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【シニアの友達作り】孤独を防ぐ3つのポイントを解説!

「みんなの介護」ニュース

長谷川 昌之

年齢を重ねるごとに、友人との関係や社会とのつながりが変化していくのは自然なことです。退職や子どもの独立、配偶者との死別など、さまざまな理由でこれまでの人間関係が縮小してしまうことも少なくありません。

しかし、シニア世代こそ積極的に新しい友人作りに取り組むことが大切です。

今回は、シニアの方が新しい友人を作るメリットや具体的な方法、そして家族としてどのようにサポートできるかについてご紹介します。

シニアの友人作りのメリット

シニア世代になると、「もう新しい友人は必要ない」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、実は友人作りには健康面や精神面で多くのメリットがあります。友人作りは単なる楽しみだけでなく、健康維持や介護予防の観点からも重要なのです。

シニアの友人作りは認知機能維持に効果的!

人との交流は脳を活性化させる効果があります。会話をしたり、一緒に活動したりすることで、脳はさまざまな情報を処理し、記憶や思考力などの認知機能を使います。

千葉大学予防医学センターの研究では、社会的交流の少なさと認知症発症リスクとの関連が報告されています。

特に、友人との交流頻度が少ないシニアは、認知症リスクが約1.4倍高まるという結果が示されています。

この研究により、社会的交流の量的な側面(友人との会話や活動の頻度など)が認知症予防に重要であることが示されました。

このように、友人との交流は脳の健康維持に大きな効果をもたらします。新しい友人と会話をしたり、一緒に活動したりすることは、脳に適度な刺激を与え、記憶力や思考力などの認知機能を活性化させるのです。

友人作りがもたらす介護予防効果

友人との交流は、身体的な健康維持にも大きく貢献します。友人と一緒に散歩したり、運動したりすることで自然と体を動かす機会が増えるからです。

社会参加や他者との交流は、運動機能の維持・向上と密接に関連しています。特に、定期的な外出や社会活動への参加は、筋力の維持や歩行能力の低下防止に効果があるとされています。

また、友人と食事をすることで食欲が増し、栄養状態が改善されるという効果も期待できます。一人で食事をすると「孤食」となり、食事量が減少しがちですが、誰かと一緒に食べることで適切な栄養摂取を維持しやすくなります。

シニアの孤独が引き起こす健康リスクとは

「孤独感」は単なる寂しさではなく、実は深刻な健康リスク要因となります。一人でいる時間が長く、誰とも話さない日が続くと、さまざまな影響がでてくるのです。

孤独を感じているシニアは、そうでない方に比べて落ち込みやすくなったり、不安が強くなったりするだけでなく、うつ病になるリスクも高まります。

「自分は誰にも必要とされていないのではないか」「話を聞いてくれる人がいない」という感覚は、心に大きな負担をかけるのです。

さらに、一人暮らしのシニアは、体調が悪くなった時気づいてくれる人がいないため、病気の発見や治療が遅れることもあります。「ちょっとした体調の変化を話せる相手」がいることは、健康維持の上でとても重要なのです。

このように、孤独は単なる気持ちの問題ではなく、実際の健康状態にも大きく影響します。人とのつながりを持つことは、楽しい時間を過ごすだけでなく、健康で長生きするための重要な要素なのです。

シニアの友人作り!3つの方法をご紹介

シニア世代の友人作りには、いくつかの効果的な方法があります。ここでは、地域コミュニティ、趣味、そして老人ホームでの友人作りについて具体的にみていきましょう。どの方法も、自分のペースと好みに合わせて選ぶことが大切です。

地域コミュニティで友人作り

地域コミュニティは、シニアの方が友人を作るための最も身近な場所の一つです。

多くの自治体では、シニア世代を対象にしたさまざまな活動やイベントを開催しています。

まず、お住まいの地域の市区町村の公式ウェブサイトやコミュニティセンターの掲示板をチェックしてみましょう。

「シニアクラブ」「老人クラブ」「高齢者教室」などの名称で活動が紹介されていることが多いです。これらの活動に参加することで、同じ地域に住む同世代の方々と出会うチャンスが広がります。

