川崎大空襲80年 平和への思い新たに 市民団体、神職が慰霊祭
1945年4月15日の「川崎大空襲」から80年を迎えた中、幸区の市民団体や川崎区の神職有志による慰霊祭が営まれ、犠牲となった人を追悼し、平和への思いを新たにした。
川崎大空襲はB-29爆撃機200機が焼夷弾1万2748発、高性能爆弾72発、破砕性爆弾98発を投下し、罹災者は10万人を超えたとされる。
幸区都町の延命寺では4月13日、さいわい歴史の会が主催する「川崎大空襲被災者慰霊の会」が行われた。集いは2005年から行われ、今回で20回を数えた。この日は約10人が参列し、参列者は慰霊碑と墓へ線香などを手向けた。
中原区木月で空襲にあった吉田恵美子さん(86)が空襲体験談を披露。吉田さんは「当時は幼かったが、死を覚悟するほど怖い思いをした。今もウクライナやカザで戦争が起きている。一番は子どもがかわいそう。愚かな指導者は早く過ちに気づいて、戦争をやめてほしい」と涙ながらに訴えた。
戦後80年を迎え、戦争を経験した人の数は減少。さいわい歴史の会の並木章会長は「若い人に戦争の悲惨さや教訓を伝えていきたい。戦争は二度と起こしてほしくない」と語る。
慰霊塔前で祝詞
夢見ヶ崎動物公園にある川崎市戦没者慰霊塔では4月15日に神職による慰霊祭が営まれた。中村博行若宮八幡宮宮司、中村博基大師稲荷神社宮司ら7人の神職が慰霊塔の前で祝詞をあげ玉串を捧げたほか、平和を願う浦安の舞を披露した。
呼びかけを行った中村紀美子水神社宮司によると、川崎空襲が東京空襲や横浜空襲等に比べて知られていないことを憂慮し続けていた。記憶の風化を防ぐためにも同空襲から80年の節目を迎えたのを機に実施を決めたという。
参列した小林一さんは「こんなご時世だからこそ戦争が起こらないようにすれば」と思いを新たにした。