伊古奈桜 下田市から葉山町に寄贈 御用邸友好都市の証
葉山町と御用邸つながりの友好都市・静岡県下田市発祥の「伊古奈桜」の苗木3本が町に寄贈され、3月に阿部倉山に植樹された。11月には新たに町内数カ所に20本前後が植樹される予定。桜の育成者である「伊古奈桜さかせ隊下田」の金指資行(かなざしもとゆき)さん(71)は「友好都市である葉山からも桜の知名度を上げてもらいたい」と期待をよせる。
伊古奈桜は2024年1月に品種登録されたばかりの下田市白浜発祥の桜。開花時期が河津桜よりも早く、花は直径4〜5cmと大きめ、色合いが華やかで、木はあまり高くならずに横に伸びる。これまで下田市から出たことがなかった。
寄贈の話は葉山に住む、金指さんの知人が伊古奈桜を見て「葉山にも植えたい」と言ったことが始まりだった。桜を通じた民間での友好都市交流として金指さんも賛同。昨年4月頃からまちづくり活動を行うNPO法人葉山環境文化デザイン集団の高田明子さんらと意見交換し、植樹に適した11月をめどに寄贈をすることとなった。植樹場所として芝崎西公園、図書館、旧東伏見宮葉山別邸、阿部倉山、主馬寮公園、南郷上ノ山公園などが候補に挙がっている。
一方、金指さんと親交のある下田市の中村敦市議会議長が昨年10月に行われた葉山町制100周年記念式典の際に、交流活動の後押しをしようと葉山町の議員に伊古奈桜の話を伝えた。中村議長は「本来、門外不出の下田オリジナルの桜が託されたのは友好の証。この桜を見て、葉山の方が下田を思い起こしてくれたうれしい」と語った。
今年1月に6人の町議会議員が下田市へ行政視察を行った際、伊古奈桜の植林地を見学。2月に3本の苗木が金指さんから荒井直彦町議に託された。この3本は阿部倉山の麓に1本、頂上付近に2本植えられている。
観光資源の目玉に
伊古奈桜は伊豆白浜の観光協会理事を務めていた金指さんが「冬の観光の目玉になるものを」と、同じ伊豆の河津桜に目を付け、品種改良を重ねたもの。開発から品種登録まで20年以上の歳月がかかった。愛着ある桜の寄贈について「本当の意味での友好都市だと思うね」と語った。