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介護職の五月病!原因や周囲のサポート方法、セルフケア方法を紹介します

ささえるラボ

介護職の五月病!原因や周囲のサポート方法、セルフケア方法を紹介します

本日のお悩み:五月病の職員さんへの対応方法やセルフケアが知りたい!

例年、5月前後になると4月に働き始めた新人職員さんから疲れやモチベーション低下、メンタル状態などに関する相談を受けます。

さらに、長く働いている職員さんでもモチベーションや活力が低下してしまうケースも見たことがあります。このような職員さんに周囲ができるサポートや本人ができるセルフケアがあれば教えてください。

そもそも五月病とは?

執筆者/専門家

後藤 晴紀

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/9

ご質問ありがとうございます。
新年度が始まるこの時期は、入職・転職・異動・引っ越しなど環境の変化が多くあり、疲れが溜まりやすく、五月病と言われる症状を抱える人が増えるといわれています。

五月病を軽く考えていらっしゃる方もいるかと思いますが、うつ病を発症した場合は放置してしまうことで、希死念慮や自殺企図など命の危険性に繋がる可能性もあるため、早期発見がとても重要で、周囲のサポートも不可欠です。

この記事では、そのような五月病について、原因とセルフケアや周囲のサポートについてお届けしていきます。

五月病とは

五月病とは、新年度となって約1ヶ月が経ち、5月になる頃に見られる「気分の落ち込み」や「体調不良」といった状態の総称のことです。

医学的な診断名ではありませんが、適応障害や軽度のうつ病に似た症状が見られます。症状の重さによっては、環境変化によるストレスが原因の「適応障害」や「うつ病」と診断されることもあります。

五月病の主な症状

ここからは五月病の具体的な症状について見ていきましょう。
五月病の症状は、大きく分けて精神的な症状と身体的な症状の2つがあります。

精神的な五月病の症状

1.やる気が出ない、仕事に対する意欲が低下する
2.不安感や焦りを感じる
3.気分が落ち込みやすい
4.集中力が続かない
5.人と話すのが億劫になる

●1.やる気が出ない、仕事に対する意欲が低下する

なんとなくやる気が出なかったり、仕事に対するモチベーションの低下は五月病の症状の1つです。

具体的には、通勤することが億劫となり、職場に足が向かない、利用者さんの話を集中して聞くことができない、小さなことにイライラしてしまうなどといった症状があります。

●2.不安感や焦りを感じる

また、特に大きな変化があったわけではないのに不安感や焦りを感じるのも、五月病の症状の1つです。

具体的には、将来のキャリアプランを見失ってしまう、なんとなく絶望してしまう、心臓の拍動が速まり動悸を感じるなどといった症状があります。

●3.気分が落ち込みやすい

気分が落ち込みやすいのも、五月病の症状の1つです。

気分が落ち込んでしまうと、何をしていてもマイナス思考で、自分に自信を持つことができなくなります。そうなると、前述したような症状を併発してしまう場合も多く、チャンスなどの機会損失にも繋がります。

●4.集中力が続かない

さらに、なんとなくそわそわして、集中力が続かないのも五月病の症状です。

集中力が続かないと、仕事においてミスが増えたり、申し送りを忘れてしまったりと周囲にも迷惑がかかる可能性があります。また、このような状態が続くと、自信がなくなって気分が落ち込みやすくなるなど、前述した症状にも繋がります。

●5.人と話すのが億劫になる

そして、人と話すのが億劫になるのも五月病の症状です。

介護職は特に人と関わることが多いからこそ、休憩中は1人で過ごしたいと思うようになったり、人と話していても上手く笑うことができなかったりと対人関係を億劫に感じるようになります。対人関係への苦手意識は、精神的なストレスなどにも繋がりやすいでしょう。

