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【2024年、変動金利も上昇?】固定金利とどっちを選ぶ?金融のプロにインタビュー

リブタイムズ

【2024年、変動金利も上昇?】固定金利とどっちを選ぶ?金融のプロにインタビュー

2023年からじわりと上がっている「金利」。2023年には固定金利、そして2024年夏ごろから一部の金融機関では変動金利の上昇も始まっています。 そもそもなぜ金利は変動するのでしょうか。また、私たちの生活にどのように関わるのでしょうか。今回は金利上昇のメカニズムやメリット・デメリットについて、住信SBIネット銀行所属 銀行代理の LAVIIE 住宅ローン株式会社の今村社長にインタビュー!金利上昇に備えて気を付けておくべきこともお聞きしました。

お答えいただいた方:

今村 和也(いまむら かずや)さん肥後銀行で18年勤務した後、2004年にドクターの開業支援や土地の利活用を中心とした事業を始め、全国で先駆けて住宅ローン代理店を設立した。 2013年には来店型保険ショップ「保険クリニック」事業、2017年に日本では未だ珍しい『エージェント』スタイルの不動産仲介業、1年後に住宅専門のFPショップ『住まいの円むすび』を開始。 2020年には株式会社イー・カンパニー が実施している子供にマネー教育・キャリア教育・消費者教育を実施する『キッズマネーステーション』 の認定講師となり地域の将来を担う子供たちにマネーリテラシー教育を施し、2024年に住信SBIネット銀行を所属とする銀行代理業委託契約を締結。銀行代理業を開始した。

「マイナス金利」解除が金利変動の始まり

最近見聞きする金利上昇に関するニュースですが、実は金利には「長期金利」と「短期金利」の2つの種類があります。2023年に話題になっていたのは「長期金利」の上昇のこと。そしてこの長期金利の上昇に大きく関係しているのが「マイナス金利」政策の解除と国債買入減額です。

――今回金利が上昇しているのは、「マイナス金利が解除されたこと」が要因なのでしょうか?

厳密には「金利」が何の金利を意味しているかによっても変わりますが、大枠は間違いありません。一般的に長期金利が先行して上昇し、その後短期金利が上がってきます。今回も例にもれず、日銀のマイナス金利解除発言を発端にまず長期金利が上昇しました。

――そもそもマイナス金利政策とは何ですか?

日本銀行(以下、日銀)が民間の金融機関から預かる当座預金にマイナス金利を付与することを指します。民間の金融機関は日銀にお金を預けることで損をするため、積極的に融資や投資に回そうと働きます。この働きを利用することで経済を活性化させるという狙いがありました。

――マイナス金利政策が解除されたのはいつですか?

2024年1月ですが、この時期にいきなりマイナス金利政策が解除されたわけではありません。ニュースなどでも話題になっていましたが、日銀は2023年9月ごろから長期金利の金利を低く抑えることをやめました。そういった経緯もあり、マイナス金利政策の解除に踏み切ったのです。 そして2024年6月、日銀会合で長期国債の買い入れを大幅に減らすと同時に短期金利の追加利上げを発表し衝撃が走りました。

――長期国債の買い入れとは何ですか?

国の借金である国債の1つで、償還期間が5年超~10年以下のものを指します。長期国債の買い入れは、金融政策の一環として民間の金融機関から国債を購入し、その購入代金を金融機関に支払うことで市場に出回る資金を増やす狙いがあります。 このような背景を鑑み、長期金利は今後も上昇していくでしょう。

マイナス金利の解除、メリットとデメリットは?

マイナス金利の解除は先行して長期金利の上昇に影響していましたが、金利が高くなるというデメリットばかりではありません。マイナス金利解除に関して見込める変化をご紹介します。

――マイナス金利の解除で私たちの生活にどんな影響があると考えられますか?

良い面の変化で言うと、皆さんがお金を預ける際の預金金利が上がることでしょう。今まではマイナス金利政策の影響で、定期預金で100万円預けても数100円など、ほとんど金利は付きませんでした。しかしマイナス金利政策が解除されたことで、100万円預けて5000円以上の金利が付く銀行も出てきています。預金をする方にとっては大変プラスとなるでしょう。

――なるほど。反対にマイナス面ではどのようなことが挙げられますか?

