TaiTanが衝撃を受けた曲「灯台」「Over now」甫木元空さんが語る制作秘話。
「脳盗」改編突破!
TaiTan:ということで、脳盗始まりましたけれども。改編突破したらしいですよ。
玉置:素晴らしい。
TaiTan:おめでたいことでございますね。これでもう丸2年くらいやっていると。
玉置:おー、すごい。
TaiTan:まさかこんなに生き延びるとは思わなかった、ありがたいですね。最初なんて10分番組ですからね、脳盗なんて。
玉置:ん、ちょっと待って。脳盗ってそうなんだっけ?ガチで記憶ないけど
TaiTan:そうですよ。今でこそ30分やらして頂いてますけれども。
玉置:そうか、やべえな
TaiTan:最初は10分から。ほんとに隙間時間に始まって。なんなら1回早朝の5時半ですよ。日曜日に流されたりもありつつ、どうにか生き延びた。
玉置:そっか、確かに。
TaiTan:早朝の5時にこの番組やってた時代ってなんなの?って思うよね
玉置:双方にとって良くないよな
TaiTan:どうにかこうにか生き延びて。まあ今回の改編突破はNumber_iファンの方のおかげだと思うんですけれども。
玉置:そうか、じゃあ露骨にありがたいっすね。
TaiTan:露骨にありがとうございますという、そんな脳盗でございますけど。
今日はですね、先週に引き続きBialystocksの甫木元さんにゲストに来てもらっているので、ちんたら話している場合ではないんだということでございます。
ほんとに改変突破は、もうリスナーの方、ありがとうございます!今後とも何卒聞いてくださいよと、そんな脳盗でございます。
玉置:よろしくお願いします!
♪前TM~
甫木元さんとポッドキャスト「奇奇怪怪は聞いてるし、流通空論も聞いてます」
TaiTan:ラッパーのTaiTanです。
玉置:MONO NO AWAREの玉置周啓です。
TaiTan:ということで、先週に引き続いて今日も脳盗にゲストが来てくれております。Bialystocksから甫木元空さんです。
甫木元:よろしくお願いします。
TaiTan:いや、なんか今ね、休憩の時間に聞いたんすけど。ちょっと甫木元さん、僕らのpodcastを結構普通に聞いてくれているという事実が発覚しまして。
甫木元:流通空論とかも
TaiTan:え!?もう全部じゃないですか。だとしたら、その前提で喋ればよかった。あんな真面目な音楽ナタリーみたいなインタビューしてさあ
玉置:いや、じゃなきゃプロモーションならないだろ!あれでよかったよ。
甫木元:インタビューめちゃくちゃうまいっすよね。流通空論とかでも・・・
TaiTan:うん、なんかあんま嬉しくないですね。インタビュアーとしてやってるわけではないので
玉置:あ、そうなんだ
TaiTan:いや、でもポッドキャスト聞いてくれてるなんて、ちょっと嬉しいじゃないですかっていう。しかも、なんか聞いたら家も激近みたいなのが発覚しまして。
甫木元:はい
TaiTan:いや、たまたま出会いたいなあ
玉置:あんま思わないよ、あんまそういう心情にはならないと思うけど。普通に連絡して会った方がいいんじゃないのって思いますけど。
TaiTan:偶然出会ってみたいなあというね
甫木元:まあ、お茶でも
TaiTan:お茶でもね、上島珈琲がありますからね。黒糖ミルクがいいですから。
甫木元:ああー、いいですねえ
大丈夫か。なんか住所とか、それ。
TaiTan:なんで上島珈琲の取扱い店から逆算できるやつがいるんだよ。たくさんあるだろ。
玉置:そっか、じゃあ大丈夫か
TaiTan:えー、でもなんかちょっとその話を聞きたいですね。ポッドキャストとかもよく聞くんですか?
