矢島塾トータルアカデミー子母口教室 仮想空間で英語学習 「不登校の子、学ぶ一助に」
高津区の学習塾「矢島塾トータル・アカデミー子母口教室」が、VRゴーグルを使った英語のオンライン授業を開始する。講師・生徒がアバターとなってやり取りでき、仮想空間での使用教材も3Dアニメというスタイルは、小学校高学年から中学生向けの塾では、日本初だという。「不登校の子どもたちも学びやすい場にしたい」と、塾の試みが続く。
授業は、英検合格を目指しながら英語を学ぶコースで、4月1日にスタート予定。小学5年生以上が対象で、中卒、既卒ほか不登校生も対象となる。生徒の家庭にVRゴーグルを貸出し、子母口教室の英語講師が塾から授業を発信するので自宅等からオンラインで参加可能。同塾によると、すでに在塾生向けに試験的な運用が始まっており、保護者から「(今時の学習スタイルは)こんなに進んでいるのか」と驚きの声が上がるなど、評判は上々だという。
最大の特徴は、仮想空間では講師・生徒・教材が全て3Dになっていること。生徒は10人を上限とするクラスにアバター(インターネット上で自分を表すキャラクター)として参加し、名前もニックネームで登録する。このため「不登校で学校に行けない子どもたちも互いに誰だか分からない環境で勉強できるので参加しやすい」と同塾のオーナー・古川令治さんは期待する。
周囲の生徒に年齢を知られることもないため、何年も通学できず勉強が中断しているケースや、知能が高く学校になじめないような場合でも、学年を気にせず学習状況に合わせたクラスに参加できる利点もある。また、アバターの性別も自由に選べるという。
VRオンライン授業は、子母口教室と提携している矢島塾(東京都)の中野一郎代表がコロナ禍で3Dのオンライン会話システムを開発したのをきっかけに、中野代表と古川さんが話し合う中で発展。幅広い年齢の子どもたちが通う矢島塾と子母口教室のノウハウを生かして、不登校の子どもたちも学びやすい場を提供しようと、過去に古川さんが開発した3Dアニメのオリジナル英語教材も活用して考案してきた。今後、算数のオンライン授業もニーズを見て予定していくという。
文科省によると、2023年度に不登校状態にあった小中学生は過去最多となる約34万6千人。古川さんは「不登校の子どもたちが将来、大学入学や海外留学を目指すなど、夢の一歩を踏み出す一助にしてもらえたら」と話している。