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『I ROCKS 2025』10周年を経て主催LACCO TOWERが辿り着いた魅力ある音楽フェスの形とは

SPICE

LACCO TOWER

群馬県伊勢崎市という小さな場所から、地域や世代を超えて繋がる大きなメッセージを届ける音楽フェス。今年で開催11年目を迎える「I ROCKS 2025」は、3月と4月の2か月間にわたる「I ROCKS BASE」でのライブシリーズ「BASE編」と、4月18,19,20日に「メガネのイタガキ文化ホール伊勢崎」で開催されるフェスをリンクさせた新形態へとパワーアップ。群馬県を代表する、より魅力的な音楽フェスティバルへと進化した。


SPICEでは「I ROCKS 2025」を盛り上げるべく、主催者のLACCO TOWERのメンバー全員にインタビューを敢行。去年の総括、今年の見どころ、そして未来への挑戦について、余すところなく本音を語ってもらった。伊勢崎が熱く燃える2か月間、「I ROCKS 2025」の盛り上がりをぜひ現場で体感してほしい。

――いろんな話題があるんですけど、今年の話に行く前に、ちょっとだけ去年のことを振り返らせてもらって。去年は10周年で、群馬アーティストだけのライブ「故郷編」が久々に開催されたり、いろんな新しい展開もあって、それを踏まえての今年ということになるので、去年の総括から始めたいと思います。まずケイスケさん、どうですか。

松川ケイスケ:毎年そうなんですけど、やってもやっても課題が見つかるというか…僕らの性格もあるんでしょうけど、「もっとここはこうできたよね」とか、裏側のところでの反省は毎年あって、同じ場所でやってるはずなのに、新しい課題が見つかるのは毎度のことなんで。そこが自分たち的には情けなくもあり、まだ成長できる部分もあるなっていうことを、去年もやっぱり感じましたね。

――メンバーは演者でありつつ裏方っていうか、両方をやってるわけじゃないですか。表から見ているだけじゃわからないこともたくさんあると思います。

松川:だから自分らが、よそのフェスに参戦させていただいた時も、「ここはゴミ袋あったほうがいいよな」とか、そういう視点になっちゃいますね(笑)。「ここすごいな」って感じる部分が、ちょっと運営者寄りになってるかもしれない。

塩崎啓示:去年は10周年という節目の中で、I ROCKSが本来やろうと思っていた本当の理由だったりきっかけだったり、原点に立ち戻っての開催だったと思うんで。そこでもう一度「故郷編」という、群馬アーティストの日ができたのは大きかったですね。本当に偶然なんですけど、同じ時期に高崎clubFLEEZが正式に閉店しますという情報が出て、まさに群馬の音楽シーンの歴史が変わるタイミングになったりとか、地元の伊勢崎市が誕生20周年で、そのテーマ曲として作らせてもらった「綾」を発表するタイミングでもあったりとか。自分たちが思い描いてた10周年とは違いましたけど、いろんなことが大きく動き始めた時期の開催だったと思います。

細川大介:何でもそうだと思うんですけど、周年って意外にやりやすいっていうか、「自分たちの集大成を見せます」もできるし、「新しいことをやります」もできるし、何をやってもお祝い事として楽しんでもらえるんですよね。そういう意味で「故郷編」を復活させようっていうのも、「周年だから」ということで、みんなが納得できたっていうのもあるんです。なんで「故郷編」を一度やめたかというと、自分たちの思い描いた結果を出せなかったから続けられなかったっていう側面もあるんで。去年は「周年だから」ということで、「故郷編」も含めて3日間はすごく成功したと思うんですけど、全て自分たちの思う結果にはやっぱりならなくて、悔しさもすごいあって。それを踏まえて「来年はどうしようか」って、終わった瞬間から悩み始めたって感じですね。

――やっぱり運営の目線が勝つというか、そうなりますよね。

細川:「楽しかった」で終われれば一番嬉しいですけど、なかなか…(笑)。僕らの性格もあるのかもしれないですけど、みんなの前ではワーッと楽しく見せますけど、やっぱり反省点のほうが多いような感じがしちゃいますね。

重田雅俊:みんなと同じように、僕も反省はあるんですけど、何より10周年っていうことで、過去最多のアーティストに出てもらって。I ROCKSはコロナ禍でもずっと続けてきたんで、10周年っていう節目でまた景色が戻ってきたっていうか、そういう実感はありましたね。あれだけのアーティストを10周年で呼べたことが、僕にとっては嬉しいことだったかなと思います。その反省を生かして、より良いフェスにしていこうと思えた10周年でしたね。

