Yahoo! JAPAN

コンサル1年目で学んだ、一生モノのスキル【トップビジネスパーソンに聞く】

求人ボックスジャーナル

コンサル1年目で学んだ、一生モノのスキル【トップビジネスパーソンに聞く】【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

コンサル業界で生き抜くために必要なスキルは、実はどんな職種でも通用する普遍的な力でもあります。「論理的思考」「プレゼン力」「タイムマネジメント」――ビジネスの基礎スキルとしてよく語られるこれらの力は、確かにどの業界でも求められます。ですが、実際の現場で本当に必要とされるのは、より細部に根ざした習慣です。

結論から話すこと、タスク管理の徹底、飲みの場での振る舞い、先輩のノウハウを盗む姿勢、まとまらない議論を整理する力――こうしたスキルこそ、社会人1年目の明確な目標になり得るもの。そして、1年目で習慣化された“意識”は、10年後の圧倒的なリワードにつながります。

今回は、12年間にわたり経営コンサルティングに従事し、WEBメディアの運営支援や記事執筆などを行うティネクト株式会社の代表・安達裕哉さんに、コンサルでの経験を通じて得た「どこでも活きる一生モノのスキル」について伺いました。

はじめに

新卒で社会に飛び込んだばかりのころは、戸惑いや緊張感の中で日々を過ごしがちです。
というのも、学校では当然のように存在していた、カリキュラムや教科書などが存在しない世界で、「何をすべきかがわからない」「成長しているのかわからない」まま進むしかない状況になるからです。要は手探り状態です。
にもかかわらず、先輩たちは、共通して「どこでも使える本質的、汎用的なスキルを身につけることが大事」とよく口にしていました。
無理を言うなっつーの。

そんな中、よく話題になっていたのは、

論理的思考力
傾聴力
プレゼンテーション力
タイムマネジメント
書く力

などの基礎的な力で、それらはどんな業務であっても、ある程度共通言語として機能する力と言われていました。
実際、こうした力はコンサルタントの実践現場で重宝されていたのは事実ですし、どの業界でも応用できます。
ただ、 私が実感として、若手にとって本当に重要だと思っているのは、もう少し細かい話、細部の習慣です。

「論理的思考」と言われても、ピンとこない。話が大きすぎるんです。具体的で、すぐに使えて、学びの実感がある特定のスキルであり、1年目の明確な目標になり得る能力こそ、1年目で必要なスキルでした。
今回はその話です。

結論から話す

1年目に学んでおいて本当に良かった、というスキルは数えるほどしかありませんが、その中で、今でも重要だと思うスキルが 「結論から話す」 です。
ビジネスの場では、話が長いわりに要点が不明瞭という状況に陥りがちです。だからこそ意識したいのが、「結論から話す」という能力です。
これはコンサルティングスキルの定番としてよく語られますが、実践するのはそれほど簡単ではありません。皆さんも、「あれ、結局何が言いたかったの?」というプレゼンや会議を経験したことはないでしょうか。

例えば上司に進捗を報告するとき、はじめに「本日の進捗は10項目中8項目は終了です。」と伝え、そのあとで詳細を補足すると、上司は「あとどこをサポートすればよいのか」「どの程度リスク管理が必要か」を素早く想定できるでしょう。
これは受け手側の視点を考慮した伝え方と言えます。ある企業で、チームリーダーがメンバーに報告をするときに常に「まずは結論」を徹底した結果、「聞いている側の理解速度が上がり、問題解決がスムーズになった」という話もあります。

さらに結論を先に据えて構成すると、プレゼンテーションも自然と洗練されていきます。
例えば、下のように構成を「結論→根拠→具体例」とすることで、どの情報が必要で、何を省けるかが明確になり、結果としてスライドを不必要に増やさずに済みます。

例)
先月の売上目標を達成できなかった原因は○○です(結論)

その根拠は△△のデータから◯◯とわかります(根拠)

具体的には、□□の施策が遅れたことが影響しました(事例・具体例)

そして これは本質的には「ロジカルシンキング」の話でもある のです。
「論理的思考力を鍛えろ」と言われるよりも、「結論」「根拠」「事例」を意識したほうが、実践的、かつ良い訓練にもなるので、結局「論理的思考を身につける」という曖昧な目標を追いかけるよりも、近道です。
個人的には、1年目は「結論から言う」だけでも、十分だと思いますよ。