身体的な五月病の症状

1.食欲不振
2.疲れやすい、倦怠感がある
3.眠れない、または寝ても疲れが取れない
4.頭痛や肩こり、胃の不調などの身体症状

●1.食欲不振

五月病になると、気分が上がらず食事も喉を通らないことが多くあります。

栄養バランスが乱れると、イライラしやすくなったり、集中力が続かなかったりと他の症状にも繋がりやすいため、喉を通りやすい食べ物を選定するなど工夫をし、栄養バランスを維持できるとよいでしょう。

●2.疲れやすい、倦怠感がある

また、疲れやすく倦怠感があるのも五月病の症状です。

先述した通り、マイナスな感情をもったまま働いていると、普段通りの業務内容でも疲れを感じやすくなります。

●3.眠れない、または寝ても疲れが取れない

さらに、夜に眠ることができないであったり、寝てもなんとなく疲れがとれていなかったりと睡眠障害のような症状があるのも五月病の特徴です。

また、睡眠が十分にとれていないことで、逆に日中は眠くなってしまったり、通勤中に電車などで寝過ごしてしまったりと日中の生活に影響を及ぼすこともあります。

●4.頭痛や肩こり、胃の不調などの身体症状

身体的な不調として、頭痛や肩こり、胃の不調による腹痛なども五月病の症状の1つです。

その他、疲労やストレスによる瞼の痙攣などもあります。これらの症状があるまま働き続けると、精神面の負担や病状の悪化などに繋がります。

五月病の原因

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

ここまで、五月病の症状を確認してきました。
では、なぜ五月病は起こるのでしょうか。ここからは、五月病の原因を確認していきましょう。

1.環境の変化によるストレス
2.理想と現実のギャップ
3.頑張りすぎによる疲労の蓄積
4.ゴールデンウィーク後のリズムの乱れ

1.環境の変化によるストレス

引っ越しや、入職、異動などが4月にあり、新しい環境に適応しようと頑張りすぎた結果、5月に緊張の糸が切れ、五月病のような症状を引き起こすことがあります。

また、新しい環境に踏み出した人だけでなく、新しい人を受け入れる側であった先輩職員でも、新しい人に対して気を遣ったことなどで五月病になる場合があります。

2.理想と現実のギャップ

新しい環境になる以前に抱いていたイメージと、実際のギャップが大きい場合も五月病の原因の1つです。

たとえば仕事に置きかえると、「もっとやりがいがある仕事だと思っていた」「思った以上に大変だった」「以前の職場のほうが働きやすかった」「これまでとやり方やルールが全く違う」などがギャップの具体例として挙げられます。

3.頑張りすぎによる疲労の蓄積

新しい環境になることで、新人職員の方は「頑張らなきゃ」という気持ちが強くなり、無理をしすぎてしまう傾向があります。

無理は、一時的であれば可能ですが、継続的におこなうと精神面・身体面の不調などに繋がり五月病の原因になります。

4.ゴールデンウィーク後のリズムの乱れ

休み明けは、仕事の日との生活リズムの変化や、休みとのギャップによるモチベーションの低下などがあり、倦怠感を感じやすく、五月病にも繋がりやすい傾向があります。

五月病になりやすい人の特徴

五月病は、誰もがなる可能性をもっていますが、一方で全員がなるものでもありません。ここからは、五月病になりやすい人の特徴を確認していきましょう。

1.失敗を許せない人
2.仕事への意欲が高い方

1.失敗を許せない人

「私は業務を間違えてはいけない。」「私は業務を早く覚えなければいけない。」「私は即戦力としてできて当然。」「早く早番や遅番、夜勤のローテーションの業務手順や、ご利用者の名前と顔を覚えて、独り立ちしなければいけない。」などのように、完璧に仕事を行いたいと考えて焦ってしまう方は、五月病になりやすい傾向があります。

先述した、五月病の原因である「頑張りすぎ」と同じで、「失敗したくない」と考え続けることでずっと気を張ってしまい、その糸が切れたときに五月病のような症状に繋がります。

