続・鉄道ファン目線で「大阪・関西万博」を行く! フランス代表団に聞く「日本の鉄道」の印象、未来の鉄道点検の姿【コラム】
【前回】
「宇宙船」400系電車や未来へのゲート・夢洲駅にミャクミャク(ワクワク) 鉄道ファン目線で「大阪・関西万博」を行く
https://tetsudo-ch.com/13000392.html
フランス館でジブリモチーフの織物を見る
大阪・関西万博見聞録、続編はフランス館での文化イベントから。イベント名は「オービュッソン宮崎駿を織る~日仏をつなぐ奇跡の糸」です。
フランス南部のヌーヴェル・アキテーヌ地方、オービュッソンというコミューン(日本でいえば村)では、伝統工芸のタペストリー(つづれ織り)が盛んです。
近年、スタジオジブリ映画が題材の織物を製作、万博では「もののけ姫」のワンシーンをとらえた作品が展示されます。筆者は取材案内をいただきました。
展示作品は縦5メートル、横4.6メートルのビッグサイズ。制作に当たっては、フランス側に宮崎監督からもアドバイスがあったそうです。
車窓の富士山やエキナカに興味津々
オービュッソンと首都・パリの間はざっと400キロというアナウンスもあったので、東京から東海道新幹線で万博入りした一行に、日本の鉄道の印象などを個別取材で聞きました。
フランスといえば⾼速鉄道のTGV。新幹線とともに世界の⾼速鉄道の⼆枚看板です。
新幹線で印象に残ったのは車窓の風景。富士山に感激したそうです。日本のエキナカにも興味津々のよう。ヌーヴェル・アキテーヌ地方観光局のクリステル・シャサーニュ会長や、オービュッソン国際タピスリーセンター(※)のヴァレリー・シモネ会長は、異口同音に「トレビアン!」を連発しました。
※タピスリーは主に壁掛け用の織物のこと
今回の来日をきっかけに、日本の鉄道や交通への認識や理解がフランスで深まればと思います。
万博で鉄道点検をプレゼン?
続けてもう一題、鉄道関連の話題。出発前、万博の催しをチェックしていたら「未来の鉄道点検」がヒットしました。
一瞬「万博で鉄道点検?」の疑問が頭をよぎり、検索ワードの「万博」を「鉄道技術展」と打ち込んだと思ったのですが、間違いなく万博。
会場では、空飛ぶクルマの離発着場に近いフューチャーライフゾーンに一週間限定のブースを見付けました(出展はすでに終了しています)。
万博で未来の鉄道点検をプレゼンしたのは、Liberaware(リベラウェア)、CalTa(カルタ)、KDDIスマートドローンのスタートアップ(ベンチャー)3社です。
千葉市に本社を置くリベラウェアは、ドローンを活用したインフラ点検を目的に2016年設立。カルタも、JR東日本のスタートアップ育成プログラムから2021年に誕生しました。
2022年創業のKDDIスマートドローンも加えた新生3社は、鉄道施設のドローン点検を「鉄道業界の未来社会デザイン」と位置付け。世界からの来場客にアピールしようと、万博参加を決めました。
会場に飛んできた鉄道点検のスズメ
鉄道では、電気や土木中心に高所作業があり、触車、感電、墜落などの危険ととなり合わせです。
高所作業をドローンに置き換えて、環境改善するのが未来の鉄道点検。2024年、国土交通省の「中小企業イノベーション創出推進事業」に採択されました。スタートアップ3社は2025年3月、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、西武鉄道の鉄道4社と協力関係を結んでいます。
ユニークなのがプロジェクト名。「SPecialized Aerial Remote Railway Observation Work platform」(「ドローンによる鉄道遠隔監視の共通基盤」といった意味です)の頭文字を取った「Project SPARROW(プロジェクト・スパロー)」。タプルミーニングのスパローは「スズメ」です。
「スズメのように都市から農村まで幅広いエリアに生息。日本の鉄道界にとって身近な存在になる」の思いを込めました。
アポなしだったので、先方も「まさか取材されるとは」とぴっくり。2025年11月に千葉市の幕張メッセで開かれる、「鉄道技術展2025」での再会を約束して、ブースを後にしました。
JR西日本と近鉄のオフィシャルショップ
ここからは前回書き漏らした情報を短信で。新しいモビリティ(移動手段)では、地元大阪のダイハツ工業が開発した、1人乗り「e-SNEAKER(イー・スニーカー)」がシニアなどの足として会場走行します。いわゆる電動カートで、最高時速4キロと歩くほどの速さ。1回の充電で最長12キロ走行できます。
西ゲート近くには、はJR西日本グループと近鉄グループ(近鉄百貨店)のオフィシャルショップ。メトロ夢洲駅は東ゲートです。西ゲートへのアクセスは、JRゆめ咲線桜島駅からの直通シャトルバスが基本です。
オモロイ大阪旅「大阪DC」も展開中
一般紙や他サイトにない鉄分多めの万博ルポは以上。ご覧いただきありがとうございます。
今回、鉄道会社の出展はありませんが、前コラムの大阪メトロのように鉄道ファンも楽しめるメニューがそろいます。
さらにJRグループ旅客6社と大阪府、大阪市、堺市、特別参加の大阪メトロ、近鉄、京阪、南海、阪急、阪神の関西私鉄6社などを中心に2025年4月1日~6月30日、全国規模の大阪デスティネーションキャンペーン(大阪DC)「来てな!オモロイがいっぱい大阪旅」を展開中です。
万博観光がてら関西のJRや私鉄を乗り鉄・撮り鉄すれば、大阪DCのキャッチフレーズそのままに「オモロイがいっぱい大阪旅」を心ゆくまで味わえるでしょう。
記事:上里夏生
(本コラムは2025年日本国際博覧会プロモーション局広報部の許可で取材しました)