猫の『マーキング行動』よく見られる3つの行動 やめてほしいときの対処法も
1.すりすり
多くの飼い猫が行うことが多いのが、すりすり。帰宅した飼い主さんの足に猫が体をこすりつける行為のことです。猫を飼っている多くの方が、かなりの頻度で経験されていることでしょう。
実は猫の顔まわりには臭腺と呼ばれる部位があります。この臭腺からは自分の縄張りを主張するためのフェロモンが分泌されています。このフェロモンを対象にこすりつけることで、「これは自分のもの!」とアピールするのです。言い換えれば、一種の親愛行動です。
余談ですが、猫が頭突きしてくるときもこのすりすりに近い意味合いがあります。
猫の頭部にも臭腺は存在しており、フェロモンを分泌しています。何度も頭突きする場合は、念入りにフェロモンを擦り付けようとしているのでしょう。この行動は、猫が対象のことを大好きだと思っているサインであり、攻撃行動ではないのでご安心ください。
2.爪とぎ
猫を飼っていると頭を悩ませることが多いのが「爪とぎ」ではないでしょうか。
実はこの爪とぎは、爪を鋭くするだけでなく、猫にとってはマーキング行動も兼ねています。
猫の爪の近く、肉球からはマーキングする分泌物が排出されます。加えて、痕跡も残るため匂いと視覚両方の意味合いでマーキングを行うことができます。縄張りの主張が激しいマーキング方法と言えます。
そのため、一度でも爪とぎされた場所は、猫にとって縄張りと化します。つまりその場所で、その後何度も繰り返し爪とぎを行うようになってしまいます。
家具やソファーなどが爪とぎでボロボロになるのは、このような理由があるからです。
3.スプレー
猫の「スプレー」とは、マーキング物質を含んだ尿を排泄する行為のことです。これは、去勢前のオス猫に多く見られるマーキング行動です。
スプレーは他のマーキング行動よりも、他猫との縄張りの境目に行われることが多めです。この行動をすることによって「ここから先は自分の陣地だぞ!」と訴えかけているのです。
また、このスプレーは通常の尿といくつか違いがあります。
まず違うのは、排泄方法です。通常の尿は座って排泄することが多いですが、スプレーの場合は四つ足で立ったまま尾を立てて排泄します。これは、より広範囲、より高い場所にまで尿がかかるようにするためです。付着する範囲が広ければ、雨などで流されても残りやすくなります。
さらに、匂いも違っています。スプレーの尿は通常時に比べて数倍臭いです。そのため、壁などに排泄されると大惨事となってしまいます。
「マーキング行動」をやめてほしいときの対処法
猫のマーキングは本能的な行動であるため、やめさせることは難しいでしょう。
そのため、マーキング行動から家具やソファーなどを保護する対策が最も有効な対処法となります。
具体的には「問題個所に保護シートを貼る」「カバーをかける」などが挙げられます。
他にも、猫の爪とぎやスプレーに強い壁材に変更する、という方法もあります。
マーキングの予防は、去勢手術を行うことが効果的でしょう。マーキングを始める前に獣医師に相談してみましょう。
まとめ
猫のマーキング行為は、縄張り意識が強い猫だからこその行動。叱ってやめさせられるものではありません。
そのため、各マーキング行動の特徴を知り対策を講じていくことが求められます。
今回の記事を参考に、猫のマーキング行動と上手に付き合ってみてください。
(獣医師監修:平松育子)