九州高校女子ソフトボール選手権 日本文理大付属 10人の挑戦が風を変えた勝利 【大分県】
3月まで部員6人で活動を続けていた日本文理大付属が、いま注目を集めている。4月に新1年生4人が加入し、ついに試合に出場できる人数がそろった。新体制初戦となった九州高校女子ソフトボール選手権の県予選を制すると、10日に竹田市総合運動公園で開催された本戦では初戦を突破。準々決勝で強豪・神村学園相手に0-2で敗れはしたが、その堂々たる戦いぶりは確かな希望を感じさせた。
指揮を執るのは、今春就任したばかりの門松浩孝監督。長年、熊本県内で指導経験を積み、国内トップリーグのJDリーグでも采配を振るった名将だ。門松監督は「選手の今ある力を生かす」ことを最優先に掲げ、シンプルな戦術を落とし込む。小技に頼らず、長打で一気に畳みかける打線構築へと舵を切った。練習でも走塁とバッティングを徹底強化。特に意識改革の成果は打撃面で表れており、「自分たちの良さを生かせるチームになった」とキャプテンの平岩あいみ(3年)は語る。
その平岩は、2番バッターとして小技とチャンスメイクを担う。初戦では持ち味を発揮し、攻撃の起点となった。1番の辻朋花(3年)、3番の高橋美空(2年)と続く打線は強打が持ち味。試合経験こそ浅いが、タイブレークでも落ち着いて試合を運び、「粘り強さは自信になった」(平岩)と笑顔を見せた。
4月から新体制となった日本文理大付属
マウンドを託されているのが亀田浬響(りおん、3年)。九州高校女子選手権では朝の冷え込みや体調の波によって調子を崩す場面もあったが、守備陣の支えと自身の修正力で立て直す姿は、エースの風格が漂う。武器とするライズボールに加え、チェンジアップも習得中。監督の助言を素直に吸収し、試行錯誤を重ねながら球種の幅を広げている。「守備に安心感を与えられる投手になりたい」と語るその眼差しは、次の勝利を見据えている。
6人で戦ってきた日々が、今のチームの礎だ。少人数がゆえに練習時間が限られ、工夫の余地は多かった。しかし「だからこそ絆が強まった」と亀田。一人一人が自覚と役割を持ち、10人が連動して戦う。この連携力こそがチームの真骨頂となった。
県高校総体まで、残された時間はわずか。「インターハイ出場が目標。必ず勝ちにいく」と平岩は力を込めた。
エースとしてマウンドを託される亀田浬響
(柚野真也)