甫木元:そうですね。まあなんか、コロナぐらいの時ですかね。僕は埼玉県出身で、高知にじいちゃんがいて。母親がちょっと病気になって「高知に帰る」ってなって。じゃあ「別に東京にいてもなんもすることないし、高知行こうかな」と思って、それで高知行って。
TaiTan:うん
甫木元:ちょうど母親を病院に送り届けるのが大体1時間半ぐらいなんですよ。その車内で、ちょうどいいんすよね、ポッドキャストぐらいが。それをずっと聞いていて、雑談が結構好きなのかもしれないですね。
TaiTan:自分でやろうとは思わないですか?
甫木元:自分でやろうとは思わないんですけど。奇奇怪怪かとか、シンプルに思うのは、どこまでこう進行とか考えて録ってるんだろうなとか。
TaiTan:おお!
甫木元:なんかでもある程度、毎回「いや、今回こういう話をしようと思ってて」みたいのを、TaiTanさんが持ってきてるじゃないですか。
TaiTan:はいはいはいはい。
甫木元:あと、なんかデータがなくなったとか、なんか色々起きてるじゃないですか。
TaiTan:データがなくなったってあったっけな
甫木元:なんか移し忘れたかわかんないですけど
TaiTan:ああ、多分僕が消したやつですね。僕、陶芸家みたいな感覚でやってるんで。
玉置:早いんすよ、こいつ割るのが。
TaiTan:1時間半録って「面白くないわこんなの」って、その場で消しちゃうんですよね。周啓くんが隣にいて、さんざっぱら喋ったのに。俺、もうわかるんすよね、読後感で「あ、これ絶対再生されないな」って。「こんなものは世の中になくていい」つって。
玉置:なんなんだよお前!陶芸家に失礼だけどね!そんな迂闊に例示していいのか。
TaiTan:「価値がないものなんだから、こんなのは世の中になくていいんだよ」って
玉置:そんな人ばっかじゃないだろ!
甫木元:いや、実際のところどこまであれは決まってるんですか?
TaiTan:もう甫木元さんには、全てを僕が伝授しますね。
甫木元:・・・どういうことですか?
玉置:ほんとですよね、どういうことなんだよ
TaiTan:いやですね、メモに3つだけ単語というかテーマとが書いてあって。その3つをなんとなく経由すれば、まとまった回になるだろうっていう、その設計図みたいなものは一応僕のこのパソコンの中に入ってて。で、それを見ながら喋ってて。例えば、A、B、Cとあって、AからBにたどり着くまでの道順はもう自由で、どこに転がってもいい。だけど、最終的にはCに着地できるように、こう、周啓くんを誘うというか。っていうような感じでやってますね。
甫木元:その、2人の関係性含めてなんか面白いっすよ
TaiTan:ほんとですか。いや、初めて言われました。
甫木元:あ、ほんとですか。なんかすごい真面目な話するときもあれば、なんか散文的に、すごい2人の引き出しが多いっていうのもあると思うんですけど。でも、そん時に見たこととか、テーマはあるんだけど、そん時に自分たちがハマってるものを見せ合ってる感じっていうか。それを覗き見てるのが、すごいいい温度感で、いいですよね
TaiTan:うわー、嬉しいですね。先週もちょっとありましたけど、趣味とか嗜好も全然違う、菊池さんと甫木元さんのマリアージュで、ちょっと、あんまり聞いたことのない音楽になってるみたいな話で終わりましたけど。
確かにそれで言ったら、例えば周啓くんと僕とかも全く違う人間なんですよね。
甫木元:はははは!
玉置:いや、なんでそんなに笑うんですか
甫木元:いやいやいや
TaiTan:好きなものとかさ。だって「お母さん、畳、電車」みたいな。
玉置:なんなんだよそれ!赤ちゃんじゃん。お母さんと畳と電車が好きな人間、赤子以外いないんだよ。
TaiTan:あ、そうなの
玉置:いや、でもそう。僕は本当にカルチャーへの深度が本当に低くて。身の回りのものしか愛でずにここまで来てしまった人間って感じで。彼はそれに比べるともう深く鋭くみたいな。
TaiTan:「土地、権利、株」みたいな!
玉置:お前なんなんだよ、おじいさんじゃん!
TaiTan:なんで一緒にやれてんだよみたいな。お母さんが好きなやつと、株が好きなやつがなぜか一緒に喋ることによってだねみたいな。だからBialystocksみたいなものですよね
玉置:おいお前!最も不名誉な褒められ方だろ!
