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里山から生まれる魅惑の「きのこのうつわ」 萩市「カネコツカサ」

山口さん

里山の古民家で、カラフルでユニークな“きのこ”アートと出会える工房「カネコツカサ」。伝統的な萩焼の枠を超えた独自の技法と遊び心あふれるデザインは、国内外でも注目を集めています。訪問の際は事前にInstagramのDMかお電話でのご予約をお忘れなく。新しい年の始まりに、新しいうつわを迎えてみませんか?

【写真はこちら】遊び心あふれる商品ラインナップは必見!

里山の古民家で唯一無二の作品づくり

萩市の中心街から車を走らせること約10分。三見の里山に佇む工房「カネコツカサ」(山口県萩市三見2300-1)は、陶芸家・金子司さんが手掛けるアトリエ兼ギャラリーです。

築250年の古民家をリノベーションして工房として独立したのが2005年。以来、ここから県外・そして国外にもファンを持つ唯一無二の作品を生み出し続けています。

その作品づくりにおける最大の特徴は「きのこ」。

工房の外を見てみても、テラスにある木の手すりには小さなきのこの陶器がずらりと並んでいます。

また、工房の裏口に伸びる木にもびっしりときのこの作品が「生えて」います。

伝統的な萩焼の作品とは明らかに異なる、カラフルでユニークな陶芸作品。一体どんな方が作っているのか興味が湧いてきます。

きのこに魅せられて

こちらが、萩市出身の陶芸家・金子司さん。

きのこの絵があしらわれた海外ブランドのパーカーに身を包み、「ヨーロッパでは、きのこは”ラッキーアイテム”として見られてるんです」と、早速きのこについて教えてくれ、その魅惑的な世界にいざなってくれました。

金子さんがきのこに強い関心を寄せるきっかけは1996年頃にさかのぼります。

当時萩市内の窯元に在籍していた金子さんは、ほんのいたずら心から、ギャラリーの中庭に生えた芝生や雑草の間などに、小さなきのこを制作しては忍ばせていたのだそう。

それは、大きくて立派な壺を作るより性に合っていたそうなのですが、そのようなことを繰り返すうちに次第に興味はきのこそのものへ。

約25万種あるとも言われ、古来より様々なモチーフとして宗教や芸術・生活の中に登場してきたきのこの奥深さや怪しさ・面白さに魅入られていったのだそうです。

そして、様々なきのこに関する文献を読み漁り、世界中のきのこにまつわる商品を買い漁り、それらは金子さんの作品づくりに大いなるインスピレーションを与え続けてきました。

例えば、こちらの木箱に入っているのは、江戸時代以降、和菓子を作る時に使われてきたという「菓子木型」。

きのこの型は縁起ものとして多く取り入れられていたそうで、それらを買っては、型で陶器を作ってみたり、焼く前に伸ばしてみて器のように仕立ててみたりしているのだとか。

独自の技法で独自の作品を

金子さんの作品づくりで特徴的に用いられるのは、「墨流し」や「点描」と呼ばれる独自の絵付け技法です。

ピンク、水色、黄色といった色をきのこのかさにスポイトで一滴ずつ垂らしていき、それらを静かに揺らしていくことで唯一無二の模様を描いていきます。

こうして生み出される、きのこのオブジェは、工房内のギャラリーで購入することが可能です。

また、きのこの作品世界を全身で感じてみたい!という方は、工房内にあるこちらの「きのこのへや」を訪ねてみましょう。

壁中いたるところを、金子さんが制作したカラフルでユニークなきのこが埋め尽くしていますよ。まさに圧巻の空間です。

遊び心あふれる食器たち

空間を彩るオブジェだけでなく、茶碗や湯呑みといった食器にも「墨流し」などの技法を用いて美しい柄を描いていることに加え、きのこの要素を随所に取り入れています。

茶碗 4,840円

この茶碗はじめ、おおくの食器に用いられているストライプ柄は、きのこのかさの裏の「ひだ模様」から着想したものです。

茶碗の中には半分ずつ柄の色を分けているものもあり、それは「向かい合った人から見える色柄と自分側から見えている色柄が違ったら面白いのでは」という遊び心によるもの。

こちらの湯呑みではそれがストライプ柄とドット柄が半分ずつ、というデザインになっています。

猪口 4,400円

色々なデザインのバリエーションがありますので、お好みの一品を見つけてみてくださいね。

こちらは、きのこの柄ではなく、きのこの形を柄として取り入れたおちょこ。

おちょこ 5,060円

小さな形のきのこがくっつけられたことによって、ゴツゴツとした手触りになっているのも大きな特徴です。

そしてこちらは、一見するとおなじおちょこの黒色バージョン。

おちょこ(ベクハイ) 5,060円

…ですが、大きな違いがあります。こちらの黒のおちょこは、底の近くがきのこの形でくり抜かれているんです。でもこれだと、お酒を注ぐとこぼれてしまいますよね。

ならばどうするか…。こうして指で強く穴を抑えて注がれたお酒がこぼれないようにし、一気に飲み干すしかないんです。

これは、お酒の席でちょっとした遊びで盛り上がってもらおうと考案されたもの。

うつわの独特なデザインはすべて「食事やお酒の席で楽しい会話が生まれてほしい」という思いが共通しているんです。

ちなみに、「このおちょこで飲んだ後、もうひとつの『きのこ』を楽しめるんです」と金子さん。

それは、穴を強く抑えたことで指先に残った、「きのこの跡」でした。

作品の魅力は世界でも

20年以上きのこをモチーフとした作品づくりを続け、その評判はどんどんと広がっています。
県内では長門湯本温泉にある高級旅館「大谷山荘」で作品が取り扱われており、県外では、東京や福岡、広島などでも個展が開催されています。

最近では、台湾の百貨店でも取り扱われており、世界にも注目されつつあります。

伝統的なうつわの常識から離れ、それでも食卓を明るく演出するといううつわ本来の魅力を「きのこ」で最大限に引き出す。見て楽しめ、使って楽しめる、そんなうつわを新たな1年のはじまりに迎えてみませんか?

ただ、工房では金子さんの作陶もあるため突然の訪問には対応できないということですので、訪れる際には必ずInstagramのDM、または電話で予約してくださいね。

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