飲み/食事の場での振る舞い

ただし、「論理的思考」には罠もあります。
論理的思考、いわゆるロジカルシンキングは、コンサルタントにとって欠かせない能力ですが、論理を通しただけで全てがうまくいくわけではないからです。
現場では、論理的に話すだけではなく、相手の期待値や感情を汲み取り、相手の様子によって、伝え方を柔軟に調整する力が必要になります。

「筋は通っているのにあまり納得してもらえない」は、決して珍しい話ではありません。
提案資料自体は論理的に整合性があったものの、“上層部が保守的である”という背景を踏まえずに大胆すぎる提案を行ったため、実施されないというケースはよく見られました。

そんなとき、「上が無能だよ、我々の責任ではない」だと愚痴ってもいいですが、仕事を前に進めたいのであれば、実務的なビジネスコミュニケーションでは、ときに強引に正論を通すよりも、相手が心理的に安心できるよう配慮したほうが成果物の品質管理やプロジェクト管理がうまくいくことがよくあります。

では具体的にはどうしたらよいのでしょう?
それは「聞くこと」から始めます。聞いて、話をしてもらって、こちらを信用してもらうのです。施策を進めるうえで、何が心理的なブロッカーとなっているか、それを紐解いていくしか、解決策はありません。

時には、公的な場ではなく、プライベートな場でそうした話を引き出す必要があるかもしれませんが、とにかく、「人間的に信用できる」という状態を作り出すために、あらゆる努力が必要であると、私は教わりました。
したがって「飲み/食事の場での振る舞い」などは、今でもなお、重要性は変わりません。むしろ、飲み会がなくなって、そうした振る舞いを学びにくくなった今こそ、そういう部分で差がつきます。

タスク管理/時間管理

かつて、時間は普遍的な制約条件であると、ピーター・ドラッカーは語りました。どんな成果を目的とするかに関わらず、時間管理なしには仕事はできません。
とはいえ、時間管理は非常にシンプルで

1.大きな仕事をブレークダウンし、小さなタスクにすること 2.タスクに優先度をつけること 3.遂行するための時間を先に確保すること 4.計画通り遂行したかを定期的に見直すこと

という、4つしかやることはありません。
細かいことを言えば

朝の集中力が高い時間帯に優先度の高いタスクを片づける 会議や打ち合わせが多い日は、あえて「ここは一人で集中できる時間」と明確にブロックを設定する 目に見えにくいボトルネックになりそうなタスクを意識して先に処理する

などの小技もありますが、最も重要なのは「タスク」ではなく「時間」を管理することです。つまり 「3.遂行するための時間を先に確保すること」のステップが最も重要です。

タスクを並べただけでは、それらは「いつかやるべきこと」という認識を持っただけで終わります。
「やること」にするためには、カレンダーにそれを記入することが重要なのです。
だから、私の所属していた部署では「自分だけでやる仕事も、カレンダーに入力せよ」という習慣が義務付けられていました。

先輩・上司からのモノの教わり方

新社会人やコンサル1年目の時期は、先輩や上司から学ぶべきことが膨大にあります。
作業手順のような基本的な事柄から、ビジネスコミュニケーションのコツ、交渉スキルやフィードバックを受ける姿勢に至るまで、範囲は多岐にわたります。皆さんの周りにも、豊富な経験や知識を持った方々がいるのではないでしょうか。
しかし、その恵まれた環境を最大限に活かすには、「自分が何を理解していないのか」を、相手に対しても開示しなければなりません。
要は 「自分の無知をさらけ出す」ことや、「注意/指摘されて、不愉快な気持ちになる」ということが避けられない のです。
ここで苦労するのが、「妙にプライドの高い人」です。

何もわかっていないのに、わかったふりをしてしまったり、怒られたことに対して「相手の言い方が悪い」と、本質とは関係のないことばかりが気になっていては、効果的に学ぶことはできません。
そういう、 クソくだらないブライドはさっさと捨てて、成果が出るまでは徹頭徹尾、「ノウハウを盗んでやろう」と、平身低頭を貫くのが、できる人の振る舞いです。
見返すために必要なのは口ではなく、実績です。

さらに、教わったらすぐ行動に移すことも大切です。学んだばかりの知識やノウハウを実際のタスクに適用し、わからないところが出たらフィードバックを求める。
この繰り返しによって吸収が早くなりますし、学習意欲が伝われば先輩もより丁寧に教えてくれるようになります。
結局「学んだことを自分のメモにまとめ、次の日からすぐ試すメンバー」が最も成長スピードが速いのです。