TaiTan:いや、まじで今Bialystocksサイドのスタッフさんの顔見れないよね。
玉置:みんな奥歯グーってなってる感じがありますけど。
甫木元:そこまで計算して、この2人でやろうみたいなのあったんですか?
TaiTan:いやいや、最初は周啓くんと会った時に。なんか言葉遣いがすごいストレンジだったんですよね。
甫木元:うんうんうんうん。
TaiTan:そう「それは何々じゃないか」みたいな。そのストレンジさがやっぱ他の人にはなかった。だから考えてることとか興味範囲が違っても、要はなんて言うんすかね「言葉を掴む握力」とか、「どこに重心を感じるのか」みたいなことが、やっぱり会話においてはリズムを作ると僕は思ってて。だから「こいつ選んでやってもいいかな」と思って。
玉置:なんだよその言葉遣い!祖父から孫への言葉じゃん。本家として選んでやってもいいかなみたいな。
甫木元:いや、すごいなんか句読点っていうか。なんかその流れの中で、2人の会話でTaiTanさんがバーって喋ってる時、なんかいい濁点をバンって打つ感じっていうか、すごい感じます。
玉置:相づちがいいって言われたことあるんですけど、「濁点」って言われたの初めてです。ついになんか「行の外」に。ありがたいよね。ごま塩として、味をつけにいってるんですよ。
でもなんかマリアージュっぽさで言うと、やっぱ菊池さんに感じるものもあるんですか。ちょっとだるい質問と言えばだるい質問ですけど。なんか変に相方褒めて欲しいみたいな意図で聞いてるのではなくて。「なんか違うな」って思ってるのと、「でもここが重なるな」みたいな部分とかあるんですか。
甫木元:なんとなく僕が好きなのは「全然自分が思ってない方向にそれる」って方が好きなんですよ。人とモノを作ってる上で、そういうことなのかなと思うんですけど。「こういう風に解釈するのか」って。なんかいろんな解釈が層みたいになってモノが作られていく方が僕は面白いなと思ってて。そういう風になるといいな、とは思っているんですけど。菊池さんは全然違うものを持っているので、ありがたい部分ですよね。
TaiTan:イニシアチブみたいなものが仮にあるとしたら、バンドとかやるので統率者って必要だと思うんですけど。強いて言うならどっちなんですかね?
甫木元:でも、菊池さんじゃないですかね、音楽的な、いわゆるツアーとかライブとかになると。ライブはライブで結構アレンジをし直して、逆にイケイケにしたりとかするんで。なんかその塩梅っていうか、それは菊池さんがやってくれて。今回はこういう風にやってこうかみたいな感じでやってくれてるんで、はい。
「灯台」は難しすぎる
TaiTan:そのライブの話で。Dos monosにも時々音響で入ってくれる岡さんがBialystocksもやっているそうで
甫木元:そうですね、はい。
TaiTan:で、「灯台」って曲あるじゃないですか。あれがもう難しすぎて、なんか「5時間くらい普通に練習したりするよ」みたいなこと言ってて。
♪「灯台」
甫木元:あれを最初にやった時は5時間じゃ済まなかったですね。ずっとあの曲ばっかで。
TaiTan:いや、でもあの曲は超変な曲だと思いますね。だって全く拍を取らせないというか。なんだけどノレるっていう、すっごい変ですよね。
甫木元:なんか自分でもたまに歌ってて、頭がぶっ壊れるときありますもん。
玉置:はははは!ダイレクトな言葉遣いだな。
TaiTan:そうそうそう。いや、てかこれね、ちょっと個人名出しちゃって申し訳ないけど、Tempalayの小原綾斗くん。
甫木元:はいはいはい。
TaiTan:最初になんかビアリーのこの曲やばいよって言ってくれたのが「灯台」で。僕それで初めて聞いたんすけど。なんだこの曲みたいな。譜割りもよくわかんないし、リズムも、全てが違う動きをしてるのに1つにまとまってるみたいな。ああいう時ってクレーム入れたりしないんですか。
甫木元:でも、なんか菊池さんもギリいけるっしょみたいな。絶対できないみたいなものは言ってはこないんで。なんとなく「これだったらギリ歌えますよね」みたいな。「レコーディングしてるんだしさ」って。
TaiTan:ハリソン山中みたいな「もっと大きなヤマを狙いませんか」みたいな。
玉置:言ってないよ!
