年収2倍差は当たり前⁉仕事ができる人の最強スキルは「英語力」
様々な方の転職やキャリアの相談に乗っている中で、このような質問を度々いただきます。
将来のキャリアを見据えたときに、何か勉強しておいた方が良いことはありますか? 長期的な年収アップなどを目指す場合、身に付けておくべきスキルはありますか?
私の回答は、いつも同じです。
何かというと、「 英語 」です。
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そう語るのは、転職・キャリアをテーマにX(旧Twitter)、note、書籍で情報を発信するライター、転職デビルこと安斎響市さん。英語力が求められる外資系の中途採用では、IT業界や金融業での年収は1000~2000万円と言われています。一方日系企業では、IT業界で年収500〜800万円、金融業界で年収800~1000万円と、業種や経験によっても異なりますが、2倍以上年収に差がつくこともあります。そこで今回は、新卒で日系大手メーカーに入社後、4回の転職を経て外資系大手IT企業では部長も経験された安斎さんに、「 英語習得で開けるキャリア 」について伺いました。
「英語を身に付けなくていい理由」は、どこにもない
もちろん、どんなスキルを身に付けるのがベストかは、ある程度は人によって異なります。
将来的に目指すキャリアの方向性によってもちがうでしょうし、個人的な適性などによっても選ぶべき選択肢は変わってくると思います。
その前提の上で、「これだけは身に付けておいて間違いはない」と唯一言えるのが、英語です。
英語を使わなくてもできる仕事は世の中にたくさんありますが、「英語ができない」よりは「英語ができる」方が、可能性が広がるのは間違いありません。
転職活動の際にも、例えば転職サイトの登録画面などには「英語スキルの有無」を問う欄がありますよね。もっとストレートに、選考プロセスの中でTOEICの点数を聞く会社もあるでしょう。
今や、ほとんどのビジネスは「外国人需要を無視する」というわけにはいかないですし、「日本国内市場しか見ていない」というケースは比較的少ないです。
コロナ期間を経て、再びインバウンド需要は盛り上がってきていますし、街中で見かける外国人の数も、一時期に比べてかなり増えました。少子化と経済停滞が続く日本において、海外市場・外国人需要を完全無視したビジネスなど、もはや持続不可能です。
もう一度言います。「英語ができない」よりは「英語ができる」方が、仕事の幅やキャリアの可能性が広がるのは間違いありません。
英語習得に近道はない。しかし…
現在、英語を使えない人にとっては、ビジネスレベルで英語を使いこなせるようになるのは困難だと感じるかもしれません。
確かに、英語習得は簡単ではありません。相当な時間を投資する必要があります。1ヵ月や2ヵ月などの短期間で流暢に喋れるようになる人はいないでしょう。
しかし、現在は一昔前に比べると学習方法の選択肢が増えました。マンツーマン指導の高額な英会話レッスンに通わなくても、月額数千円のオンラインレッスンで十分に英語のスピーキング・リスニングを鍛えることができます。ごく最近では、月額1000円程度のスマホアプリなどもあり、ネイティブレベルの完璧な発音で英語を話すAIを相手に、好きなだけ模擬的な会話練習ができるので、学習の敷居はさらに下がっています。
もはや、英語を習得するために海外留学は必要ないのかもしれません。
もちろん、昔ながらの英語勉強法をまとめたロングセラー教材も、その辺の本屋さんに行けばたくさん売っています。YouTubeやNetflixなどで英語字幕の動画を見て、シャドーイングやディクテーションの練習などをすることも可能です。
このように、英語を学習するための方法は世の中にいくらでも溢れています。「英語を身に付けたいけれど、どうやって勉強すればいいのか分からない」という人はいないはずです。
もしいるとしたら、それは「英語の学習法」を探しているのではなく、「できるだけ楽に英語を身に付ける方法」がどこかにないか探しているだけです。当然、そんな都合の良いものはないのです。探している時間が無駄なので、早く勉強に取り掛かった方が良いです。
英語習得に、ショートカットはありません。地道に勉強するしかありません。
しかし、「英語を使えるようになること」自体が、確実にビジネス成功のショートカットになるので、リターンは極めて大きいです。
AIの発達により、英語スキルは要らなくなる?
