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創業から100年 地域活性化の仕掛け役に 伊賀・ダイヤモンド神山

伊賀タウン情報YOU

店内に飾られたカップルの写真の前に立つ神山社長(左)と知香さん

 1924(大正13)年創業の、宝石、眼鏡、時計、補聴器などを販売するダイヤモンド神山(三重県伊賀市阿保)の4代目、神山幸久社長(51)は「地域とともに歩んできた100年。これからも地域活性化のために貢献したい」と語る。

創業当初の店。初代・宗龍さんは東京を訪れ、おしゃれな店舗づくりの参考にした(提供)

 100周年を記念して作ったスライドの一枚に、大きな手作りの恐竜をトラックに乗せ、にぎわう初瀬街道をパレードする先代の父・紀生さんの姿があった。「祭り好きの血はそのまま私の中にも流れている」と笑う神山社長は「人見知りゼロ、人前に出るのが大好きな人間」といい、地域を明るくする仕掛け役になっている。

 母さだ子さん(80)が嫁いできた58年前、商店街には40を超える店舗がひしめいていたが、今では10店舗に減ったという。「僕はこの街で育ったし、幼いころは子どもの声でにぎやかだった。今は店舗の後継者不足もあり商店街は寂しくなったが、僕はそうした原因を国や景気のせいにしない方で、決して頭の中までは不景気にならないと考えている。アイデアと行動力で地域を明るくするのが、宝石店としての使命」

きっかけは「あいさつ運動」

 神山社長が地域と関わりを持ち始めたのは、長女が通っていた青山小学校のPTA会長に選出されたこと。毎朝校門に立って始めたあいさつ運動をきっかけに、保護者らからさまざまな相談を持ち掛けられるようになった。毎年続けている講演会に加え、マルシェの開催や夏休みの宿題を皆で集まってやる会、地元の愛農学園農業高校生との餅つきなど、思い付きを形にするグループ「NEOBIRU」を立ち上げ、活動を広げた。

 また、結婚式を挙げられないと寂しそうに話すカップルを見て、店内での式を企画。父親が牧師役になり、来店客などに呼び掛けてウエディングボードなども準備して盛り上げた。「幸せになってもらうためには何でもやる」という神山社長のアイデアだ。声楽家でもある妻の知香さんが歌唱する機会もある。

 100周年を迎えた昨年は、同店主催の大運動会を青山中学校の体育館を借りて実施。「普通では面白くない」と、用意した10色の恐竜の着ぐるみなども登場し、100人の来場者から喝采を浴びた。

 店内の一角の壁面には、これまで関わってきた約千組の中から、数百組のカップルの幸せそうな写真が飾られている。品ぞろえにもこだわり、ヒマラヤ山脈の中腹で採取されたという水晶やイタリア製の木製フレームの眼鏡などもあり、そこから商品の話題を広げていく。「ありきたりとは一線を画す」をモットーに、ジュエリーなどにオリジナルの装飾を提案、顧客の満足を得ている。

 「自分が輝いていないと誰も寄ってきてくれない。『自分磨き』を意識しながら、10年、100年先も地域の皆さまに愛されるよう頑張っていきたい」と話した。

2025年1月11日付883号5面から

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