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防災トイレ選びは価格よりこの4つのポイントに注目して! 防災士が実際に商品を試してみた結果は

月刊総務オンライン

防災トイレ選びは価格よりこの4つのポイントに注目して! 防災士が実際に商品を試してみた結果は

十分な備蓄がない中でも、身近にあるものを上手に活用することで自分や大切な人の命を守るライフハック、防災グッズレビューなどをお届けしている本連載。前回は、100円均一ショップのアイテムを使って、安価に、そして簡単に、災害時に利用できる簡易トイレを作る方法をお伝えしました。ただし、中には「自作のトイレだけでは性能面で心もとない」と思う方もいらっしゃるのではないかと思います。そこで今回は、市販の防災トイレ(携帯トイレ・簡易トイレ)を購入する際に失敗しない選び方のポイントを4つご紹介したいと思います。ポイントに沿って選んだ商品を実際に試してみたレビューも記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ポイントは4つ! 失敗しない防災トイレの選び方

防災トイレは、家族全員分を一からしっかり備蓄しようと思うと、かなりの出費になります。そのため、価格の安さだけに注目して商品を選んでしまう方も多いようです。

しかしやはり、安いには安いなりの理由があり、

 ・備え付けの袋が便器のサイズと合わず、使えない

 ・防臭効果がイマイチで、におい漏れが気になる

 ・凝固剤が少なすぎる、凝固剤を入れても汚物がうまく固まらない

など、失敗談を聞くことも多々あります。

そもそも、もしものときのための備えであるのにもしものとき使えないとあっては、安くても意味がありません。価格ももちろん重要なポイントですが、次の4つのポイントも意識して商品を選んでみてください。

【ポイント1】吸水量が多い商品を選ぶ

1つ目のポイントは、吸水量が多い商品を選ぶことです。吸水量が多ければ多いほど、トイレの交換回数は少なくて済みます。すなわち、備えておくべき防災トイレの個数が減らせます。

ただし、凝固剤で汚物を固めるタイプの場合、吸水量が書かれていないことも。その場合は、1袋当たりの凝固剤の量を確認し、凝固剤の量がなるだけ多い商品を選んでください。

成人の場合、1回分の尿を固めるのに必要な凝固剤の量は約6gとされています。これを目安にすれば、何回ごとにトイレを交換すべきか判断できます。

【ポイント2】防臭性能が高い商品を選ぶ

2つ目のポイントは、防臭性能が高い商品を選ぶこと。ごみ収集が遅れがちな災害時は、ごみを自宅で長期間保管しておかなければならない可能性が高くなります。そのため、防臭性能の高さも防災トイレを選ぶ際の重要なポイントになります。

 ・汚物の廃棄袋に防臭機能が付いているもの

 ・付属の凝固剤や消臭剤に活性炭が含まれているもの

などは特に、嫌なにおいが部屋に充満するのを防いでくれるのでおすすめです。

【ポイント3】汚物を処理する際に衛生管理ができる商品を選ぶ

3つ目のポイントは、汚物を処理する際の衛生管理にきちんと気を配っている商品を選ぶこと。水や石けんが不足しがちな災害時は特に清潔を保ちにくく、汚物に素手で触れないことが感染症対策の重要な鍵となります。

そのため、使い捨て手袋がセットになっているもの、また、中の汚物に触れないように廃棄袋をまとめられるよう工夫されたものなど、衛生管理を意識している商品は非常におすすめです。

【ポイント4】利用シーンに合わせて適切なタイプを選択する

防災トイレには主に、3つのタイプがあります。それぞれ、災害時に利用する実際のシーンを想像しながら、適切に選択するのが理想です。

図表1:防災トイレのタイプ

(1)そのまま利用可能な携帯トイレ
場所を選ばずそのままトイレが可能な携帯トイレは、5回分(約1日分)が1セットになっている場合が多いです。軽量でコンパクトなため、防災リュック(一次持ち出し品)に入れておくのに向いています。1~3日分を目安にしましょう。

(2)移動式便座付き簡易トイレ
携帯トイレと簡易便器がセットになったもので、備え付けの便器が使えなくなった場合にも座って排せつができます。簡易トイレは、耐荷重に優れており、折りたたみ式で持ち運びしやすいものがおすすめ。

トイレは避難所でも不足しがちになるので、簡易トイレ+3日~1週間分の携帯トイレのセットを二次持ち出し品(※)に加えておくのがベストです。

※二次持ち出し品は、中・長期的な避難生活を見越して、防災リュック(一次持ち出し品)に入り切らないものをまとめたものです。在宅避難が不可能な状況を想定し、在宅備蓄とは別にして、玄関などもしもの際にすぐ持ち出せる場所へ備えておきます。

(3)備え付け便器に設置する携帯トイレ
備え付けの水洗トイレに設置して使用するタイプの携帯トイレは、大容量のものが多く、在宅備蓄用として最適。1週間~1か月分を目安にしましょう。

おすすめの防災トイレは? 防災士が実際に試してレビュー

ここでご紹介した4つのポイントを踏まえて、今回は「Qbit いつでも簡単 非常用トイレ」を実際に試してみました。価格は、簡易トイレ+20回分の携帯トイレのセットで、約3000円程度でした(2025年6月30日現在)。

折りたたむと厚さ約5cm程度のコンパクトサイズに

本商品の最大のメリットは、軽量かつコンパクトである点です。段ボール製ですが、耐荷重は180kg。実際に座ってみても、安定感がありました。

段ボール製だが、座ったときの安定感や便座の座り心地は全く問題なかった

凝固剤の上から500mLの疑似尿を入れると約30秒程度で固まり、においも消える(写真右)

また、吸水性にも優れており、凝固剤1袋(10g)で約500mLの尿を固められるため、1セットで約2回分のトイレが可能です。凝固剤を入れた状態で、シロップで色と香りを付けた疑似尿500mLを注いだところ、30秒ほどでしっかりと固まりました。

携帯トイレ1セットごとに使い捨て手袋が付属し、衛生管理もバッチリ

凝固剤がしっかり固まればにおいもほぼなくなり、排せつ袋も厚手でしっかりとした作りですので、防臭機能も問題ないように感じました。さらに、携帯トイレ1セットに1組の使い捨て手袋が付属しており、衛生管理のこともしっかりと考えられています。

デメリットを挙げるとすれば、段ボール製のため、水に弱いことが予想される点です。便座カバーは付属していますが、下面は段ボールが露出した状態になるので、ぬれた場所に置いて使用しないよう注意が必要でしょう。

図表2:「Qbit いつでも簡単 非常用トイレ」メリット・デメリットまとめ

メリットデメリット

 ・軽量かつコンパクトで収納に困らない、持ち運びに便利

 ・耐荷重180kgで、男性でも安心して使用できる

 ・吸水性に優れている(凝固剤1袋10gで約2回分の尿を吸収)

 ・凝固剤は抗菌性・消臭性に優れ、排せつ袋は十分な厚さ

 ・使い捨て手袋付きで、衛生管理も徹底している

 ・段ボール製のため、水に弱い可能性あり(ぬれた場所での使用はおすすめしない)

  

どんな商品を選択しても、重要なのは必ず一度は試しに使ってみることです。においにしても使いやすさにしても感じ方は人それぞれですので、実際に使ってみないことには、災害時に使えるかどうかを判断することさえできません。本記事を参考に、できるだけご自身やご家族がストレスなくトイレができる商品を選んでくださいね。

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