忙しさを言い訳にしない!「60歳を迎える前にしたいこと」を慶應SFC研究所 上席所員が解説
「人生100年時代は、まず女性にやってきます」──そう語るのは、女性向け求人誌「とらばーゆ」元編集長で、現在はライフシフト・ジャパンの取締役CMOを務める河野純子さんです。一般的に60歳は定年とされていますが、人生100年時代においては、それは人生の一つの転換点に過ぎません。その後の40年を「楽しく働き、自由に生きる」ことが重要だと河野さんは言います。『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』(KADOKAWA)は、60代以降、好きな分野で小さな仕事を立ち上げ、90歳まで続けるために必要な心構えや準備についてまとめられた一冊です。今回は、この本の中から、会社や家族のためではなく、自分の人生を生きるために知っておきたい情報やスキルを抜粋してご紹介します。
※本記事は河野 純子著の書籍「60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし」から一部抜粋・編集しました。
「本当にやりたいこと」より「いまやりたいこと」
60歳を迎える前にすべきこと。それは「自分探しの旅」に出ることです。日々の忙しさを言い訳にせずに、自分と向き合う時間をしっかりとることです。気が重いかもしれませんが、ここで気持ちが楽になるアドバイスがあります。それはやりたいことを1つに絞る必要はないということです。「本当にやりたいこと」を探さなきゃと思うと、かなりのプレッシャーになります。1つに絞るということは、他の選択肢を捨てるということ。だから怖くて決められないのです。失敗したくない、後悔したくないという気持ちになってしまいます。
そうではなくて、いまはこれに関心がある、まずはこれから始めてみよう。それぐらいの気持ちで動き出してよいと思います。いくつかやりたいことがあるのなら、絞らずに全部やってみればいいのです。変化の激しい時代に、1つの仕事、1つの収入源に絞ってしまうことはリスクも高い。いろいろやっていれば、どれか1つは育ってくれるものです。30年という時間があるのですから、順を追ってトライしていってもよいわけです。
例えば60代はパワフルに3つのことに挑戦して、70代で2つに絞り、80代はもっともやり続けたいこと1つに絞っていくという考え方もあります。1つは経験を活かして収入も期待できること、もう1つは全くの未経験なので収入はまだ期待できないけれどこれから育てていきたい仕事、もう1つはその中間といった具合です。これから30年は月々10万を稼ぐ必要があるとすれば、60代は15万円、70代は10万円、80代は5万円という稼ぎ方も現実的のように思います。