注目選手 バスケットボール男子(2) チームを背負うエースの現在地 【大分県】
初めての公式戦を経て、新チームの土台は固まりつつある。チームをつくる上で核となるエースの存在は大きい。今回はバスケットボール男子・県高校新人大会でベスト4チームのエースの現在地をチェックした。
空中を舞うスコアラーの挑戦
スタークス・ジュリアン・リトルジョー(別府溝部学園2年)
得点力5 アシスト力3 リバウンド力4 ディフェンス力3 経験4 ポテンシャル5 ※各5点満点
天性のバネと独特のリズムを武器に、得点を重ねる。どんな体勢からでもシュートを決めるセンスがあり、リングへと吸い込まれるような美しい軌道を描く。特に空中での動きには目を見張るものがあり、相手ディフェンスをかわしながらのダブルクラッチは圧巻だ。細身ながら手足が長く、柔らかい身のこなしでディフェンスの隙間を抜け、コートを舞う。
ポイントゲッターとしての自覚も強く、1試合平均30得点を目標に掲げる。好不調の波が激しいのが課題。だが、一度波に乗れば驚異的な攻撃力で相手を圧倒し、チームを勝利へと導く力がある。試合中は感情をあまり表に出さないが、ひとたび得点を量産し始めれば、会場の空気を一変させるほどの存在感を放つ。
普段は恥ずかしがり屋で、自分から多くを語ることはないがプレーでチームを引っ張る。1年の頃から試合に出場し経験を積んできたが、全国大会の舞台はまだ踏んでいない。「全国の舞台で自分がどれだけ通用するか試したい。そのためには、まずチームを勝利に導ける選手にならなければならない」。静かだが、内に秘めた情熱は誰よりも熱い。
強い意志を武器に全国を目指す
吉田陽汰(藤蔭2年)
得点力4 アシスト力4 リバウンド力3 ディフェンス力4 経験4 ポテンシャル4
強い気持ちと高い得点力を兼ね備えたシューティングガード。中学時代はBリーグの下部組織でプレーし、磨かれた技術を持つ。身長170cmと決して大柄ではないが、スピードを生かした鋭いドライブ、正確なジャンプシュート、さらには3点シュートも得意とし、得点パターンは多彩である。
新チームになってからは、得点だけでなくゲームメークにも意識を向けるようになった。ピック&ロールを駆使し、味方を生かすプレーに目覚めたことで、吉田のプレーはさらに進化を遂げている。西山泰加監督は「プレーの引き出しが増え、攻撃の幅が広がった」と成長を実感している。
県高校新人大会ではチームをベスト4へと導く活躍を見せたが、後半に入ると体力の消耗とともにミスが増え、シュート精度が落ちる場面もあった。「後半のシュート成功率を上げなければならない」と、試合後には自身の課題を冷静に分析した。
4月になれば最終学年になる。「高校で『やり残したことがない』と思えるようにするためには、全国大会への出場が全て」。その強い決意を胸に、自らの手で全国の舞台を切り開く覚悟だ。
(柚野真也)