Yahoo! JAPAN

THE SECOND決勝進出の裏に「カレー屋経営」あり。ハンジロウ・たーにーが語る副業の相乗効果

求人ボックスジャーナル

THE SECOND決勝進出の裏に「カレー屋経営」あり。ハンジロウ・たーにーが語る副業の相乗効果【求人ボックスジャーナル】はたらき方やキャリアを考える機会を創出するメディア

「芸人としての未来が見えなくなった」。

コロナ禍でライブの仕事がゼロになり、絶望の淵に立たされたお笑いコンビ「ハンジロウ」のたーにーさん。そんな彼が芸人活動と並行して始めたのが、 間借りのスパイスカレー屋 でした。

本業とは別の「もう一つの肩書」を育み、人生を豊かにする人々の仕事観に迫る連載 「肩書+(プラス)」 。たーにーさんのインタビュー後編では、芸人とカレー屋オーナーという二足のわらじを履くことで生まれた相乗効果、地域の人々との温かい繋がりを武器にした経営術に迫ります。

前編:コロナ禍で仕事がゼロになった芸人、ハンジロウ・たーにーが掴んだもう一つの肩書

「お客さんと育てる」ネタ作り

――芸人とカレー屋オーナー、二足のわらじを履く中で、何か変化は感じましたか?

たーにー:うーん、カレー屋を始めてから、 お客さんとの距離感が少し変わった気がしますね 。カレー屋では、「美味しい」とか「味、ちょっと変わった?」みたいな感想をすぐもらえるので、ライブのときも自然とお客さんの反応に敏感になってきた気がします。

前までは「面白かったです」って言われたら「ありがとうございます」で終わってたんですけど、最近はつい「どこのくだりですか?」って、一歩踏み込んで聞くようになりました。

――常連さんとのやり取りは、モチベーションアップにもつながりそうですね。

たーにー:そうですね。常連さんの中には、気になったことをすぐに言ってくださる方もいるので、超ありがたいです。その声があるから、すぐに味を見直すこともできます。

芸人活動でも、同じようなことが起きてます。お客さんから「ここが面白かった」と教えてもらった部分を軸に、ネタをブラッシュアップしていく。実際に、『THE SECOND 〜漫才トーナメント〜(フジテレビ系列)』(※以下、THE SECOND)のネタも、そんな風にしながら作っていきました。

――めちゃくちゃネタ作りに生きてますね!

たーにー:そうなんですよ。僕らはもともと客ウケを意識してやってきたコンビです。沖縄で活動していたときに最初に習った教えが 「芸人は、その時に目の前にいるお客さんを楽しませることが仕事」 だったので、カレー屋をやることで、その時の感覚が戻ってきてるのかもしれません。

ただ、今と昔で違うのは、お客さんと一緒にネタをブラッシュアップしているところです。 みんなでハンジロウのネタを面白くしていっているような感じ です。

――芸人業との両立のしやすさも、間借りスタイルのメリットでしょうか?

たーにー:両立はめちゃくちゃしやすいですね。カレー屋に立つのは基本、お昼の3時間だけなので、それ以外の時間はまるっと自由に使えます。それに、スタッフには芸人が多いんで、近況やゴシップを聞いたりするのも楽しみのひとつですね(笑)。

心強い「応援団」が経営を支える

――(マキオカリー経営者)槙尾さんをはじめ、周囲に支えてくれる人が多いようですね。具体的にどんな応援があるんでしょう?

たーにー:本当にたくさんの人に支えてもらっています。近所のビジネスマンやお笑いファン、カレー好き以外に、飲食店経営者の方もよく食べに来てくださいます。テイクアウトもされますし、年末には連休前に大きなタッパーを持ってきて、「これに2週間分のルーを入れてほしい」と注文してくれた方もいました。

その方は、YouTubeで僕らの漫才やコントを流しながら仕込みをしているそうですし、自分で買った僕らのアクスタやステッカーを、お店に来たお客さんに配ることもあるそうです。

――そんな応援があると、本当に心強いですね。

たーにー:そうですね。ほかにも、「今の店舗が難しくなったら、うちで間借りしていいよ」と言ってくださる方もいて、本当に感謝しかないです。

――では、経営をする中で大変だなと思うことはありますか?

たーにー:うーん……、強いて言えば、お米の値段がかなり上がっていることですね。去年より2.5倍くらい高くなってますし、その他の食材も同じように高くなってます。お客さんからは「値上げしたら?」という声もありますが、ランチに来てくれるお客さんのことを考えると、簡単には値段は上げられないです。食べに来てくれる方がいるから、お店を続けられるんだと思うので。

――お店にはどんなお客さんが多いですか?