長期金利が先行して上がった後に短期金利が上がるのですが、この短期金利と強く結びついている融資の部分でマイナスの影響を受ける可能性があります。金利が1%上がるだけでも、3千万円の借り入れで500万円ほど利息での差が生じることも。大きな買い物をする場合は金利上昇に耐えうる範囲での借り入れを行う必要があるでしょう。

固定金利と変動金利の違い

短期金利と長期金利で異なる動きになると分かりました。では次に、より身近な住宅ローンの固定金利と変動金利についても仕組みを確認してみましょう。

――まず固定金利が決まる仕組みについて教えてください。

一般的な金融機関では10年固定の固定金利、公的なものだとフラット35などが挙げられますが、こういった金融商品の指標となるのが10年物の長期国債です。先ほど言ったように、近年日銀では長期国債の買い入れを減らしています。この買い入れ減少を皮切りに、住宅ローンの固定金利が上昇しています。

――変動金利とは全く異なる動きをしているのですか?

はい。長期国債の影響を受けて固定金利は変わりますが、変動金利には関係がないとされています。 変動金利は短期金利と紐づいており、こちらもマイナス金利政策解除の影響を受けます。では短期金利は何に結びつくのかというと、「無担保コールレート」というものです。

――無担保コールレートとは何ですか?

簡単に言えば、銀行や証券・保険会社が資金を貸し借りをする際に基準となるものです。無担保コールレートと預金や貸出金の差額が利益となるため、この無担保コールレートが上がるとともに金利も上がっていくという仕組みです。

――各金融機関で、利益を生むための基準となる金利が決められているということでしょうか。

はい。銀行はお客様から預かった預金を融資などで貸出、その金利の差額で利益を得るビジネスを採用しています。基本的な仕組みはどの金融機関でも変わりません。 よって今後は変動金利も固定金利と同様に上昇していくと考えられます。しかし事務手数料のみ先行して支払う金融商品などは、上昇幅を抑えられるかも知れません。金利は軒並み同じ間隔で上昇するのではなく、金融商品によって異なると認識しておきましょう。

今後の動きはどうなる?

現在は未だ変動金利が根強い人気となっていますが、今後この割合はどのように変化していくのでしょうか。見通しをお聞きしました。

――金利上昇が心配されている現在、変動金利を選択されている方が固定金利を選ぶなど、何か住宅ローンを使われている方の動向に変化はありますか?

今まではあまり深く考えず変動金利を選ぶ方が多かったのですが、今後はネット銀行など、より低い変動金利を求める方が多くなると考えています。実際に数字で考えてみると、ある地方銀行の金利が0.675%、当行の金利が0.33%出会った場合、4000万円の借り入れ(ローン40年)で300万円前後の金利差が生じるケースもあるのです。 またその動きと同時に、固定金利という選択肢も少しずつ増えています。ZEHや長期優良住宅など一定の要件を満たす住宅であれば、フラットの子育て支援で5~10年間は金利が1%割引されます。仮にフラットの金利が1.8%だった場合、1%優遇されて0.8%となります。今後金利上昇が見込まれる変動金利と比較して、固定金利のほうが金利が低くなるという逆転現象が起きることも十分に考えられます。

――実際に、どのくらい変動金利は上がるのでしょうか。何か見通しはありますか?

2024年7月に日銀が発表した会議の内容の「中立金利」を見ると、2~3年後に1%上がる可能性があります。なお中立金利とは景気が良くなることも悪くなることもない通常の状態を指します。

――2~3年後に現在から1%上昇するということですね。

上昇する可能性がありますね。そう考えると、現在のうちにフラットで金利を固定しておくのも良いでしょう。 またパートナー2人で稼ぐパワーカップルの場合、フラットで20年借り入れというケースもあります。フラットで金利1.4%のところ、長期優良住宅やZEHなど優遇を受けられる基準を満たしたため金利をマイナス1%とし、0.4%の金利で10年間返済を行いました。固定金利のためこれ以上変動することもないため、心理的にも負担が少ないですね。

ネット銀行の審査は厳しい?固定金利と合わせた金融商品についてもご紹介

低金利が魅力のネット銀行。今後金利上昇が見込まれるため、ネット銀行の需要はより増えていくことでしょう。 しかしネット銀行の場合、審査が気になるという方も多いのではないでしょうか。ここではネット銀行の審査をはじめ、固定金利と掛け合わせた金融商品についてもお聞きしました。