TaiTan:「もっと複雑なコードをやってみませんか。そう、死人がゴロゴロ出るような」みたいな。発狂しそうになってるわけだから。
玉置:まあ確かに「頭ぶっ壊れそうになるって」言ってたからね
甫木元:まあ、ほんとにリズム感を入れる5時間みたいな感じでしたね。
TaiTan:そうだから、キネマ倶楽部で初めて生で聞いた時に「本当にやるんだ」と思って。生で、すごいなと思いました。
甫木元:ありがとうございます。
玉置:でもなんかバンド感があっていいね。もうちょっと、なんかユニットで。すごくなんか清潔なイメージというか。
TaiTan:確かにね、わかる。
玉置:こう、さらっとやってんのかと思ったら、むちゃくちゃバンドっぽいっていうか。そうそう、泥臭いエピソードというか。
甫木元:ほんとに、「じゃあちょっとクリック聞きながら、ちょっと1から立ち返ろうか」みたいな。
♪「Over now」
TaiTanが衝撃を受けた曲「Over now」
TaiTan:僕が1番ビアリーで衝撃を受けた曲。てか、なんなら多分去年僕が1番聞いた曲が「Over now」なんですよ。これの1番最後のCメロと呼ぶんですかね、あそこの歌のコントロール力!
玉置:君ずっと歌ってたよね
TaiTan:僕このTBSのブースで、「Over now」のあそこのCメロの部分がすごすぎるって、収録1時間止めたんですよ。
甫木元:え、なんでですか
TaiTan:全員待たせて、まさにここの席で。ちょ待てと、このCメロおかしくないかって。こんなに全て針の穴を通すように歌えるってどういうことだっつって。
玉置:てか、確かにそれ魅力の1つですよね。メロウな感じもすごいけど。新しいアルバムだと「近頃」とか。
甫木元:はいはいはい
玉置:サビの階段の動きとかも、なんかめちゃくちゃ、何て言うんだろう、ボカロとかとは違うんだよな。
TaiTan:いや、わかるわかるわかる
玉置:なんかギターのメロディーに歌詞がのってるみたいな感じっていうか。
甫木元:でも、まさに「Over now」は概念だけ最初に言われて。
玉置:概念?
甫木元:俺がいっぱいソロを弾くからって、菊池さんが。あれ、鍵盤でギターソロ弾いてるんですよ。だからちょっと多分、ギターじゃ変なんだと思うんですけど。
玉置:はいはいはい。そうですよね、メロディっぽいですよね
甫木元:鍵盤でいくつかギターっぽい音色でバーって弾いたのをめっちゃ録って、菊池さんが後で選んだのが送られてきて。「じゃ、これ歌って」って。だからそれに歌詞を乗せて、みたいな。めちゃくちゃ大変でしたけど。
なんか、向こうの海外のアーティストとか、ギターソロに乗せて歌う人とかいるじゃないですか。あの感覚が多分菊池さんの中であって。「それちょっとできるようになってください」みたいな。
TaiTan:やっぱりハリソン山中じゃん
玉置:いや、そんな怖いもんじゃないけどね。高いレベルを要求されるんですね。
♪「Over now」
(Cメロ聞いて)
TaiTan:いや、すごくないですか。どうですかご本人としては
甫木元:ほんとはこれをライブでギターソロを自分で弾いて歌えるようになれってずっと言われて、
TaiTan:本来の要求はそこなんだ
玉置:なんでハリソンの感じにまた戻っちゃうんだ。でもいいですね、めっちゃバンドですね。
TaiTan:もう本当にここのフレーズちょっとやばすぎて。耳に穴開くほど聞いてるんですけど。毎回この「1つ、2つ、3つ、4つ」って、カウントするとこあるじゃないですか。そこのつんのめり方というか、歌い方とかが、なんてコントロール力があるんだって。毎回震えるっすね。
甫木元:結構そのタイムとか、つんのめる感じみたいのは、結構菊池さんから毎回ディレクションがあって。
