文化財 火災から守れ 大明寺、大椿寺で防火訓練
文化庁が定める文化財防火デー(1月26日)に際し、大明寺(横須賀市衣笠栄町)と大椿寺(三浦市向ヶ崎町)では、消防局や消防団による防火訓練が実施された。貴重な共有財産である文化財保護の関心を高めるとともに、地域ぐるみの防火意識を高めるため、全国各所で行われている。
大明寺江戸後期に焼損も
大明寺では23日、寺の関係者や消防隊約20人による訓練が実施された。本堂横の渡り廊下からの出火を想定し、関係者が寺務所から通報。水消火器による初期消火の後、消防隊が到着し、宝物などの搬出を確認した後に4本のホースによる放水を行った。
横須賀市指定重要文化財の「木造三宝本尊像」「木造伝日静上人坐像」などを所蔵する同寺。江戸時代後期には放火により本堂が焼失した過去を持つ。楠山泰道住職は「文化財も大事だが、人命の救助が第一。消防隊の協力に感謝したい」と訓練を振り返った。
大椿寺古墳の出土品守る
24日には大椿寺でも同様の訓練が実施された。本堂から出火した想定で通報、初期消火を訓練。消防隊の到着後は放水を行った。隣接する椿の御所幼稚園の園児らも避難訓練を実施した。
源頼朝の別荘だった「椿の御所」とされる同寺。本堂後方の古墳から出土した埴輪(三浦市指定重要文化財)を所蔵している。土田成明住職は「文化財の保護には消防隊の力が不可欠。記念日を機に動きが確認できてよかった」と話した。