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【観光列車、どれに乗る?】鉄道の達人・栗原景がおすすめ!「ベル・モンターニュ・エ・メール~べるもんた~」。国鉄車両で握りたての富山の地魚寿司を味わう特別な体験を!

さんたつ

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全国各地を走る観光列車。鉄道に精通した達人たちのイチオシは?“天然の生け簀(す)”と呼ばれる、魚介の宝庫富山湾。その海沿いを走る観光列車は車内の食事も、なにやらほかとはひと味違うらしい。ここでしか味わえない、特別な体験が待っている。フォトライターの栗原景が見どころを紹介!

栗原 景

くりはらかげり/1971年、東京生まれ。鉄道と旅、韓国を主なテーマとするフォトライター。小学生のころから各地の鉄道を乗り歩き、出版社勤務を経て2001年からフリー。

「ベル・モンターニュ・エ・メール~べるもんた~」のルートはこちら

富山湾が育んだ魚介を、列車内で、職人技で味わう

富山県の氷見(ひみ)駅に、ダークグリーンに金色の帯を巻いたシックな気動車が到着した。毎週末、城端(じょうはな)線と氷見線を走る「ベル・モンターニュ・エ・メール」、通称“べるもんた”だ。

車両は国鉄時代に製造されたキハ40形を改造したもの。車内に入ると、運転台の前で職人が手際よく寿司を握っている。

「べるもんた」では、車内で富山湾の地魚を使った握りたての寿司を食べられるのだ。水深が深く良質な水が供給される富山湾は“天然の生簀”と呼ばれ、列車旅でこれほどまでに新鮮な魚を食べられるのもこの地ならでは。美しい握りに、旅への期待が高まる。

車両は1979年に製造されたキハ40形2027を改造。
サワラやアオリイカなど地元のネタを使った、ぷち富山湾鮨と富山の逸品セット2500円。

鉄道の達人・栗原おすすめPOINT

引き締まった白身魚中心で繊細な味わい!

職人が実際に車内で握る富山の寿司。ネタは旬の素材から毎週厳選している。「お客さまと一緒に旅をしながら握れるのが楽しいです!」と職人さん。

車内に光る伝統の技術

客席は山側がむかしながらの4人掛け席、富山湾側は額縁風にデザインされた大型窓とカウンター席。扇風機もあり、国鉄時代の懐かしい風情を生かしているのがうれしい。

車内には南砺(なんと)市の伝統工芸品・井波彫刻が展示されており、きめこまやかな技術で創作された作品には列車をモチーフにしたものも。

カウンター席に座ると、間もなく氷見駅発車時刻。観光案内所の職員や駅員が、手を振って列車を見送ってくれた。しばらくして通過する氷見市海浜植物園でも、手を振る人たちが。職員だけでなく植物園のお客さんも一緒だそうだ。みんなで列車を盛り上げようという雰囲気が伝わってくる。

車内ではボランティアガイドによる沿線案内もあり、「秋になると立山連峰に雪が積もって、いっそうきれいです」と教えてくれた。

富山県の伝統工芸の井波彫刻は、250年以上の歴史をもつ。
氷見駅や沿線の氷見市海浜植物園から、地元の方々が手を振ってくれた!
氷見線は高岡市・氷見市、城端線は砺波市・南砺市のボランティアガイドが同乗。「落ち着いた雰囲気もこの列車の魅力の一つです」と、ガイドの油井美邦さん。
大阪から来たご一家も「車内で食べる寿司が楽しみでした!」。

氷見線のハイライトは、富山湾の水際を走る雨晴(あまはらし)〜越中国分(えっちゅうこくぶ)間だ。カタンカタン……とレールの響きを聞きながら食べる富山の魚。目の前の海で獲れたと思うと、味わいも格別だ。

越中国分駅で富山湾と別れると、15分ほどで高岡駅に到着。ここでも別のワクワクが待っていた。それが、氷見線から城端線への転線だ。ホームを移るだけながら、普段は走らない線路を通るとあって、レールファンの心を刺激する。

高岡駅を発車すると間もなく終点・新高岡駅。あっという間の1時間で、季節を変えてもう一度乗りたくなった。

雨晴海岸の先に浮かぶ女岩で一時停止。富山 湾の向こうは能登半島。雨晴〜越中国分間(写真=レイルマンフォトオフィス)。

鉄道の達人・栗原おすすめPOINT

男岩と女岩の間にあるカーブの眺めは絶景です。

水際を走る雨晴〜越中国分間。車窓いっぱいに富山湾が広がる。

「ベル・モンターニュ・エ・メール ~べるもんた~」列車information

● 運転日/土(城端線)・日(氷見線)
● 運転区間/JR城端線 高岡・新高岡~城端間、JR氷見線 砺波・新高岡・高岡~氷見間 全車指定席
● ねだん/運賃590円+指定席530円(高岡~城端間)
● 発売箇所/JR西日本ネット予約「e5489」、みどりの窓口、主な旅行会社
[食事]乗車3日前の17時までにVISIT富山県(https://toyama.visit-town.com/)で要予約
● 問い合わせ/JR西日本お客様センター☎0570-00-2486(9:00~19:00、有料)

取材・文・撮影=栗原 景
『旅の手帖』2024年10月号より

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