さらに、地域のボランティア活動への参加も友人作りの良い方法です。

例えば、公園や街の清掃活動、地域の祭りのお手伝い、子どもの見守り活動などがあります。ボランティア活動は、社会貢献をしながら人とのつながりを作れる一石二鳥の活動といえるでしょう。

最近では、自治体主催の「交流サロン」や「コミュニティカフェ」も全国的に増えています。

これらは、シニアが気軽に集まり、おしゃべりや簡単な体操、手芸などを楽しむ場所です。厚生労働省の推進する「介護予防・日常生活支援総合事業」の一環として実施されていることが多く、参加費は無料または数百円程度と手頃な場合が多いです。

趣味を通じた友人作り

趣味を通じた交流は、共通の興味や関心事を持つ人々と自然に友人になれる絶好の機会です。自分の好きなことを楽しみながら人間関係も広がるため、ストレスなく友人作りができるでしょう。

まず、昔から続けている趣味がある方は、その趣味に関連したサークルやクラブを探してみることをおすすめします。

例えば、園芸が好きならガーデニングクラブ、読書が好きなら読書会、歌が好きなら合唱団などがあります。

もし新しい趣味を始めたいなら、シニア向けの趣味講座やカルチャースクールが良いでしょう。多くのカルチャーセンターでは、絵画、書道、語学、ダンス、料理など多彩な講座を開講しています。初心者向けのクラスも多いので、経験がなくても安心して参加できます。

また、近年人気なのがウォーキングやハイキングのグループです。

全国各地に「ウォーキング協会」や「ハイキングクラブ」があり、年齢を問わず参加できます。適度な運動をしながら会話を楽しむことができ、健康増進にも効果的です。

趣味を通じた友人作りは、共通の話題があることで初対面でも会話が弾みやすく、自然な形で関係を築けることが魅力です。

定期的な活動があることで継続的な交流が生まれ、次第に深い友情へと発展していくケースも考えられます。趣味を通じて無理なく人間関係を広げられるため、友人作りに不安を感じるシニアの方にも特におすすめの方法といえます。

老人ホームで友人作り

老人ホームや介護施設は、同世代の方々と日常的に交流できる環境が整っています。

施設によって特色は異なりますが、多くの施設では入居者同士の交流を促進するためのさまざまな活動やイベントが企画されています。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、共同のリビングやダイニングスペースが設けられていることが多く、自然と会話が生まれやすい環境があります。

また、定期的に開催される季節の行事やレクリエーションなどを通じて、同じ施設に住む方々と親しくなるチャンスがあります。

趣味活動を取り入れた施設では、絵画教室や音楽療法、園芸活動などのプログラムが用意されています。

これらの活動に参加することで、共通の興味を持つ人と自然に交流が生まれます。

デイサービスやショートステイなどの通いのサービスを利用するのも一つの方法です。自宅で生活しながら、定期的に施設に通うことで、新しい出会いの機会を作ることができます。

これらのサービスでは、体操やゲーム、工作などのアクティビティを通じて、参加者同士の交流が図られています。

施設によっては地域に開かれたイベントを開催していることもあります。例えば、施設内のカフェや食堂を地域の方にも開放したり、バザーや文化祭などのイベントを行ったりしている施設もあります。

こうしたイベントに参加することで、施設内外の人々と交流することができます。

友人作りを嫌がる場合は?家族の支援方法も合わせてご紹介

シニアの中には新しい友人作りに消極的な方もいます。ここでは、友人作りを嫌がる理由と、家族としてどのようにサポートできるかについて考えていきましょう。

シニアが友人作りに踏み出せない理由

シニアの方が新しい人間関係を築くことに抵抗を感じる理由はさまざまです。まずはその背景を理解することが、適切なサポートの第一歩となります。最も一般的な理由の一つは「恥ずかしさ」や「自信のなさ」です。

長年同じ環境にいた方が急に新しい環境に飛び込むのは、年齢に関わらず勇気がいることです。特に、退職後は社会的な立ち位置が大きく変化する時期であるため、自分のアイデンティティに疑問を感じやすくなります。

また、「迷惑をかけたくない」という思いも強く働きます。身体機能の低下や病気への不安から、「新しい関係を始めても、すぐに相手に負担をかけることになるのではないか」と心配する方も少なくありません。