2.仕事への意欲が高い方

意外に感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は仕事への意欲が高い方も注意が必要です。4月は、事業所の多くで、新年度の準備や委員会編成、前年度の書類整理、3月頃から計画を立てているお花見行事の準備等、業務量が増える時期です。

仕事への意欲が高い方は、気づかないうちに多くの業務を抱え、その分、プレッシャーも高くなっていきます。業務負担が多くなると、責任感から業務を1人で抱え込んでしまい、残業も増えているかもしれません。それらの忙しさを終えたあとの燃え尽き症候群(バーンアウト)は、五月病のトリガーとなりうるため注意が必要です。

五月病の介護職員さんにできる上司のサポート

では、五月病を予防する際や、五月病の職員さんを支えるために周囲はどのようなサポートができるのでしょうか。まずは、上司ができるサポート方法を紹介します。

1. スタッフの業務量の確認や調整、分散をおこなう
2. 過去3ヶ月の残業時間の確認をして、業務負担が高くなっていないか確認する
3. 職員の性格的な傾向を把握したうえで、適切な助言を行う
4. 適切な育成計画が組まれているのか確認する
5. 定期的な面談の機会を設ける

1. スタッフの業務量の確認や調整、分散をおこなう

スタッフごとに業務の偏りがないか確認しましょう。業務の負担だけでなく、シフトの偏り(遅番のあと早番にはなっていないか、夜勤は連続していないかetc.)も確認が大切です。

偏りがあった場合は、全体の業務やシフトを見える化したうえで、どのように分散できるか考えるとよいでしょう。

2. 過去3ヶ月の残業時間の確認をして、業務負担が高くなっていないか確認する

また、業務量を確認するときは直近1ヶ月だけでなく、過去3ヶ月分の業務や労働時間を確認するようにしましょう。

直近1ヶ月のみだと、偶然繁忙期であった可能性があるため、3ヶ月確認する必要があります。3ヶ月連続で残業時間等が多い場合は、慢性的に仕事が偏っている可能性があるので、業務量などの見直しが必要です。

3. 職員の性格的な傾向を把握したうえで、適切な助言を行う

また、職員さんの性格を加味した声かけも大切です。職員さんによって、頑張りを認めてもらうことで力になる方もいれば、寄り添った声かけをしてもらいたい方もいます。

特に、頑張りすぎてしまう職員さんに対しては、その頑張りを認めつつ、肩の力を抜くことの大切さも伝えていきましょう。

4. 適切な育成計画が組まれているのか確認する

新人の職員さんの場合、一方的に教えるだけの教育体制や、質問ができない環境の教育体制だと仕事に対してマイナスな気持ちをもち、そこから五月病に繋がる可能性があります。

そのため、育成計画が職員さんの成長だけでなく、メンタルのケアまで含まれているのか確認することが大切でしょう。

5. 定期的な面談の機会を設ける

また、定期的な面談(1on1)の機会も重要です。面談では、職員さんの現状を確認することはもちろん、課題の把握なども行うことができます。

また、忙しい介護の現場において、1対1で承認することができるのも、この面談の時間でしょう。職員さんの成長を認め、ポジティブなフィードバックを行うことでモチベーションの維持に繋がります。

五月病の介護職員さんにできる仲間や組織のサポート

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

次に、周囲の仲間や組織ができるサポートを紹介します。

1.声をかけて話を聞く
2.仕事の負担をチームでも調整・分散する
3.リラックスできる職場環境をつくる
4.必要に応じて専門家のサポートを促す

1.声をかけて話を聞く

「最近どう?」「疲れてない?」と気軽に声をかけるだけでも、相手が抱えているストレスを吐き出すきっかけになります。大切なのは、アドバイスをするより、まずは話を聞く姿勢を持つことが重要です。

