美しい和菓子が日本古来の世界に誘う。特別企画展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」にいってみた!【長崎県壱岐市】
大正から昭和にかけて活躍した木版画家・川瀬巴水(かわせ・はすい)。季節の移ろいを豊かに表現するべく新たな色彩や表現に挑み続け、「旅情詩人」とも呼ばれた人物である。巴水は日本全国を旅し、四季折々の風景を描いた。
壱岐市立一支国(いきこく)博物館で第73回特別企画展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」が開催されている。
そんな巴水の特別展では、巴水展の観覧にあわせて、博物館喫茶コーナーで日本古来の和菓子を楽しめるようになっている。全国から取り寄せられた美しい和菓子とともに叙情的な巴水の世界を満喫すると、いったいどんな景色が見えてくるのだろうか。
巴水の世界観に染まる空間
いざ作品を目にすると、繊細なタッチと「和」の趣を感じる色遣いに一瞬にして引き込まれた。巴水のふるさと、東京を中心とした日本各地の風景画からは日本の風景をこよなく愛する巴水の思いがうかがえた。特に印象的だったのは「水」の描写。海の水面に映る舟の揺れまでも感じさせる濃淡や曲線は圧巻だった。さすが巴「水」といったところだろうか。
見て楽しい、食べておいしい「和スイーツ」で余韻を楽しむ
巴水の世界観に浸ったまま博物館三階の喫茶コーナーに足を運ぶ。期間限定の7種の和菓子たちはどれも目を引く美しさである。
・山形県のからからせんべい
・奈良県のレモンようかん
・京都府の金箔入りようかん
・静岡県のところてん黒蜜あんみつ
・東京都の江戸富士せんべい
・茨城県の和栗ようかん
・茨城県の干し芋ようかん
迷った末に上の写真のあんみつを注文。お茶は、緑茶、ほうじ茶、玄米茶の3種から選べるので私は緑茶を選んでセットでいただいてみた。テングサの産地、静岡伊豆のところてんを使った珍しいあんみつで、コリコリ感と歯切れの良さが心地よい。さらに緑茶の茶托が伊豆のお洒落なデザインになっているというのもまた、小粋な計らいなのである。
作品から巴水の故郷や旅先を愛するこころを見て、日本を感じる和菓子を口にすると「日本っていいな」、「故郷っていいな」と魅力を再発見することにもつながったと思う。一支国博物館では1年を通して魅力的な展示会が行われている。感動と発見の宝庫、一 支国博物館に一度足を運んでみては?
写真は2025年5月4日筆者撮影
情報
第73回特別企画展「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」
期間:2025年4月18日(金)~6月8日(日)
主催:壱岐市立一支国博物館
一支国博物館公式HP:http://www.iki-haku.jp/