認知症などの初期症状が現れ始めている場合は、会話についていけないのではないか、変な行動をとって笑われるのではないかという不安から、人との交流を避けるようになることもあります。

さらに、過去の人間関係でのトラウマや否定的な経験が影響している場合もあります。職場での人間関係のストレスや、友人との別れなど、過去の痛みが新しい関係への警戒心につながることがあります。

こうしたさまざまな理由を理解した上で、無理強いせず、シニアの方の気持ちに寄り添いながら少しずつサポートしていくことが大切です。

家族がサポートする際に役立つサービス

シニアの友人作りを家族としてサポートする際、いくつかの便利なサービスを活用することができます。これらのサービスは、シニアの方の状況や好みに合わせて選ぶことが重要です。

地域包括支援センター 地域包括支援センターは、高齢者の生活全般をサポートする公的な相談窓口で、全国の市区町村に設置されています。
ここでは、地域のサロンや体操教室、趣味のサークルなど、シニア向けの社会活動に関する情報を提供してもらえます。また、必要に応じて同行支援なども行っていることがあります。 介護保険サービス 例えば、通所介護(デイサービス)は、身体的なケアだけでなく、レクリエーションや食事を通じて他の利用者と交流する機会を提供している施設もあります。

要介護認定を受けていなくても、介護予防・日常生活支援総合事業として実施されている「通いの場」を利用できる場合もあります。

シニア向けの交流サービス シニア向けの旅行ツアーやカルチャースクール、趣味のマッチングサービスなどがあります。これらは有料サービスが多いですが、同じ興味を持つ人との出会いを効率的に提供してくれます。

これらのサービスを上手に組み合わせることで、シニアの方の友人作りを多角的にサポートすることができます。重要なのは、本人の興味や体力、生活スタイルに合わせて適切なサービスを選ぶことです。

また、一つのサービスだけに頼るのではなく、複数の選択肢を提案し、本人に合ったものを一緒に探していくという方法も有効です。

シニアの友人作りを支える際の心構え

シニアの方の友人作りをサポートする際には、いくつかの重要な心構えがあります。ここでは、家族として気をつけたいポイントをご紹介します。

まず最も大切なのは、「押し付けない」ということです。

友人作りは本人の意思が最も重要で、無理強いは逆効果になります。「あなたのためだから」と言って強制すると、かえって抵抗感が強まることがあります。まずは本人の気持ちや考えを丁寧に聞き、尊重することから始めましょう。

次に、「小さな一歩」から始めることを意識しましょう。

いきなり大きなコミュニティに入れるのではなく、まずは少人数の集まりや短時間の活動から始めるのがコツです。例えば、近所のカフェで開かれる小さな読書会や、1時間程度の体操教室など、負担の少ない活動から提案してみるとよいでしょう。

また、「付き添い」も効果的な支援方法です。

初めての場所や活動は誰でも緊張するものです。最初の数回は家族が一緒に参加することで、シニアの方の不安を和らげることができます。ただし、徐々に自立できるよう、少しずつサポートを減らしていくことも大切です。

こうした工夫を重ねて行く中で、本人の「成功体験」を作って行くことが重要です。新しい活動で「楽しかった」「また行きたい」と思える経験をすることで、次への一歩を踏み出す勇気が生まれます。

活動後には「どうだった?」と感想を聞き、良かった点を一緒に喜ぶことで、ポジティブな思い出を積み重ねていきましょう。

人間関係の構築には時間がかかるものです。すぐに親しい友人ができなくても焦らず、継続的にサポートしていくことが大切です。

まとめ

シニア世代の友人作りは、認知機能の維持や介護予防、健康リスクの低減など、多くのメリットがあります。

地域コミュニティでの活動、趣味を通じた交流、老人ホームでの出会いなど、さまざまな方法で新しい人間関係を構築することができます。

友人作りを嫌がる場合には、その理由を理解し、適切なサポートを提供することが大切です。家族としては、無理強いせず、小さな一歩から始め、長期的な視点で温かく見守ることがポイントとなります。

社会的なつながりは、シニア世代の健康と幸福に大きく影響します。年齢に関わらず、新しい出会いや交流を楽しみ、充実したシニアライフを送りましょう。

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