【ポイント】
・話を否定せずに共感する
・「それは大変だったね」「よく頑張っているね」と共感し労う
・「どうしたら楽になると思う?」「私から上司に伝えてあげるよ」と相手の気持ちを確認しながら尊重する

2.仕事の負担をチームでも調整・分散する

特に疲れがたまっている新人職員さんには、仕事の負担を軽減することも必要です。

例えば、期日が決まっていない業務を一時的に他の職員さんがサポートする、簡単な業務から取り組んでもらうなどの調整をします。そのために、事前に育成内容や育成計画を打ち合わせておく必要があります。

3.リラックスできる職場環境をつくる

緊張感が強すぎる職場はストレスがたまりやすいため、適度にリラックスできる環境をつくることが大切です。

【具体的な対応例】
・休憩中に雑談ができる雰囲気を作る
・「仕事だけでなくプライベートも大切にしてね」と寄り添った声をかける
・周囲の人が自らのリフレッシュの仕方を共有する

4.必要に応じて専門家のサポートを促す

症状が重く、長期間続く場合は、心療内科やカウンセリングを勧めることも必要です。

「無理しなくていいよ」「一度専門家に相談してみるのもいいかも」と、相手に不安感を与えたり、追い詰めないように配慮して関わりましょう。

五月病かも?自身でできるセルフケア

最後に、当事者ができるセルフケアの方法を紹介します。

1.生活リズムを整える
2.栄養バランスのとれた食事をとる
3.適度な運動を取り入れる
4.仕事とプライベートのバランスをとる
5.期待しすぎず、自分のペースを大事にする
6.ストレスを言葉にする
7.深呼吸やマインドフルネスを実践する

1.生活リズムを整える

・決まった時間に就寝、起床する
・7時間以上の睡眠を確保する
・朝日を浴びることで自律神経を整える
・休日も昼夜逆転しないよう心がける

2.栄養バランスのとれた食事をとる

・炭水化物だけでなく、タンパク質やビタミンを意識する
・カフェインやアルコールの摂りすぎを控える
・食事の時間をできるだけ一定にする

3.適度な運動を取り入れる

・1日20分程度のウォーキングをする
・ストレッチやヨガをおこなう
・休日に外に出て体を動かす

4.仕事とプライベートのバランスをとる

・趣味や好きなことをする時間を作る
・休日は仕事のことを考えない
・休日は職場から少し離れてリフレッシュする

5.期待しすぎず、自分のペースを大事にする

・できなくても自分を責めすぎない
・失敗をしたときは「仕方がない、次につなげよう」、「何とかなる」などプラスに考えてみる
・自分がこれまで頑張ってきたことを認めて褒めて労う
・「できることを1つずつ進めよう」と考える

6.ストレスを言葉にする

・友人や家族に話す
・職場の先輩や上司に相談する
・日記を書いて自分の感情を整理する

7.深呼吸やマインドフルネスを実践する

マインドフルネスとは、「今という瞬間や体験に注意を向けて、それをありのままに受け入れること」を意味する用語です。※・4秒吸って、4秒止めて、8秒かけて吐く呼吸法を実践する
・瞑想やマインドフルネスを試す
※参考:日本メディカル心理セラピー協会マインドフルネスとは何か?効果や瞑想のやり方、注意点まで解説

最後に:五月病は誰にでも起こりうるもの

五月病は誰にでも起こりうるものです。しかし、周囲のサポートや本人のセルフケアによって、未然に予防できたり乗り越えることができます。職場では「話を聞く」「負担を調整する」「ポジティブなフィードバックをする」関わりが重要ですね。

五月病を防ぐ環境こそが、介護業界でいわれている生産性向上にもつながり、働きやすい職場環境になると思います。

また、セルフケアとしては「生活リズムを整える」「ストレスを発散する」「自分を追い込みすぎない」ことなどを普段から意識することが大切です。自分を大切に、無理をせず、お互いに支え合うことで、五月病を予防していきましょう。

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