真一ジェット:I ROCKSを10年続けられたっていうところで、すごい感慨深い年ではありました。新たに始めたこともいっぱいあって、「故郷編」の復活もそうですし、伊勢崎駅からのシャトルバス運行も初めてで、無料駐車場を設けたり、会場内だけじゃなくて、外のI ROCKS GARDENっていう無料エリアにも力を入れて、かなり充実させたりとか。そういった新しいことをやった上で、さらに反省点も増えていくんですけど、まずは新しいことをやれたのが良かったと思いますし、それを踏まえて11年目のI ROCKSをどうするか?っていう、この後が大事だなっていうことを本当に深く思ったかなと思います。

塩崎啓示(Ba)

――今年の「I ROCKS 2025」のメインステージは、4月18,19,20日の3日間。11年目の新たなスタートです。去年の結果を踏まえて、どんなところが進化しますか。
細川:一番は出演バンド数で、本編の2日間(19,20日)だけで言ったら数は減ってます。それは去年、過去最多のアーティストに出てもらった中で、お客さんからの意見で一番出てたのが「休憩する時間がない」「(時間が重なって)見たいアーティストいるけど見れなかった」ということで。それを踏まえて、ちょっとだけ数を減らしたのが、一番大きく変えたところかもしれないですね。僕たちも、自分たちのフェスなのに時間に縛られていたところがあって、例えばLIVING STAGEに行ってお客さんの楽しんでる姿を見るとか、なかなかできなかったので、もっとお客さんの顔を直接見たいということが、僕たちの中で大きく変わったところかなと思います。

真一:出演者は減ったんですけど、演奏時間に関しては増えてるので。一つ一つのアーティストをもっと深く見ていただければなと思います。

――そこは大きいポイントですね。

塩崎:あと大きいのは、「BASE編」を始めたこと。3日間に集約してたI ROCKSが、そこだけで完結できない部分もあったりして、もうちょっと楽しみを増やしたいなって単純に思ったんですね。3日間に来れないアーティストが「BASE編」に出てくれたり、I ROCKSに出てくれるアーティストにも少し形を変えて出てもらったり、それが今回の新しい試みではありますね。

――「BASE編」は、LACCO TOWERが運営するカフェ「I ROCKS BASE」での開催。すでに3月2日のLACCO TOWERワンマンからスタートしていて、I ROCKSの3日間をはさんで、4月29日の松川ケイスケ・ソロライブまで続きます。

塩崎:アーティスト数で言うと2か月間で55組にもなるんで、ローカルな伊勢崎っていう町にこんなにアーティストが来るなんて、歴史に残るんじゃないかな?と思います。地元が田舎だからこそ、毎週末にアーティストが来て素晴らしい音楽届けてくれることが、自分たち的にもすごくいいことだなって思います。

松川:LACCO TOWERでBASEに出るのは初めてだったし、僕も初めてソロでやらせてもらうので。何をやるか、まだ決めてないんですけど。みんなでUNOするとか。

塩崎:歌えよ(笑)。

松川:でもそういう自分たちの基地で、自分の初めてを出せるのは嬉しいです。

重田:「BASE編」は今までなかった試みで、自分らが皮切りでやったんですけど、単純に楽しかったです。あとは、伊勢崎市の20周年を機に伊勢崎の企業さんに認知してもらって、協力していただいた部分も増えてきてるんで、もっと地域のみんなが知ってるフェスになればいいかなと思います。

――もうなってると思いますけどね。

重田:まだまだです。でも「綾」という曲をやらせてもらったのは、本当にいいきっかけになって、伊勢崎市との繋がりがより深くなったんで。地元に恥じないようなバンドであれたらいいと思います。

松川ケイスケ(Vo)

――あと、今回からLIVINGスペースが進化してLIVING STAGEになると聞いてます。これについては?

真一:初日の「故郷編」の中で、前回はアーティストにちゃんとライブをしてもらったのはライブができるステージはYOU STAGEだけで、LIVINGではLACCO TOWERによるイベントのみだったんです。トークイベントみたいなことをしたんですけど。それを今回はLIVINGをステージとしても活用して、ちゃんとしたアコースティック・ライブができるような形にして、YOU STAGEとLIVING STAGEでのサーキット形式での開催となります。になります。群馬のアーティストって、バンドだけじゃなくて弾き語りでも活躍してる人がたくさんいて、そういった人たちもぜひI ROCKSに出てほしいっていう思いもありつつ、そういった形にしました。

