【岡山の古墳】「牛窓オリーブ園」で古墳めぐり!?あら、こんなところに石室が♪(瀬戸内市)
古墳の宝庫岡山県では「あら、こんなところに!?」という意外な場所に古墳があって心が躍ることがあります(私だけかな…)。瀬戸内市にある人気の観光地「牛窓オリーブ園」もそんなスポットのひとつです。しかも、この丘陵地に存在する古墳の総数は57基にものぼります。今回はそれらの中から、牛窓オリーブ園内で比較的容易に見学できる古墳7つを厳選してご紹介します。
予備知識「横穴式石室」「群集墳」
・古代の墳墓において、棺を納めるための地下空間「玄室」に、真横から通じるトンネル状の通路「羨道(せんどう)」を設けて外部との出入りを容易にしたのが「横穴式石室」です。
・古墳時代の後期になると、墳丘そのものは規模が小さくなる半面、石室は大きな石を用いた精緻なものへと発展していきます。また、ひとつの山や丘陵に集中的に墳墓を築いて「群集墳」を形成することがあります。
・牛窓オリーブ園のある丘陵一帯に広がる「阿弥陀山古墳群(あみだやまこふんぐん)」では、これまでの調査で57基にも及ぶ古墳が確認されていて、それぞれに1号~57号まで番号が付与されています。
【大切なお知らせ】
記事で紹介するすべての古墳について、危険ですので石室の中には入らないでください。石室の見学は開口部の外から中をのぞき見る程度にとどめておきましょう。また、ロープが張られている場合は、それより中へ立ち入らないでください。安全のため、ご理解のほどよろしくお願いします。
「阿弥陀山39号墳」
それでは、実際に「牛窓オリーブ園」を訪れることを想定しながら順番に見ていきましょう!
まずは、園の入口ゲート付近にあるのが「阿弥陀山39号墳」です。案内看板の背後で小さな円墳がポッカリと口を開けていて、まるで古墳がお出迎えをしてくれているみたいです。
道路に面して南西方向に横穴式石室が開口しています。車がよく通る場所なので、周囲に注意しながら見学してくださいね。
「阿弥陀山38号墳」
「第二駐車場」から「オリーブショップ・展望台」へ向かう途中の斜面にあるのが「阿弥陀山38号墳」です。小規模な円墳ですが、その墳丘をはっきりと視認することができます。
草に覆われて少し分かりにくいですが、南へ向けて横穴式石室が開口しています。
「阿弥陀山37号墳」
38号墳の少し上にあるのが「阿弥陀山37号墳」です。小さな円墳で、こちらもはっきりと墳丘を視認することができます。やはり草に覆われて少し分かりにくいですが、横穴式石室が南に向けて開口しています(写真の中央あたり)。
「阿弥陀山46号墳」
「遊歩道」から「山頂広場」へ向かう途中にあるのが「阿弥陀山46号墳」です。墳丘は少し分かりにくいですが、横穴式石室が大きく開口していることは一目で分かります。
開口部から石室の中をのぞいてみると、精緻に組まれた石積みを見ることができます。使用されている石材も立派で、奥壁には見栄えのよい大きな石が配置されています。
園内のおすすめスポット「赤屋根」
せっかくなので、地元民として「牛窓オリーブ園」のおすすめスポットもご紹介しておきたいと思います。こちらは「清風亭」と呼ばれる施設で、通称「赤屋根」。レトロでオシャレな外観が目を引きます。かつては著名な画家のアトリエとして使われたこともあったそうで、ここのテラスからの眺望は最高です。ぜひ立ち寄ってみてください(通常は内部非公開)。
「阿弥陀山47号墳」
「赤屋根」の裏の道を東の方へ進むと見えてくるのが「阿弥陀山47号墳」です。樹木に覆われていますが、遠目にも円墳であることが確認できます。何とも言えない不思議な雰囲気が漂っていて、小さいながらも魅力的な古墳です。
南へ向けて開口している横穴式石室の中を少しのぞいてみましょう。自然石だけではなく、要所に加工された端正な石材を用いていることが分かります。
園内のおすすめスポット「ローマの丘」
「赤屋根」から続く道を東の方へ10分ほど進むと「ローマの丘」と「三美神広場」というエリアに到着します。ここまで足を運ぶ人は比較的少ないので、喧騒を離れてゆっくり過ごしたい方におすすめの場所です。もちろん、ここからの眺望も絶景です!ローマ風の石柱は、戦災に遭った旧三井銀行岡山支店の建材の一部を移築したものだそうです。
「阿弥陀山55号墳」
「三美神広場」に面して、オリーブの木の陰に「阿弥陀山55号墳」があります。広場の方へ向けて石室が開口しています(写真の中央あたり)。
石室の上部にあるはずの盛土が失われて天井石が露出しています。さきほどまでの古墳紹介で「墳丘を確認できる」ということを強調していたのは、このように盛土を失っている古墳が意外と多いからです。一目で古墳だとわかるくらいに墳丘が残されていることは、実はとても貴重なのです。
「阿弥陀山56号墳」
「ローマの丘」の石柱の近く、木立の中に「阿弥陀山56号墳」があります。石柱の向かって右にある大きな木の下に、石が積まれている様子が見えるでしょうか。
こちらも盛土が失われて天井石が露出しています。しかし、どのように石が組まれているかを観察できたり、天井石の巨大さを実感できたり、露出による恩恵もあるとポジティブに考えてもよいのかもしれません。ちなみに、チラリと埴輪らしきものが写っていますが、この古墳とは無関係だそうです(笑)。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回の記事で、これまであまり知られていなかった「牛窓オリーブ園」の一面を再発見してもらえたら幸いです。ぜひ、宝探しのつもりで古墳めぐりを楽しんでください。これから訪れる予定の方は、滞在時間に余裕をもった予定を組んで園内を散策することをおすすめします。歩き疲れたら、雄大な景色を眺めながらアイスクリームやコーヒーで休憩すると最高ですよ!
尚、今回紹介した以外にも園内には多くの古墳があるのですが、草木に覆われて撮影できないものがいくつもありました。これから草木が大きく成長する季節なので、今回紹介した古墳でも夏季には見学が困難になる可能性があります。その際は無理をせず「秋にまた来よう!」くらいの気持ちで、安全を最優先で楽しんでくださいね。