TaiTan:あ、そうなんですね。歌い方のディレクションもあるんだ
甫木元:「そこはつんのめった方が気持ちいいかもしんないっすね」とか、「ここは逆に早く切ってみよう」みたいな。その緩急のつけ方みたいのは明確に菊池さんの中であって。それをどうやっていくかみたいな。だからボーカル録りにめちゃくちゃ時間かかっちゃうんですよね。
TaiTan:うわー、それ立ち会いたいな。凄いですね。いやほんと「1つ、2つ、3つ、4つ」ってカウントするときに、一気にスピードがこうなんか・・・
甫木元:はいはい。多分、日本語でも普通に言っちゃうとちょっとダサくなるんすよね。そこね。
TaiTan:じゃないですか。先週の話しで、当たり前の言葉を積み重ねてるだけなのに。てかなんなら。超野暮っていうか、なんならお母さんみたいな感じじゃないですか。周啓くんの言葉でいうとね。
玉置:なんなんだよ!いやいや、俺の言葉じゃねーよ別に。お母さんはみんなの言葉だろ。
TaiTan:そう、それがこんなにかっこよく聞こえるんだって、衝撃ですね。
最後の1行だけ印象に残ればいい、全部が名言集じゃ疲れちゃうんで
甫木元:なんか嬉しいですね。これも元々菊池さんの曲なんで。英語の歌詞があって、英語のこういう感じの音の流れでいきたいっていうメモがあって。
菊池さんのデモがまず送られてきて、そこに日本語の音を聞いて乗っけるだけだと、やっぱりのぺーっとしちゃう部分が絶対出てくるんで。ちょっとした歌い方とかも菊池さんがディレクションしてくれてるんで。
TaiTan:日本語として聞き取れるのに、そして言葉はすごく平気なのに、全く野暮ったくないっていう。そうなんだけど、別に気取ってる感じもしない。
玉置:いや、だからそうね。その掴ませてくれない感じがやっぱすごいよね。「Kids」も、なんか3行目で転調っていうか、あんま行かないところにメロディーが行くんだよな。歌詞のところ、なんだっけな、そう3行目のとこでさ。
TaiTan:どっから数えてっていうのがあるんだけども
玉置:いや、1行目から数えてね。曲中に2回来るんだけど。うん、サビよりそこが目立ってるみたいな。なんかめっちゃいいなここ、みたいな。なんか「このままいけば普通に上質なポップになるのに、そこいくんだ」みたいな。しかもいやらしくないっていう。
TaiTan:そう、そんな感じで。掴ませない歌詞が羅列されながらも、最後の締めで「混沌にあくびを足せば、コントに見えてくるのさ」って、凄くこう洒落っ気のある小気味のいい、洋画のセリフのようなさ。
玉置:うんうんうん
TaiTan:うわっ洒落てるみたいな、フレーズが急にガッてくるみたいな。そんな読後感を覚えるのも、すごいいい曲ですね。
甫木元:ほんとにありがとうございます。なんかもう、最後のそこの1行残るものがあれば、他は逆に残さないみたいな。なんかそういうさじ加減も含めて、全部がそういう名言集だとちょっと胸やけしちゃうじゃないですか。
TaiTan:いや、そうですね。頑張ってる感が出ちゃいますよね
甫木元:お涙頂戴とか。そこらへんは結構2人で一番気を付けてることかもしれないっすね。「なんかちょっとそれだと、お涙頂戴すぎるな」みたいな。
TaiTan:いや、それめちゃくちゃわかります。あのね、僕、ビアリーのコンテンツは全て見ていて、なんならビアリーの動画のコメント欄までチェックしてるんですけど。
甫木元:なんでですか、それ
玉置:まあ、それもコンテンツの1つだからね
TaiTan:その中で、それこそ「幸せの回り道」のyoutubeのコメントに、あのねえ、ユーザーネーム「ry2rx」さん。
玉置:お前ラジオネームみたいに読むなよそれ!
