「シンキング」と「スローシンキング」のルアー使い分け方を実践解説 魚の活性や時間帯から考えよう
先日新しいルアーを2つ買った。同メーカーのメバリング用で、潜行レンジだけが異なるシルエットも何も同じものだ。メーカーがあえてこのように同ルアーを専行レンジ別で出している意図を知るためにも、ファンとして試してみたい。もちろんみなさまのルアー選びの参考にしてもらえると幸いである。
新品ルアー「使って知る」
購入したルアーのパッケージに書かれている、潜行レンジに注目したい。
「S」タイプがシンキング、「SS」タイプがスローシンキング。すなわち、沈むものと、ほとんど沈まないものがある。メバルは基本的に表層の魚なので、中層以深までルアーを沈める必要がない。
筆者の経験上、主には表層をトレースするだけで簡単に反応するので、表中層くらいまで沈める必要も感じていなかった。だが、大型は群れの中でもやや深いところにいるので、そのへんを狙うためにはシンキングタイプも必要とはいえる。
メバリングでの使い分け
まず、筆者が机上で考えたこの2つのルアーの使い分けを考えたい。
「S」シンキングタイプ
こちらは着水後水になじませていると、最大1mちょっとまで潜るらしい。メバルからすれば、表層の中でもちょっと沈んだところ、いわゆる「表中層」になる。
メバルがこのレンジにいるのは、2パターンだ。まずは、夕方。そろそろ浮上しようかな、どうしようかなという中途半端な時間のメバルが、このレンジをさまよっている。よって、まだ薄暗い時間はこいつがいい。
もうひとつは、魚がスレてきたときだ。一度ルアーを見せてプレッシャーがかかってくると、メバルはだんだんと沈んでくる。そのときには表層のルアーではもはや反応させることができないので、表中層を攻められるルアーの出番となる。
「SS」スローシンキングタイプ
スローシンキングといっても、実際はほとんど沈まない。水中40cm程度まで自重で落ちていくという程度だ。投げて引いていると簡単に浮かび上がるので、ほとんどフローティングミノーと考えていい。
つまり表層1本狙いのルアーである。こいつを使うのは、もちろん夜のメバルが本格化してきたタイミングだ。マヅメが終わり、プランクトンパターンないしベイトフィッシュパターンが明確となってきた頃に(大体日没1時間後といわれる)、投入する。すると、浮いてきたメバルが食ってくるわけだ。
沈んだ相手にシンキング
さて、では私が頭の中で考えた理屈を、そのまま実釣で落とし込んでみよう。どうなるか?
まずはシンキングタイプをチョイスした。時間帯は、日没直後。まだ残照が残っており、辺りは仄暗いという程度だ。こいつを足元際に投げていると、なんということか、いきなりシーバスが釣れてしまった。これはちょっと予定とは違うが、こんなこともある。
そうこうするうちに完全な夜となってしまったので、今ひとつのスローシンキングタイプのものを取り出す。数投流す。すると、どうもうまくいかないものである。またしてもこれにシーバスがついた。「あっ、大きい」とぐんぐん下に引き込む。おそらく80cm級だったのだろう、切られてしまった。
これでは検証ができないので、ここで隠し持っていた、予備の、というか私の手元にもともとあったSSタイプの色違いのカラーでいく。すると、やはり簡単にメバルがついた。夜の典型的なパターンだ。
これで、SSタイプの使い方と自説は一致したことになる。さて、Sタイプはどうするか…。
沈んだ相手に最後にシンキング
そろそろ魚がスレてきたタイミング。ここで、再び先ほどシーバスが食ってきたシンキングのミノーをつけた。十分にカウントダウンして、スローに引いてくる。早く巻いてしまうと浮き上がってしまうので注意が必要だ。
ググッと何かが引き込んだ。小さいチヌかと思ったら、なかなかのビッグメバル。
ニヤリ。思った通りの結果となった。日没直後こそシーバス襲来に見舞われ、夕方のメバルを得ることはできなかったが、やはりプレッシャーがかかった時間帯はシンキングタイプがいいと立証された。
メーカーの意図と、自分の考え方が重なって釣れると、釣りがまるで決まりきった科学的反応のように思われて楽しい。サイエンスの世界だ。理屈タイプのアングラーには、ルアーの釣り分けを大いに意識してほしい。
<井上海生/TSURINEWSライター>