塩崎:そもそも「故郷編」に出るアーティストは、「群馬バンド」って言ってたんですけど、今は「群馬アーティスト」って言ってます。弾き語りの子たちって、ライブハウスでもやってますけど、やっぱ知り合いづらいんですよね。それが今まで3年間、I ROCKS BASEで定期的にイベントをやってきた中で、そういう地元のアーティストと知り合うことが多くなって、真一が言うようにめちゃくちゃいいアーティストがたくさんいるんですよ。だから僕らも「群馬バンド」という枠を取っ払って、今回からやってみようと思ってます。サーキットっていう意味では、YOU STAGEのバンドのライブ感と、LIVING STAGEのアコースティックのライブ感は全然違うと思うんですけど、それが一緒に見れるのはすごくいい機会だなと思ってます。

松川:去年、そこ(LIVING)で演奏した経験も大きいですね。他のアーティストとコラボしながら、実際自分たちが演奏してみて、「これはたくさんの人に見てもらえる」っていう瞬間があったので。

――初日の「故郷編」、さらに注目です。あと、アメニティに関してはどうですか。いわゆるフェス飯、フードについては。

塩崎:今年のフードは、自分たちのことを知ってもらってる方しかいないです。県内のI ROCKSやLACCO TOWERを知っている方、または思いがある方のみ来てもらうということで、何より今回、キッチンカーの方々がI ROCKSのために新メニューを開発してくれてるんですよ。例えば伊勢崎の名物だと、もんじゃ焼きとか色々あるんですけど、群馬全体で言うと焼きまんじゅうとか、そういうのって県外の方からしたら嬉しいじゃないですか。そこで新メニューをみなさんが開発してくれて、店によってはアーティストとコラボするとか、そういうことを今やってもらってます。すごくありがたいですよね。

松川:そのエリア(I ROCKS GARDEN)は、誰でも入れるように解放してあるので、よければ近郊の方とかにも来ていただいて。

塩崎:しかも、ありがたいのは、営業が18時までなんですよね。うちら(トリのLACCO TOWER)の出番が18時20分なんで、その前にお店を閉めて、「みんなで見に行くぞ!」って言ってくれる。キッチンカーのみなさんも、たぶん見に来てくれるんじゃないかな。それって当たり前のようで、当たり前じゃないですよね。

重田雅俊(Dr)

――一体感が出ますよね。シゲさんどうですか、今年のフードは。

重田:高崎にある大大坊(ダイダラボウ)っていうラーメン屋さんが、元々先輩なんですけど、毎年新メニューを作ってくれて。この間も「BASE編」の僕らが出た日に来てくれて、「試食してくれ」って。僕が毎回辛いのを食わされるんですけど(笑)。

松川:辛いのが好きって言っちゃってるからね(笑)。

重田:今回はもんじゃ焼きにちなんで、まぜそばを作ってくれて、「アマ」と「カラ」があるんですけど。「アマ」がいちごシロップなんですよ。

塩崎:『秘密のケンミンSHOW』とかでよく特集される、伊勢崎のご当地フードで、もんじゃ焼きにいちごシロップを入れるやつがあるんですけど。それが「アマ」で、大大坊が新しく開発したのが、もんじゃ焼きふうまぜそばの「アマ」と、重田の好きな「カラ」と。

重田:「カラ」はカレー粉です。

塩崎:それのミックスもあったりして。ミックス、意外と美味しいんですよ。「BASE編」でも、全日程ではないんですけど、他のキッチンカーの方も限定のメニューを出してくれてるので、それもI ROCKSっぽいというか、フードのところもちゃんとリンクしています。

――伊勢崎らしさ全開のフード、楽しみです。そしてもちろん、一番楽しみなのが出演者で、おなじみのメンバーもいれば、初登場のアーティストもいて。

塩崎:SHAKA LABBITS、ハンブレッダーズは初ですね。

重田:シャカラビは年明けにツーマンをやらせてもらって。その前から、啓示が雑誌で対談したりして。

塩崎:MAHさんが栃木で、UKIさんが群馬出身という接点もあって。年が一個、学年では二個違いで、昔から存在は知ってたんですけど、ドーンと雲の上みたいなところへまで行ってしまっていたので、なかなか共演する機会もなく。それが今回復活(活動休止を経て2024年に再始動)するということと、地元が一緒っていうのが大きいですね。

松川:アーティストのブッキングは基本的には塩崎で、繋がりがあるところはメンバーからも連絡を取って。9mm parabellum bulletもそうで、(I ROCKS出演は)初ではないですけど、今回は大介が一緒にやらせてもらうということで、そういう意味では初と言うか。

細川大介(Gt)

――それが、9mm Parabellum Bullet [Expand Session]。大介さんが、9mmのゲスト・ギタリストとして参加するというのは、今回の大きなトピックですけども。どんな経緯で実現したんですか。