「人の上に立たないリーダーシップ」

コンサルタント時代は管理職でなくても、リーダーシップを発揮しなければならない状況にしばしば直面しました。
例えば、

皆が黙っているときに、率先して意見を言う まとまらない議論をまとめるために、自分から進んで内容をホワイトボードに書き出す 誰かがやらないといけないけど、誰もやりたがらない仕事を引き受ける

といった行動です。
要は、「私に責任があると認識する」「率先する」「皆の意見を求める」などの、他者に対して積極的に関与していく行為は、すべてリーダーシップです。
私はこれを、人の上に立たないリーダーシップと呼んでいますが、こういうリーダーシップを実践できる人は、良い仕事人生を送れる可能性が高いです。

逆に「俺には関係ない」「早く終わらないかな」「余計なことを言うな」など、自分の仕事を積極的に狭めようとする人は、良い仕事人生を送れない可能性が高いです。
要は、幼稚なのです。仕事とは、本質的には「他者の役に立つこと」だからです。

「勉強」って何すること?

社会人になってからの勉強は、受験勉強とは大きく違います。テストの点数が目的ではなく、現場の課題を解決して結果を出すために知識やスキルを身につける必要があるからです。
したがって、社会人の勉強とは「学んだことを現場に当てはめ、自分の行動を変え、その成果を検証する」というプロセスにこそ存在します。
フレームワークを学んだら実際に自社やクライアントの課題に当てはめて分析してみる、リーダーシップの事例を読んだら試しに自分のプロジェクトで活用してみる、こうした実践を通じてはじめて、スキルが自分の血肉となります。
では、具体的に何をすべきでしょうか。
そのために重要なのは、読書とディスカッションなどのインプット、そして話す、書くなどのアウトプット、評価を受けるフィードバックです。

特に、 アウトプットは「書くこと」を積極的に行ってみましょう。
話すのであれば、「発表すること」を中心に、イベントや発表などに講師として参加しましょう。
怖いですが、評価をちゃんと受けることができます。
書けない知識は、身についていない知識です。
発表できない知識は、自分で使いこなせていない知識です。
皆にウケない知識は、仕事で使えない知識です。

まとめ

本当に役立つスキルというのは、現場に密接しています。
座学で学べるようなものではありません。
また、社会人の勉強とは「自分から発表して、人からの評価を受ける」ことで終わります。

そういう意味では「スキルアップ」というのはなかなかつらいことではあります。
プライドを捨てて、貪欲にいきましょう。
10年後には、圧倒的なリワードが返ってきますから。

プロフィール

安達裕哉

1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。 品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。 大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。
現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」および生成AIコンサルティング会社「ワークワンダース」 の代表として、コンサルティング、webメディアの運営、記事執筆などを行う。

代表著書 『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること(日本実業出版社)』
『頭のいい人が話す前に考えていること(ダイヤモンド社)』 X(旧Twitter) 安達裕哉

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【2025年】「アウラニ・ディズニー」現地最新情報まとめ!ホテル、グルメ、グリまで徹底レポート

    ウレぴあ総研
  2. <圧力では?>子ども同士のトラブルに横から父親が入ってくるのはズルくない?男性相手は怖いよ…

    ママスタセレクト
  3. ニューバランスの「5年に一度しか出ない伝説的モデル」あのスニーカーがついに登場!

    ウレぴあ総研
  4. 「温水洗浄便座」にサンポールはNG!使ってはいけない3つの理由→「ダメなんだ!」「気をつけます」

    saita
  5. 接客業、男性の《リアル貯金額》。給料が低くて困っています……。保険料を抑えられますか?【FPが解説】

    4yuuu
  6. ランチビュッフェ&抹茶スイーツビュッフェを堪能

    東京バーゲンマニア
  7. 「ラップ」の“食品を保存するだけじゃない”意外な使い方→「子どもが喜ぶ!」「かわいい!」

    saita
  8. いぎなり東北産、スピンズ&スイーツパラダイスとのコラボカフェ<いぎなりカフェ-TOHOKU9->開催決定!

    Pop’n’Roll
  9. ギターの神様エリック・クラプトンが注目!で一躍「時の人」に。ギタリストのソエジマトシキさん(静岡市在住)が生出演!

    アットエス
  10. 【熊本市中央区】宇城のAKARENGAが子飼商店街中に移転!

    肥後ジャーナル