英語を身に付けるのは確かに大変な道のりかもしれません。しかし、一度英語を使いこなせるようになれば、 現在の仕事内容を変えなくても、英語でまったく同じことをやるだけで年収や待遇は大幅に改善する可能性があります。
私は30歳頃に、日系の中堅メーカーから、同業界の外資系メーカーに転職をしました。転職の前後で、仕事の内容自体はほぼ変わらないにも関わらず、年収が250万円以上上がりました。同じような仕事を、日本語メインの日系企業でやるか、英語を使って外資系企業でやるか、たったそれだけのちがいにも関わらず。本当にあった話です。
近年のAI発達の流れで、「AIの自動翻訳や自動メール作成などの技術があれば、もう英語を勉強する必要はなくなる」と言う人もいます。
その主張は正しくないと私は思います。なぜなら、 「英語を話せる」のは、国際ビジネスを展開する会社で働いている人たちの中では特別なスキルでもなんでもなく、仕事をするうえでの基本的な要素 だからです。そんな「初期装備」「デフォルト」のような基礎的な内容のために、いちいちAIを使わないといけない人が、相手にされるとは思えません。
例えば、同僚など仕事仲間全員が英語を話せる中で、自分だけがいちいち翻訳ソフトを使わないとコミュニケーションが取れないという状況では、ビジネスでの成功は不可能です。
オンライン会議などでも、周りのメンバーは普通にPCとウェブ会議ツールだけで済むのに、一人だけ翻訳ソフトを介さないと何も伝えられないという状況では、常にワンテンポ遅れてしまうので、とてもじゃないですが会話の流れに入れません。
もちろん、英語の発音や流暢さに個人差はあるものの、大手企業や外資系企業で高年収を稼ぐ人たちは、「普通に英語で仕事ができる」のがデフォルトです。 私が過去に働いてきた職場は、そういう場所でした。
その世界に入りたいと思うなら、AIなどのテクノロジーに頼るのではなく、英語くらいは普通に身に付けた方が良いです。
英語コンプレックスを抱え続けるより、早く身に付けた方が良い
英語習得は困難に思えるかもしれませんが、一度身に付けてしまえば「たかが英語くらい」という程度の話です。
私自身は、学生時代は英語がそれほど得意ではなく、主に20歳~22歳の頃に集中的に勉強して英会話スキルを身に付けましたが、その後、15年以上ずっと仕事の役に立っています。身に付けるために必要な労力の何倍ものリターンが確実にあるので、やはり、英語の習得は圧倒的にオススメです。
これだけ、「再現性のある学習方法」がとっくに確立されていて、かつ、「習得後に手に入るメリット」が間違いなく大きいと分かっているスキルって、なかなか他にはないと思います。「英語ができない自分」を抱えて今後も働き続けるより、短期集中で徹底的に勉強して、さっさと身に付けてしまった方がずっと建設的です。
迷っているくらいなら、今日から勉強を始めましょう。
プロフィール
安斎響市@転職デビル
1987年生まれ。日系大手メーカー海外営業部、外資系大手IT企業の事業企画部長などを経て、2023年に独立。「転職とキャリア」をテーマに、X(旧Twitter)、note、書籍などで情報発信を続けている。Xフォロワー4.4万人。転職活動の実践ノウハウを語る週刊連載noteマガジンの有料会員は、累計7000名を突破。
代表著書
『私にも転職って、できますか? 〜はじめての転職活動のときに知りたかった本音の話〜(ソーテック社)』
『転職の最終兵器 未来を変える転職のための21のヒント(かんき出版)』
『すごい面接の技術 転職活動で「選ばれる人」になる唯一の方法(ソーテック社)』
『正しいキャリアの選び方 会社に縛られず「生き残る人材」になる100のルール(ソーテック社)』
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