細川:元々(I ROCKSに)9mmを誘わせていたいただいた時に、ギターの滝くんが別のバンドをやってて、海外に行ってるので出られないけど、「もし良かったら、大介さんどうですか」っていうご連絡を向こうからいただいて、快く受けたっていう感じですね。この間も、(菅原)卓郎くんとサポートの武田(将幸)くんと一緒にご飯食べながら、「どんな曲やろうか」っていう話をしたんですけど、その段階から入らせていただいて、どんなライブにするかを今考えてるところですね。

塩崎:大介が9mmで弾くのは、誰よりも名誉なことだと俺は思うんで。どんなすごいプロのバックバンドで弾くより、9mmで弾くほうがすごいと思う。

細川:向こうサイド的には、「好きにやってほしい」っていうことを言われてます。「滝の代わりじゃなくて、LACCO TOWERの大介として誘ってるから、そのまんまの形で来てくれ」って。

――いい話です。

細川:ハンブレッダーズに関しては、実は何度か誘わせていただいて、今回やっとタイミングが合って出演していただくことになりました。常に「このアーティストかっこいいよね」っていうのをみんなで話していて、その中で「誰に声をかけるか」っていうのを決めていく作業を毎年やってるんで、「ハンプレッダーズ、初なんだ」「シャカラビ、初なんだ」ってお客さんは思うかもしれないですけど、僕たちの中では「やっと今回出てくれる」っていう気持ちの方が大きいんですよね。

――しかも、ライブが強いバンドばかり。他に出演する、アルカラ、BLUE ENCOUNTとかも全部含めて。

細川:元々のI ROCKSのコンセプトは、「僕たちが知り合ったかっこいいアーティストを地元のみんなに見せる」っていうのが一番なので、必然的にライブがかっこいいバンドが選ばれるのかなと思います。それこそ、出演者を選ぶ時に、メンバー全員が納得しないとOKが出ないっていうか、結構長い時間をかけて話し合ったりして、決めていくんですね。

真一ジェット(Key)


――真一さん、どうですか。今年の出演アーティストの顔ぶれは。

真一:僕の一押しはグッドモーニングアメリカなんですけど、活動休止から復活した時(2023年)から、「グドモ呼びたい」ってずっと言ってたんですよ。グドモは一年目のI ROCKSに出て、トリを取ってくれたんですよね。フェスのことを何も知らない、まだ駆け出しのLACCO TOWERに手を貸してくれたというか、志をわかってくれたっていう、その思いがすごく嬉しかったので、どうしてもI ROCKSにまた出てほしくて、ずっとプッシュしてたんですけど。今回やっと思いが届いて、出てくれるのがすごく嬉しいです。

――それもいい話。そういうエピソードはたぶん、各バンドにもあるんでしょうね。

細川:今の話に繋げると、初年度に僕らがトリじゃなかったっていうのも、意味があったんですよね。究極、I ROCKSって、LACCO TOWERがいなくても成立するようなフェスにしたいんですよ。例えば僕たちが年を取って、今年は出れないってなった時にも止まりたくないっていうか、僕たちがいなくてもフェスが続いていくのが一番の理想なので。だからこそ、常に改善点を見つけて、いろんな人の話を聞いて、フードから何からちょっとずつ改善していって、みんなが楽しめるフェスを目指してるっていうのが一番根底にありますね。

――素晴らしいです。話がきれいに一周して、去年の反省が今年に繋がって、未来へ繋がることがよくわかりました。『I ROCKS 2025』、楽しみにしてます。いろんなアーティストのファンのみなさんも、現地で会いましょう。

細川:あらためて、一番言いたいのは、I ROCKSは「BASE編」から始まっているということで、そこが一番チャレンジングなところだと思ってますね。2か月間、丸々I ROCKSを楽しんでいただけたら僕らはすごく嬉しいし、僕らも、自分が出なくても「BASE編」を見に行きますし、僕ら自身もI ROCKSなんだっていう自覚を持って楽しみたいから、本編3日間もそうですけど、ぜひ2か月通して遊びに来ていただけたら嬉しいなと思います。

塩崎:I ROCKSって、本当にの周りの人に支えられてるというか、こういうインタビューもそうですけど、みなさんの協力がないとできないことなので。いろんな人に支えていただいてるなって思うと、毎回身が引き締まる思いがします。ぜひたくさんの人に伊勢崎に来てもらって、『I ROCKS 2025』を楽しんでもらえたら嬉しいですね。

取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希

『I ROCKS 2025 stand by LACCO TOWER』

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