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AIに「小中学校の宿題」を解かせてみたら、大苦戦した話

キャリコネニュース

画像はイメージ

生成AIの進化が著しい。文章については人間を凌ぐほどで、要約、翻訳、プログラミング、作文などは人間にはあり得ない速度でこなす。この状況を前提として考えると「学習」という行為の意味が、そもそも変わってくるかもしれない。

このままだと遠くない将来、「生成AIを使いこなす子どもたち」が続出するはず。そういった児童・生徒・学生に、教育現場は対応できるのだろうか?(取材・文:昼間たかし)

ChatGPT4は日本語の「文字数」を理解できない

そのまえに、現在のAIの実力を確かめてみよう。市販されている小中学生向けの問題集から問題をいくつかピックアップし、ChatGPT4に解答させてみた。「添付ファイルは○年生の問題です。各問ごとに解答を示してください」「算数・数学については解答に至るまでの計算式もすべて示してください」といった指示とともに、問題をアップロードした。

まずは、算数や数学である。

ChatGPT4は分数や因数分解など、計算式が明確な問題については完璧にこなした。「Xの3乗+8=0」や6次方程式の証明なども、何の問題もなかった。

一方、図形やグラフ問題は間違いを連発し、中学校三年レベルの問題も解けなかった。図形の面積比較やグラフの数値計算では、根拠となる数字を読み間違え、誤答することが多かった。おそらく図形やグラフを読み取る能力が低いのだと思われる。

続いては国語だ。まず古文を解かせると、古語の活用や意味を問うような問題にはすべて正解した。

ところが、内容要約では「規定文字数を守れない」という大きな問題があった。200文字で書く問題も130文字くらいしか書かない。これでは、答案ではバツにされるだろう。現代文も同様で、論述させると文字数が足りない。

社会科はどうか。年号や用語などのシンプルな問題は正答するし、大学入試の論述問題レベルでも正確に答えていた。ところが、こちらでも地図やグラフが出てくると、とたんに正答できなくなる。たとえばアフリカの地図から国名と関連情報を問う問題では、ジンバブエをタンザニアと勘違いして全て誤答になった。

たとえばAIに与えるプロンプトを工夫して、図表について細かな説明を与えるなどすれば、正答率は上がるかもしれない。しかし、その試行錯誤をするぐらいなら、イチから自分で調べて問題を解くほうが早そうだ。

小学校教師の反応は?

AIに宿題をやらせるような児童・生徒は、もうすでに存在しているのだろうか?

都内の小学校教師に聞くと、こんな話が。

「今の勤務先は中学受験する子供も多い学校なので、スキルは高いです。動画編集なんて当たり前にやってます。それでも、AIに宿題をやらせているような子供はいません。AIを使いこなせる程度の知識があれば、AIで楽をしたら後からどう自分に跳ね返ってくるか理解しています。受験にAIは持ち込めませんからね」

AIの回答を写すだけだと、受験勉強にはつながらない。

大学教員の反応は?

では、受験を終えた大学では、どうだろうか。たとえば一般教養のレポートなんかは、AIに任せれば、それなりのことを書いてくれそうだ。

しかし、西日本の私立大学(河合塾の偏差値45程度)で歴史を教える大学教員からは、こんな話を聞かせてもらった。

「レポート課題をAIにやらせた学生はいました。でも、すぐにAIにやらせたんだとわかり、呼び出したところ認めました。わかった理由ですか? あまりにレポートのデキが悪かったんです」

おそらく、AIはプロンプト次第で「もっとまともなレポート」を仕上げられるだろう。しかしながら……この大学教員はこう語る。

「そこまでAIを使いこなせる学生は少ないでしょう。なにしろ、今の学生はスマホが基本で、パソコンのスキルがあまりに低いんです。レポートをメールで送るよう指示したら、手書きのものをスマホで撮影して送ってきた学生がいるくらいなんですから」

文科省の「生成AI利用指針」では、AIによる成果物の丸写しは不適切とされる一方、議論の補助ツールなどとしての活用が推奨されている。多くの事務職にワードやエクセルを使う能力が不可欠とされているように、近い将来「AIをうまく使いこなせるかどうか」も、不可欠の能力となっていくのではないか。

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