――今後ますますネット銀行の需要は増えていくと思いますが、審査が厳しく通りにくいとも聞きます。

最近個人的に行ってみたのですが、たしかに審査が厳しいと言われやすい仕組みになっていると感じました。ネット銀行は通常の窓口がある金融機関とは異なり、仮申し込みなどもwebで簡潔に行います。webで入力する項目は個人信用情報と年収くらいなので、どうしても仮審査は通りやすいのですが、本審査で結果が変わりがちになります。よって、webでの仮審査はあまりあてになりません。 そのためネット銀行でローンを組みたい場合、代理店を経由するのがおすすめです。最近ではネット銀行でも代理店という形で窓口を設置するスタイルが増えています。webのみで完結するよりも代理店で申し込んだほうが、資金計画や細かなヒアリングもしてくれるため審査は webよりも通りやすい傾向です。

――ネット銀行でも代理店といった形で店舗を持つスタイルは、現在増えているのですか?

そうですね。代理店を増やす狙いは、一般の方がよりローンを活用しやすくなることと効率よく運営していくためです。webで完結させようとすると、本審査で登記簿謄本や売買契約書などを求められても分からないという方が非常に多いのです。たしかに家を建てるのは人生に1度あるかないか。このような書類について今まで見聞きしたことがない方も多い中で、諦めてしまう方も多くいます。 実店舗を持つスタイルで、低金利のローンを多くの方が利用できればと考えています。

今後ローンを組むうえで気を付けたいこと

最後に、今後ローンを組むうえで留意したいことについても確認しましょう。

――金利変動に備えて、住宅ローン検討中の方がしておいた方が良いことはありますか?

2つあり、1つはライフプランを組み立てて借り過ぎないようにすることです。年収に見合っていない額でローンを借り入れてしまうと、いざ金利が上がった際に返済できないというケースが考えられます。また資金面でのライフプランだけでなく、借り入れる人のメンタリティも重要。月々の支払額が上がることをストレスに感じる方であれば固定金利、金利が上がってでも低い金利にしたい方であれば変動金利というように、借り入れる人における相性も重要です。

――変動金利にしたいけれど金利上昇に耐えられる自信がない場合は、どうすればよいでしょうか?

予算を抑えるハウスメーカーにしたり仕様やグレードを少し下げたりするなど、家づくりのほうで引き算をするのが良いでしょう。また大体何%ほどの金利変動でどれくらい返済額が変わるのかというシミュレーションも行なっておくことが大切です。

――なるほど。そのほかで気を付けておきたいことは何かありますか?

中途半端に高い変動金利や10年固定金利はやめておくことが無難でしょう。各金融機関が定めている変動金利では優遇されて0.475%、通常では0.675~0.9%など、優遇されているかそうでないかでもかなり金利は異なります。変動金利でも0.9%など高いのであれば、フラットを選択して1%割引の優遇を受ける方がお得というケースもあります。 また10年間固定金利を選択できる商品もありますが、10年後の基準金利は現在のものより上がるため、10年後の変動金利に切り替わる際に大幅な金利上昇となることも。金利上昇のリスクを考えるのであれば、フルで変動金利もしくはフラットの固定金利をおすすめします。

――これからは徐々に固定金利を選択する方が増えていくのでしょうか?

2023年4月の住宅金融支援機構によると、約70%が変動であるのに対し、全期間固定型はわずか9%となっています。今後この割合が逆になる事はないと思いますが、固定金利も5人に1人ほどの割合で選ばれるようになるのではないでしょうか。 またアメリカでも起こっている現象ですが、変動金利と固定金利が逆転することもあります。何らかの金融政策を行った際、長期金利の後に短期金利が影響を受けることからこのような現象が生まれると考えられています。

――見通しが難しい現在では、高いアンテナを張ってローンについて考えていくことが大切ですね。

そうですね。ローンを組んだり何かしらの融資を受けたりといったタイミングでないとなかなか縁のない金利ですが、実は預金の部分など、私たちの生活にも密接に関係しています。噂やデマに心を惑わされない程度で関心を持っておくのが良いでしょう。 また実際に資金計画などを立てる際はファイナンシャルプランナーや金融機関などプロに相談することで不安を払しょくできます。一生に一度の家づくりなので不安や後悔がないよう進めることが大切です。

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