たーにー:平日は近所のビジネスマンで、週末はお笑い好きやカレー好きの方が来てくれます。THE SECONDの決勝の日は、お客さんから「今から観覧に行きます」というお客さんもいました。

他にも、「『全力!脱力タイムズ(フジテレビ系列)』見ました」とか、「今度ライブに行ってみたい」と声をかけてくださる方もいて、お笑いとカレーがつながってる感じがして嬉しいですね。

<店内には「THE SECOND2024」「2025」のTシャツが飾られる>

消極的だった自分を変えた人生哲学

――こんなにもたくさんの応援団がいる背景には、「ゆいまーる精神」もありますが、たーにーさんの性格や考え方も関係していますか?

たーにー:いえ、僕は昔から自分から何かをはじめるようなタイプではなくて、相方やまわりの人に助けられているのが大きいと思います。いまだに税金のこともよくわかっていないので、知り合いに紹介してもらった税理士さんにいろいろ教えてもらってます。

でも、それだけじゃダメだとも思うので、 出会った人のいいなと思うところを自分なりにマネして、カスタムして、なんとかやってきてる感じ です。

――自分から立候補して五反田店を経営されたということだったので、意外でした。自分から行動を起こせるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

たーにー:20歳ぐらいの時に受けた、ネズミ講の勧誘がきっかけですね(笑)。相手から「なかなか一歩踏み出せないよね、一歩踏み出すにはどうしたらいいか分かる?」と聞かれて。僕はよく分からなかったけど、その人に 「水は1~2週間置いたままだと腐るけど、動いてたら腐らない」 という話をされたんです。「そうなんだ」と思った次の瞬間に、「人間の体も同じだ!」と気づいたんです。人間の体も水分でできてるじゃん! と。

「人間も動いた方がいいんだ」と思ったら、それからじっとしてるとムズムズするようになりました 。ねずみ講には引っ掛かりませんでしたが(笑)、その言葉だけが妙に残っていて、今でも思い出します。

――その経験があったから、五反田店オープンへの挑戦にもつながったんですね。

たーにー:そうです。この感覚は今でもあって、 家でじっとしてたら「やばい、僕いま腐ってる!」と思います 。その時は、カーテンを開けるなど、何かしら動くようにしています(笑)。

リスクを恐れず、小さく始める

――「いつか何かやってみたい」と思っていても、なかなか踏み出せない人は多いと思います。そんな人に、たーにーさんからアドバイスをいただけますか?

たーにー:僕の場合は 「間借りだから最悪やめられる」というのが後押しになった気がします 。それに、同じ「お店を出す」というゴールを見ていても、実店舗だと何千万円も用意しないといけないから、どんなに始めたくてもすぐには始められません。

でも、間借りなら少ない費用で早く始められるし、失敗した時のリスクも小さい。だから、 何か始めるときは、いきなり大きなことを目指すより、その前段階の小さなことから始めてみるのがいいと思います 。

――今のたーにーさんご自身を一言で表すなら、どんな肩書が近いでしょうか?

たーにー:「最強個人事業主」 ですね。好きなことを自由にできるというのが一番の強みだと思うので。

――素敵な肩書です! では、そんな「最強個人事業主」が、今後やってみたいことはありますか?

たーにー:何十年後になるかわからないですし、半分夢みたいな話ですけど……いつか沖縄で喫茶店をやりたいです。のんびりと楽しくお店をして、そこでも地域の人たちと仲良くやっていけたらいいなと思います。

芸人の仕事がほぼゼロになるという絶望的な状況の中で、「水は動いてたら腐らない」という言葉を胸に、新たな一歩を踏み出したたーにーさん。成功のカギは、大きなリスクを避けて小さく始める勇気と、芸人仲間や地域の人々との温かいつながりでした。お客さんと一緒にネタを育て、芸人仲間と楽しく働き、地域に愛されるカレー屋を営むたーにーさんの日常は、一人で頑張るのではなく「みんなで一緒に」という温かさに満ちています。コロナ禍で失ったことから始まった物語は、今もゆっくりと、たーにーさんらしい歩幅で続いています。

前編:コロナ禍で仕事がゼロになった芸人、ハンジロウ・たーにーが掴んだもう一つの肩書

プロフィール

たーにー(ハンジロウ)

1984年12月27日生まれ。那覇市首里生まれ、沖縄県立沖縄工業高等学校出身。高校時代からアマチュアコンビ「しゃもじ」として沖縄県内で活動し、2003年に本格的に芸人活動を開始。2009年に活動拠点を東京に移し、フジテレビ系のレギュラー番組に抜擢される。2022年にはコンビ名を「ハンジロウ」に改名。2023年「第5回 たけしが認めた若手芸人ビートたけし杯『お笑い日本一』」で優勝。2024年「THE SECOND~漫才トーナメント~」のグランプリファイナルに出場。

X(旧Twitter) @ta_ni_shamo @cmtcurry YouTube ハンジロウのラッタッターで向かいます   

取材・文:安倍川モチ子
撮影:川戸健治
編集:求人ボックスジャーナル編集部 内藤瑠那

【関連記事】

おすすめの記事