「トレーラーハウス」が人気!災害時に活用も
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今日は、近年人気を集めている「トレーラーハウス」の話題です。
トレーラーハウスとは
耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、簡単に言うと車輪が付いた家のこと。
具体的にどんなもので、今どんな形で利用されているのかトレーラーハウスの製造・販売や、宿泊施設の運営を行う、ソラナリゾート株式会社 営業本部長 萩原麻貴さんのお話です。
ソラナリゾート株式会社 営業本部長 萩原麻貴さん
トレーラーハウスとは、タイヤの上にお家が乗っかっていると思っていただければと思います。木造の戸建て住宅と同じつくりで作っています。住宅で使用できる設備は、トレーラーハウスでも全て使用可能になっています。床暖房も使用できますし、オール電化にすることもできます。
コロナ禍でプライベート空間の需要が高まってきている中で始めた事業なんですが、始めた当初よりも問い合わせも増えてきて、とても需要の高まりを感じています。お客様によって様々なんですけれども、住宅や別荘としてはもちろん、最近では事務所や店舗で使用されるお客様も増えてきています。
お値段としては大きさにもよりますが、800万円から1300万円ほどになります。
都内の展示場で住居タイプのトレーラーハウスを見せてもらったんですが、天井が高くて広く感じましたし、キッチンもお風呂も、ロフトも付いていて、快適そうでした。中に入ると、車輪が付いているのを忘れるほど、普通の家と同じ感覚でした。
比較されやすいのがキャンピングカーですが、トレーラーハウスは、自分で運転するのではなく、基本的には車でけん引して移動します。
お花屋さんや、喫茶店、テイクアウトの店など様々な業種の店舗としても人気とのこと。40代~60代の利用者が多く、別荘や離れとして、また、事務所を増やすときなどのニーズが高まっているそうです。
トレーラーハウス 災害時は避難所や仮設住宅に
このトレーラーハウス、「災害」の際にも活躍しています。これまでに多くの被災地にトレーラーハウスを輸送、設置している長野市の株式会社カンバーランド・ジャパン 原田英世社長に伺いました。
株式会社カンバーランド・ジャパン 原田英世社長
2007年に中越沖地震で被災した柏崎に使っていただいて、2011年の東日本大震災。大船渡、陸前高田、石巻、100台を超えて使っていただいているので、2007年から2011年頃がきっかけで、被災地で活用いただけるようになったんですね。2016年に熊本地震があって、トレーラーハウス約30台で、県の土地を活用して、福祉避難所を設置させていただきました。2023年くらいに、やっとコロナが明けたかなと思ったら、年明けていきなり、能登の地震。能登では、仮設住宅で30世帯分くらい、外から行った人たちの受け入れの場所として20台を、あとはトイレとか、いろんな分野で提供させていただいて、70台強くらいが能登に行っています。
1月1日に震災があって、8日には1台目が入ったそうです。もともと震災前から石川県珠洲市は、トレーラーハウスをキャンプ場で活用していたそうなんですが、能登半島地震でも「ジャッキ」という、支えている土台が少し外れたくらいで、すぐに利用できるようになったそうです。
被災地ではまだ家の解体が進まず、自分の土地が使えないという方たちが「できるだけ住んでいたところの近くで過ごしたい」と、例えば近くの親戚の土地を借りて、そこにトレーラーハウスを置いて仮住まいにするという例もあるということです。また「福祉避難所」という話も出てきましたが、高齢者や障がいのある人など配慮が必要な方を対象にする避難所で、このように需要に合わせて、いろいろな形で活用されてきました。
災害時に活用する際の注意点
災害時のトレーラーハウスのメリット、また注意点について、再びカンバーランド・ジャパン 原田英世社長のお話です。
株式会社カンバーランド・ジャパン 原田英世社長
まず被災すると地元の人たちが混乱していて、電気屋さんも水道屋さんも自分たちのご近所の復旧・復興に精一杯になる。そういうところに外から持っていってあげるというのは、非常に便利だと思います。東日本大震災の際に、陸前高田とか石巻の復興マルシェとか、働く場所作りにしても、外から持ち込んであげた方が、早く復興できるメリットはすごくあると思います。
ただし、災害時に住宅再建に使えるトレーラーハウスというのは、スペックが決まっていて、能登半島の場合は省エネ住宅基準という、やっぱりそういうエネルギーの消耗を少なくしたりとか、これを全てクリアできていないと、仮設住宅とか避難所には使えないんですね。ですので、トレーラーハウスは、ただタイヤが付いているだけではなくて、国交省の住宅局の建築基準を準拠しているとか、トレーラーハウスとして認定されているとか、この辺を気をつけていただきたい。
原田さんによると、個人が普段使う分にはいいんですが、災害時に仮設住宅や避難所などとして使う際は、建築基準が決まっている。こういった点をまだ知らない方も多いので例えば「日常かつ、災害時にも利用したい」と考えている自治体をはじめ、多くの方にトレーラーハウスを正しく知って、広めてほしいと話していました。
(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』取材・レポート:西村志野)