防災意識向上と事業継続力強化へ 安否確認システム訓練に89万人超が参加 トヨクモが実施
トヨクモ(東京都品川区)は9月8日、法人向け安否確認システムで年1回の「全国一斉訓練」を実施したことを発表。8回目となる今回は過去最大の2261社、89万2734人が参加したことを明らかにした。
訓練は、首都直下地震や南海トラフ地震を想定し、膨大なアクセス集中下での負荷検証を兼ね、「防災の日」に合わせて実施。参加企業には訓練結果のレポートが提供されるので、今後の防災体制改善の具体的な指標を得られるほか、従業員の防災意識向上にもつながる。
大規模アクセス下での稼働検証 参加企業は実践に近い状態で訓練
全国一斉訓練は「安否確認サービス2」導入企業に対して年1回実施。詳細な開始時刻は企業側の管理者にも事前通知しないため、参加企業は実践に近い状態で訓練でき、事態把握後の迅速な回答や指示が可能かといった点を検証できる。
参加企業には自社の防災力を客観視できるレポートを提供
参加企業には訓練レポートが無料で提供される。レポートには、自社の回答時間や回答率のデータがまとめられている。全参加企業の平均値と比較できるので、自社の課題の洗い出しや、防災意識を高めるための資料としても活用できる。
2024年からは回答時間と回答率で総合的に評価し、特に優れた成績だった企業を「Good安否確認賞」として表彰している。今年の受賞企業は10月発表予定。
各企業が抱える課題はさまざま、安否確認以外に応用する企業事例も
「安否確認サービス2」は、災害後の早期事業復旧を重視しており、従業員などの安否確認に加えて、その後の対策指示や情報共有のための掲示板やメッセージ機能などを備えている。全国規模の大企業から地元密着型の中小企業を含め、導入企業は4000社を超えており、背景には以下のような、各企業が抱えていた多様な課題がある。
・集計や情報更新といった作業コスト削減
・従業員への周知率や安否確認の回答率の向上
・BCP策定に向けたマニュアルやフロー整備
・ツリー型緊急連絡網による情報伝達の遅延
・階層別・拠点別の状況確認の難しさ
・システムの操作性やガラケーへの対応
たとえば、公益社団法人移動通信基盤整備協会(東京都千代田区)は、従来のツリー型の緊急連絡網では、大規模災害時の迅速な安否確認が困難であるとして導入。コロナ禍や大型台風時の一斉連絡に活用したところ、はるかに効率的な対応ができるようになったという。同協会は昨年度の「Good安否確認賞」最優秀賞に選出されている。
そのほか、能登半島地震の際に安否確認での回答率を約20%改善した株式会社船場(東京都港区)や、安否管理だけでなく平常時のコミュニケーションツールとしても活用する山﨑建設株式会社(長野県安曇野市)などの事例もある。
「安否確認サービス2」のウェブサイトでは、導入企業事例が紹介されており、業種やユーザー数、機能・課題といった条件で絞り込み検索できる。当メディアでは、人事労務管理ソフトとデータ連携したアオキスーパー(愛知県名古屋市)の事例を紹介している。
発表の詳細はトヨクモの公式リリースで確認できる。