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「今でも不安で眠れないことがある」サイボウズ・青野慶久さんの悩みとの向き合い方

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「今でも不安で眠れないことがある」サイボウズ・青野慶久さんの悩みとの向き合い方【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

日本を代表するグループウェアを展開するサイボウズ株式会社。代表取締役社長の青野慶久さんは、フレキシブルな働き方制度を多数取り入れ、社員が働きやすい環境づくりに邁進してきました。20代半ばで起業し30代前半に代表就任後、組織のリーダーとして先頭に立ち続けている青野さんに、現代のビジネスパーソンが今経験しておくべきことや、悩みに立ち向かうためのアドバイスについて伺いました。

前編: 時代に合わせた制度を次々に導入 サイボウズ・青野慶久社長が語る「変化への対応力」の身に着け方

自分で行動して選択する。幸せに働くヒントは“自分の人生に主体的になること”

Q. 現代のビジネスパーソンは、社内制度の変化や部署異動・上司の配置転換など、日々多くの変化に直面しています。私たちが変化に対応するためにできることは何でしょうか?

主体性を持つことですね 。言い換えると「 人のせいにしない 」ということです。例えば、「前の上司が気に入っていたのに、新しい上司に冷遇されて不幸になった。人事のせいだ」と言っている人がいたら、それだけでものすごく不幸そうに見えますよね。でも、だったら人事に意見しに行くのか、新しい上司とうまくやる方法を探すのか、探せないなら別の道を行くのか、自分で行動して選択できるわけです。

僕は最終的に、その人が楽しく幸せに働けることが大事だと思っています。いつの時代も、楽しく働く人と楽しくなさそうに働く人がいますが、その差は何か。 主体性を持ち、自分で自分の人生を選んでいるかどうか 。その感覚を持てるかどうかです。

「文句があったら言う。あとで愚痴れない」という、当社の全社員に課している「質問責任」も、幸せに働くための感覚のトレーニングなんです。自分で決めたならたとえその道でうまくいかなかったとしても、少なくともその「不幸な感じ」はなくなると思いますし、変化にも対応できるようになるのではないでしょうか。

若いうちに「自分が死ぬこと」を想像し、人生の判断基準をつくる

Q. 青野さんご自身を振り返って、20代から30代で「キャリアにおいてこれだけは経験しておいた方がいい」と思うことを挙げるとすれば、どういったことでしょうか?

若いうちに1回、「自分が死ぬこと」を想像しておくことですね 。若い頃って、人生が永遠に続くような感覚がある人も多いと思います。でも実際にはそんなことはなくて、若くして亡くなったり、事故に遭ったりするかもしれません。長生きしたところで、100歳くらいまでしか生きられないわけです。

人生は限られているということをしっかり掴んだうえで、自分の人生において何を大事にするかを考えてほしいです 。それが決まれば、自ずと人生の判断軸や基準ができて、主体的に選べるようになるはずです。

その基準は、途中で変わっても大丈夫。なかなか自分の死について考える機会はないと思いますが、若いうちから考え続けることを習慣として身に着けておくと、人生を幸せに生きやすくなると思います。

Q. とはいえ、私達は目先の小さいことで悩みがちだと思います。「この仕事は自分に合っているのか」「スキルアップしたい」などと思いつつも、行動に移せない社会人は多い気がします。

僕が挑戦できないことやキャリアに悩んでいる人に声をかけるとしたら、「 今悩んでいるのいい感じだから、もっといっぱい悩みな 」って言いますね。 悩んでいるって言っているわりに、実はあまり悩んでいない人も多いと思うんですよ 。

悩んでいるうちに、だんだん自分の軸ができてくると思うんですが、そこまでたどり着かない人も多い。悩んでいるフリというか、実際あまり悩んでいないのに考えている風を装っている人も少なくないと思うんですよ。「それは本当に悩んでいると言えるのか?」「逃げずにもっといっぱい悩みなさい」と言葉をかけたいですね。

僕なんて、今でも悩んで眠れなくなることが普通にありますからね。社長になった今でも「人生このままでいいんだろうか」「あの社員の働きを改善するには…」と不安になるんですよ。

悩みから抜け出すカギは「事実」と「解釈」を分けること

Q. その悩みから抜け出すために、私たちが自分でできることはありますか?

自分はいったい何に不安を感じているのか、1回全部書き出してみてください。自分の中で妄想が勝手に広がって、モヤモヤした不安を抱えてしまっていることもあると思います。それを具体的に紙に書いて並べてみるんです。

すると、「意外とありもしないことに対して悩んでいる部分があるな」「そんなことより、こっちを悩んだ方がいいんじゃないか」など、新たな気付きがあると思うんですよね。悩みからなんとか抜け出すために、みなさん工夫すると思うんですが、書き出して可視化することで、正しく悩むことができるのではないでしょうか。

Q. 青野さんご自身は、悩んでいる時の打開策として、どんなことを行っていますか?

事実と解釈を分けるということですね。人間、実際に起こっていることと頭の中で思っていることが、自分の中でゴチャゴチャになりがちなんですよ。例えば、「給料が上がらなかったらどうしよう」というのは自分の解釈。それについて、「これまでの自分の給料ってどうなっていたっけ?」「自分の企業の業績は?」と、事実を確認することはできますよね。

事実を元に判断したことと、自分の解釈を分けて並べてみると、意外とつながっていなかったり、事実を見ずに妄想が入って解釈だけ広がっていたりすることも多いんです。不安に思うなら、紙に書きだしてみたり身近な人と話したり、何か少しでもアクションを起こす。自分の妄想の裏を取りに行って事実を確認することで、悩みに対して正確な判断ができるようになると思います。 20・30代のうちにたくさん悩んで、妄想や解釈の暴走ではない“正しい悩み方”を身に付けてほしいですね 。

プロフィール

青野慶久(あおの よしひさ)

大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、1997年に愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年に代表取締役社長に就任。多様な働き方を実現できるさまざまな人事制度を取り入れている。

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