「全長3m!」世界最大のタコ『ミズダコ』の生態 北海道で行われている3つの漁法とは?
世界最大級のイカ類はダイオウイカですが、世界最大のタコはご存知でしょうか?実は世界最大のタコは日本に生息しており、我々の食卓に上ることもあるのです。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
全長3メートルの巨大ダコ「ミズダコ」
世界最大のタコはマダコ科に属するミズダコという大型の頭足類です。その大きさは全長3mにも及び、一般的な食用ダコであるマダコは全長60cm程なので、ミズダコはマダコの約5倍の大きさということになります。
北海道ではこの大きさに由来した別名「オオダコ」で呼ばれる他、英語ではGiant pacific octopusとも呼ばれているようです。
全長の8割を占める8本の腕には300個近くの吸盤を持ち、吸盤の数などに地理的な変異があることからかつては複数種に細分化されていたとか。
本種は日本からカリフォルニアまで幅広く分布する種で、日本では北日本を中心に分布するものの土佐湾からも記録があります。
ミズダコは北海道の重要な水産資源
ミズダコは大きさばかりに注目されがちですが、北日本では漁獲対象としており、特に北海道では重要な水産資源として知られています。
青森以南に分布するマダコは北海道には生息せず、北海道でタコと言えばミズダコとヤナギダコのこと。ただし、北海道では雄のミズダコをシオダコと呼ぶのに対して雌のミズダコをマダコと呼ぶので混同しないように注意しましょう。
北海道はタコの水揚げ量が日本一であり、2018年における北海道周辺のミズダコの漁獲量は18000トンを超えました(北海道水産資源管理マニュアル2023-北海道)。ミズダコは北海道全域で多産する訳ではなく、特に多いのは日本海側・オホーツク海側だそう。中でも宗谷漁協は道内で一番のミズダコの水揚げ量を誇ります。
ミズダコ漁は3種類
タコの漁獲量日本一を誇る北海道ではどのようにしてミズダコを漁獲しているのでしょうか?ミズダコ漁の種類は大きく分けて3つあります。
タコ籠漁
一つ目はタコ籠漁と呼ばれる主に宗谷総合振興局管内で行われている漁法です。この漁法は餌を入れたタコ籠(バッタン籠)を海に設置するシンプルな漁法で、枝幸漁協では水深20m以浅の操業に限られています。
また、資源保護の観点から一人当たりの籠の数が50個まで2.5kg未満のタコはリリースと決められているようです。タコ籠漁ではミズダコの他にもカジカ類が漁獲され、そのまま籠の中で餌になるといいます。
タコ箱漁
二つ目のタコ箱漁はタコ籠漁に似た漁法で、タコが狭い場所を好む習性を生かした漁法です。タコ箱漁ではいくつかの連結した箱を海へ設置し、2週間に1、2回程度の箱揚げを行います。
樽流し漁(たこいさり漁)
三つ目は樽流し漁(たこいさり漁)と呼ばれる漁法で、道内で一番の漁獲量を誇る宗谷漁協でメインに行われている漁法です。この漁法では樽に仕掛け(いさり)を付け海に漂わせる方法が用いられており、縄張りに侵入した仕掛けにミズダコが飛びつくようになっています。
漁獲されたミズダコは新鮮なうちにボイルされ、粗熱を取った後に加工、全国に出荷されます。
産地・北海道では新鮮なミズダコが食べられる
世界最大のタコとして知られるミズダコは北海道で重要な水産資源として利用されているのでした。
ミズダコは全国へも流通していますが、産地である北海道ではさらに新鮮なものが食べられるので、是非、北海道へ行った際には食べてみてはいかがでしょうか。
<サカナト編集部>