物は鶏肉オン・ザ・ライス
嘉義で有名なグルメといえば鶏肉飯。魯肉飯と並ぶ台湾庶民に愛される料理だ。
魯肉飯は豚肉なので脂が乗ってこってりしているが、鶏肉飯はヘルシーな塩味。
丼に入った白米の上に、割いた七面鳥や鶏の肉が乗っていて、ダシ汁がかかっている。
見た目が白っぽいのでビジュアル的にはインパクトに欠けるが、予想以上にしっかりと塩味がついていて、肉汁の旨味もたっぷり。
嘉義の人々はしょっちゅう鶏肉飯を食べていて、行きつけの鶏肉飯屋さんがある人も珍しくない。
私も過去に何度も嘉義を訪れ、鶏肉飯を食べ歩いたが、今のところナンバーワンは台湾と日本の合作映画『KANO〜1931海の向こうの甲子園』のロケ弁にも選ばれた『劉里長雞肉飯』という専門店のもの。白米の上に乗っている鶏肉が大きめで、味付けもしっかりしている。
台湾でも屈指の麺店へ
今回、嘉義に到着して、私がまっさきに向かったのは雞肉飯ではなく麺の店。材料がなくなると早めに店じまいしてしまうので、午後7時はギリギリの時間帯だ。
記憶を頼りにその店を探すと……あった、あった。数年前に訪れたときも味がある看板だと思っていたが、今見るとその看板はペンキが剥げていてさらに渋さを増していた。
よく見ると、「麺」の文字の下から「美容院」という文字が覗いている。食堂の前はここに美容院があったのだろう。
台湾人は、米よりも麺を好んで食べるのだが、麺の茹で方やスープにあまりこだわらないので、日本のラーメンのように麺の食感が絶妙で、スープにこだわった店にはあまり出合えない。
だが、嘉義のこの店だけは別だ。野菜や鶏ガラで長時間煮込んだスープに、シンプルでやや固茹での麺。
具材は肉そぼろ、もやし、ニラのみ。あっさりしているのにコクがあり、お酒を飲んだあとに食べたくなるサイズ感。スープを一口飲んで「はぁ」とため息が出てしまう。
もうひとつ、この店で食べておきたいのが豚の血ともち米を煮固めた豬血糕(ズーシエガオ)。
夜市などでおなじみの台湾珍味だが、ここではみじん切りにしたサツマイモを一緒に練り込んであり、豚の血の臭みがないどころか、ほんのり甘みがあっておいしい。
嘉義の名物で他の地域ではなかなかお目にかかれない屋台グルメなので、ぜひ食べておきたい。
大好きな麺で腹ごしらえをしたので、次は夜市へ繰り出し、さらにビールが飲める食堂も見つけたい。嘉義の夜はこれからだ。
(つづく)
(うまいめし/光瀬 憲子)