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知られざる松島 日本三景の隠れた絶景スポット「野蒜海岸」【宮城県東松島市】 

ローカリティ!

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平安時代から歌枕の地として知られ、天橋立や宮島とともに「日本三景」に数えられる松島。

大小260余りの島々が織りなす多島海の景観美は、松尾芭蕉や正岡子規、与謝野晶子ら多くの文人を魅了し、現在でも年間300万人近い観光客が訪れる東北地方有数の観光地となっている。

遊覧船で湾内の島々を巡り、伊達政宗の菩提(ぼだい)寺で国宝の瑞巌寺や国の重要文化財である五大堂を拝観、名産の牡蠣(かき)や寿司に舌鼓を打つのが定番だが、松島の魅力はそれだけではない。

松島に来たらぜひとも足を伸ばしてほしい隠れた絶景スポットをいくつか紹介する。

「野蒜(のびる)海岸」砂が生み出した“陸の松島”

緩やかな弓なりに砂浜が広がり、近くには奇妙な形の岩山が点在する。

松島町の東に隣接する東松島市の野蒜海岸。

太平洋に面して白砂の海岸が3キロほど続くこの地は、江戸時代までいくつもの島が浮かぶ海辺だった。

20世紀に入って、近くの鳴瀬川や石巻市の北上川から流れ込んだ砂が堆積(たいせき)して砂州を形成。やがて島々が陸封され、その景観から“陸の松島”と呼ばれるようになったという。

野蒜海岸の周辺を散策すると、かつては島だった多様な形状の岩山や奇岩を目にする。風化した乳白色の凝灰岩とわずかな表土に生い茂る松の木。波と風雨が作り上げた松島の“自然の造形”を地上から間近に見ることができる。

岩山の上から野蒜海岸を一望する。
野蒜海岸は年間4万人以上が訪れる県内有数の海水浴場だった。
東日本大震災で甚大な被害を受け、JR仙石線の野蒜駅が離れた高台に移転したこともあって海水浴客は激減した。防潮堤が新たにかさ上げされ、壊滅した松林を再生しようと植樹が行われている。

震災後に移転した野蒜駅に向かう途中、岩山を垂直に掘り下げた異様な景観と出会った。
野蒜石の採掘場跡だ。加工が容易な凝灰岩の野蒜石は、江戸時代から昭和半ばまで蔵や塀などの建築用材として重宝された。

旧野蒜駅の駅舎を整備した東松島市震災復興伝承館の近くには、野蒜石を使った石蔵と由来を記した石碑が立っている。

突然の爆音に上空を見上げると、ジェット機の編隊が白いスモークを吐きながら瞬く間に飛び去っていった。

幸運に恵まれれば、航空自衛隊松島基地(東松島市)に所属するブルーインパルスの訓練飛行を見ることができるかもしれない。

佐瀬雅行

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