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音楽の未来が生まれる場所・SPACE ODDから新人アーティストにフォーカスしたイベント第四弾をレポート

SPICE

ODD WAVE vol.4

『ODD WAVE vol.4』2025.04.22(tue)代官山PACE ODD

地下のライブハウスから、地上の大舞台を目指すバンドたちの夢を乗せてーー。4月22日、代官山SPACE ODDで『ODD WAVE vol.4』が開催された。サマーソニックを始め、国内の様々なフェスやライブを企画制作するクリエイティブマンが運営するライブハウス・SPACE ODD主催イベントの第4回目。今回の4組には共通点があり、すべて女性ボーカルを含む結成2、3年ほどのフレッシュな勢い溢れるバンドたち。華やかな夜になりそうだ。

シベリアンハスキー

シベリアンハスキー 撮影=SHUN ITABA

シベリアンハスキー 撮影=SHUN ITABA

先陣を切るのは、シベリアンハスキー。結成2年弱でインディーズ界隈を騒がせている注目のバンドは、美月(Vo&G)、かめ(G) 結楓(Dr)の3人にサポートベースを加えたスタイルで、シンプルなエイトビートにダンスロックの要素を合わせた痛快なサウンドで突っ走る。独特のハスキーボイスとビブラートが特徴のボーカルを中心に、「いたいよ」「星空を抱きしめて」「愛する君となら」と、ガールズバンドの枠を超えたパワフルなアンサンブル。最初はやや緊張気味に見えた表情が、最前列のオーディエンスが振り上げるコブシに煽られるように笑顔に変わる。乗ってきた。

シベリアンハスキー 撮影=SHUN ITABA

シベリアンハスキー 撮影=SHUN ITABA

シベリアンハスキー 撮影=SHUN ITABA

「新しい曲、持ってきました。ジャンプしたら楽しい曲です」

明るいオールディーズ感覚のタイトルもまだ決まっていない初披露曲から「ユー!」、そしてこの日の深夜にリリースされる新曲「落書きのような」へ、ハネたリズムのダンサブルなロックナンバーを連ねて一気に駆け抜ける。年齢も時代もジャンルもなく、ただただ好きな音とメロディをまっすぐに奏でる姿勢がすがすがしい。後味はすっきり爽やか。昨年は「JAPAN JAM 2024」や「SUMMER SONIC 2024」にも出演した逸材、さらなる飛躍の時は近い。

THE DO DO DO’s

THE DO DO DO’s 撮影=Mizuki Abe

THE DO DO DO’s 撮影=Mizuki Abe

二番手はTHE DO DO DO’s。男女のギター&ボーカルとサポートドラムの編成で、ピースサインでステージに駆け込んできた瞬間からマイワールド全開。ロックオタク特有の陽気な妖気を漂わせるクハラディ・クハラダ(Vo&G)、プラチナブロンドのショートヘアーとキュートなボイスのヒノ・ヨーコ(Vo&G)、息の合ったツインボーカルとバブルガム味の豪快ロックンロールで「わかりたい」「Hold me baby,kiss!kiss!kiss!」「夏」と一気に飛ばす。サポートドラム女子もかなりの凄腕。ビザールなギターとカールしたシールドの組み合わせもマニアック。有無を言わさずオーディエンスを乗せるパワーが凄い。

THE DO DO DO’s 撮影=Mizuki Abe

THE DO DO DO’s 撮影=Mizuki Abe

THE DO DO DO’s 撮影=Mizuki Abe

「ダンシングタイムやります!」

クハラダのギタートラブルでライブが中断しても、ヨーコがエンターテイナーぶりを発揮して盛り上げるので問題なし。後半も「In the dream」「YADA!」「もっともっと!」とノンストップ、クハラダがフロアに飛び込んで空中遊泳したり、何でもありのロック無礼講だ。N’夙川BOYSが好きらしいとあとで聞いて、なるほどと納得。2nd EP 『ボーイ・ミーツ・ガール』もリリース間近。会ったとたんに一目惚れ、せずにはいられないヤンチャな魅力溢れるバンドだ。

スランプガール

スランプガール 撮影=OTOHA

見るからに若さ丸出し、ピチピチフレッシュな存在感を見せる三番手はスランプガール。「エモかわいい」を旗印に、ツインテールのキュートなボーカル、明るく健康的なポップパンク、お揃いの振り付けで盛り上げながら、「FLUFFY」「海底スリープ」と勢いよくぶっ飛ばす。見た目とは裏腹に、さとうゆうき(Vo&G)の迫力ある中低音ボイスを筆頭に、小鍋纏(Ba)寺川颯(spGt)佐々木健太(spDr)のアンサンブルはしっかり骨太。「17」「アイスクリィムモォメント」「花の子」とエモ度を強めて、時に泣き叫ぶような歌い方でオーディエンスのハートをつかむ。

スランプガール 撮影=OTOHA

スランプガール 撮影=いか

スランプガール 撮影=OTOHA

「みんなを応援するだけじゃなくて、一緒に大丈夫になろう!」

この春から大学生になったというゆうきの、新生活の不安と期待を赤裸々に語る言葉はとても親密。ラスト曲「飲み込む氷菓」を始め、青春期の恋と生活と希望と悩みを丸ごと吐き出す歌詞は、同世代にきっと刺さるだろう。ギターの一弦が切れても構わずかきむしり、顔をゆがめて歌うゆうきの、かっこつけないかっこよさ。溌剌としたピュアさを糧に、どこまでも伸びていきそうなバンドだ。

mukeikaku

mukeikaku 撮影=SHUN ITABA

mukeikaku 撮影=SHUN ITABA

そしてこの日のフィナーレを飾る4番手はmukeikaku。サウンドチェックから楽屋に下がらず、そのままスタートしたライブは、三連符のパワフルロックバラード「やさしさ」から「仰ぐ」「ブルー」へと、独特の緊張感とダークネスを漂わせながら徐々にオーディエンスを巻き込んでいく。まな(Vo&G)の歌声は中低音の迫力とキュートさの絶妙なブレンドで、涼(B)のベースはシンプルかつストイックな安定感でバンドを支える。ドラム女子はサポートだが驚くほどに巧い。男女の区別なく、いちスリーピースバンドとしての演奏力と表現力が図抜けている。

mukeikaku 撮影=SHUN ITABA

mukeikaku 撮影=SHUN ITABA

mukeikaku 撮影=SHUN ITABA

「こんなにたくさん来てくれて、とても嬉しく思っています」

客席に外国人の姿が多いと見るや、すかさず英語でバンド紹介をやってのける、まなの才気と度胸には大物の予感がする。「微熱」「Wednesday」「dull」と、スロー/ミドルテンポのドリーミーでたゆたうような音空間の中に変拍子を取り込んでハッとさせたり、緊迫感ある演奏の最後にはにかんだ笑顔を見せてほっとさせたり。アンコールで披露した「どく」も含めて全7曲、芸術点の高いバンドが好みのリスナーにはドンズバのバンドだ。

個性派ボーカルと技巧派プレイヤーが一堂に会し、ガールズバンドの未来が明るいことを示してくれた今回の『ODD WAVE vol.4』。次はどんなテーマでどんなバンドが見られるか、『ODD WAVE』シリーズがいよいよ面白くなってきた。次回も必見だ。

取材・文=宮本英夫

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