中野振一郎が赤れんが所管のチェンバロを演奏 12月7日に「華麗なるロココの饗宴」
「華麗なるロココの饗宴 中野振一郎チェンバロコンサート」が、12月7日(土)午後2時から、C・S赤れんが(山口市中河原町5、TEL083-928-6666)で開かれる。国内古楽シーンを牽引する世界的チェンバリストの中野振一郎が、同施設所管のチェンバロを奏でる。同館と山口市の主催。
中野は、1964年京都府に生まれ、桐朋学園大音楽学部演奏学科(古楽器専攻)を卒業した。1991年、フランスでのヴェルサイユ古楽フェスティバルで「世界の9人のチェンバリスト」に選出。翌年、アメリカ・バークレー古楽フェスティバルに最年少で招かれ、イギリスのウィグモア・ホールでデビューリサイタルを開催。その後も国内外での演奏活動を続け、「例外のチェンバリスト」「耳の御馳走」等、高く評価されている。2004年には文化庁芸術祭・大賞も受賞した。2020年7月からは、サラマンカホール(岐阜県)を拠点に「フランソワ・クープラン全曲レコーディング・プロジェクト」に取り組んでおり、2021年4月以降、随時リリースを続けている。
コンサートを前に中野は「チェンバロにとって最高の空間で、美しいフレンチ二段楽器を演奏できるのは今から楽しみ。今回は、私のライフワークでもあるフランソワ・クープランの作品だけをとりあげる。ヴェルサイユ宮の貴族になったつもりで、究極の『フランス・ロココの音楽』を楽しんで」とのメッセージを寄せた。
前売り券は2000円で、同館、YCAM、山口市民会館、サンパークあじすで購入できる。当日券は2500円で、残席がある場合のみ販売される。
「超絶技巧な演奏はもちろんのこと、近年では声優とのコラボで活動の幅を広げるなど、トークも親しみやすい。ぜひ来場を」と主催者。
演奏されるチェンバロは、山口市が「西洋音楽発祥の地」をPRするために1995年に制作したもの。1551年、フランシスコ・サビエル(ザビエル)がキリスト教布教の許可を得るために大内義隆に献上した13品の中に鍵盤楽器「マニコルディオ」があった。小型で箱形の楽器「マニコルディオ」がその後改良されてチェンバロになったと言われている。山口市は、この楽器による「西洋音楽発祥の地」であることを広く発信するために、大内氏の家紋「大内菱」とサビエルの紋章を施したチェンバロを制作。そして、この史実を多くの人に知ってもらうために、毎年C・S赤れんがでチェンバロコンサートを開いている。