大磯町 「涼しい風」感じる藤村忌 地福寺で命日に開催
晩年を大磯で過ごした文豪・島崎藤村の遺徳を偲ぶ墓前祭「藤村忌」が、命日の8月22日に大磯町の地福寺(櫻井定賢住職)で開催された。約50人が参列した。大磯町観光協会主催。
櫻井住職は、「82回目の藤村忌。供養はサンスクリット語で尊敬を意味する言葉に由来する。藤村も喜んでいるのでは」とあいさつ。
大磯町観光協会の石井晴夫会長は藤村が最期に残した「涼しい風だね」という言葉にちなみ、「今日は藤村先生も感じたような風を感じられる陽気。藤村先生の遺徳を後世につなぐ役目が我々にはある」と話していた。
詩集『若菜集』や小説『破戒』『春』などで知られる島崎藤村は、1941年に大磯の左義長を見物に訪れた際に大磯の温暖な気候を気に入って町内の平屋建てに移り住んだ。2年後の8月、小説『東方の門』を執筆中に倒れ、静子夫人に「涼しい風だね」の言葉を残して71年の生涯を閉じた。大磯町は75年、藤村に名誉町民の称号を贈っている。