TaiTan:ラジオネーム「ry2rx」
玉置:ラジオネームじゃないんだよそれは。youtubeのユーザー名ね。
TaiTan:その「幸せの回り道」の感想で、「泣きコードとか使わないところがまじかっこいい」って、こういうコメント残してて。いや、まさになんすよね。なんかこう、だせえこと絶対しないんですよねっていうのが通底してて。すごいいいですねって思いますね。
甫木元:菊池さんとはあんまり2人で話したことないですけど、「幸せの回り道」とか僕の曲なんですけど。やろうとすればストリングスとかばーって入れて、ある程度頑張れちゃうというか、いわゆるお涙頂戴の方に持っていけるというか。僕の曲ってすごい足し算しやすいっていうか、安易にそっちに振れちゃうものが多い分、菊池さんがすごい引き算で持ってってくれるんで。なるべく楽器の数も減らして、みたいな。まあ内容的なことも含めて、その塩梅というか、その見せ方が、多分さっき言ってくれたみたいな感じになってるんですよね。
TaiTan:そうですよね。ほんと、感情のね、なんか誘導先が常にないんですよね。なんだけど、生理的にはぐっと上がらせられてるっていう状態が、ほんとにね、うん。なんでこんなことができるのかなっていつも思っちゃうな、不思議。
甫木元:・・・なんでなんすかねえ。
TaiTan:いや、でもほんとにタネもクソもないと思うんですよね。ほんとにそれが美学とかセンスってことだと思うんで。だからビアリーっていわゆる日本の音楽シーンみたいなとこで、すごく位置づけしづらい、感覚が僕的にはあるんですけど。そこらへんってどうですか。なんかすごい、すっごい特殊な場所にいるというか。ご本人達的にはどうなんですか。
甫木元:でも、毎回編曲するときにプレイリストを作るんですよ。菊池さんがこの曲のこんなのを参考にしようと思ってるって、大体15曲ぐらいあるんですけど。その15曲も、アレンジの参考とはい言いながら、「この曲のこのドラムのところだけ、このギターの感じ、この音像の感じ」とか、なんかそういう選ばれ方で。結構もう昔の、1930年~40年ぐらいのジャズとかから、1番新しいものまでがごった煮になって。多分菊池さんの脳内で編曲されてるんで。
そのプレイリストには日本の曲ってあんまり入らずにやってるんで、その向いてる方向が多分昔からブレてないていうか。日本の音楽シーンどうこうっていうのは全く考えずに、自分が好きなもの、自分が聞いてきて好きなものをとにかく煮込ませて作ってるっていう。なんか純粋さみたいなのがもしかしたらあるのかもしれないですね。
TaiTan:うんうんうん
甫木元:僕は2019年に結成して、1枚目がでたのがコロナ中だったりもして、ライブもできなかったんすよ、当初結成した時に。だから、一緒になるバンドみたいのもあんまりなくて、だから友達はいないかもしんないですね。
TaiTan:えー、名乗りあげたいんだけど。
玉置:なんだよお前、つまんねえな言い方だな。
TaiTan:お友達になりませんかみたいな。近所でやっぱりコーヒーとか飲みたいなって思うね。
玉置:それはいいかもね。
TaiTan:ちょっとじゃあ最後甫木元さんなんか言いたいことがあれば。
甫木元:はい、なんですかね。でも、なんか、いつも音声だけで2人の掛け合いを聞いてたんで、なんか目の前で見ていてこんな感じなんだなっていう・・・
TaiTan:あれ、今アルバムの告知をして頂くつもりだったんですけど!
甫木元:まあ10月2日。新しいアルバムは是非是非聞いていただいて。ほんとにありがとうございます。
TaiTan:いや、でもほんとに僕が今1番聞いているのがBialystocksなんで。みなさんにも聞いて欲しいなと思います。
というわけで、2週にわたって甫木元さん、本当にありがとうございました。
甫木元:ありがとうございました。
(TBSラジオ『脳盗』より抜粋)