フィジーを訪ねて~作家・秋山秀一「旅の記憶(40)」
訪れた国や地域90以上、海外への旅は230回。旅行作家の秋山秀一さんが、自身で撮影した写真とともに、世界の街を歩いた思い出をつづります。
旅行作家、元東京成徳大学教授、NHK文化センター講師。日本エッセイスト・クラブ常務理事、日本旅行作家協会会員、日本外国特派員協会会員。『鎌ケ谷 まち歩きの楽しみ』『世界観光事情 まち歩きの楽しみ』『ウクライナとモルドバ』『旅にでる、エッセイを書く』など著書多数。鎌ケ谷市在住。鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)会長、鎌ケ谷市都市計画審議会会長。
「ブラ」の挨拶が飛び交うサンゴ礁の島
ナンディ国際空港から南へ約9km、ナンディの街へ向かう。
車に乗ると、「ブラ」。ドライバーが真っ先に、こう言った。
こちらもつられて、「ブラ」。ブラとは「こんにちは」といった意味の、親しみを込めた日常的な挨拶。
年間平均気温は約25℃。
フィジーは、常夏の、サンゴ礁に代表される美しく豊かな自然のあるリゾートアイランドである。
土地の人で賑わうマーケットを歩く。
店の人と目が合う。すると、「ブラ」。すぐに声がかかり、笑顔が返ってくる。
ヤンゴーナという胡椒科の木の根が積んである。
これを粉にして水に溶かすと、フィジーの国民的な飲み物、カバになる。
フィジーの日没を見ながら至福の一杯
周辺の島々へは、小さなプロペラ機に乗って行く。
上空から眺めるサンゴ礁は、実に壮観。
海岸線に沿って連綿と広がるサンゴ礁。
色はブルー。弧を描くもの、島の周りを飾るもの、形はいろいろだ。
海辺の宿の周りには、ヤシの木が点在する。
石鹼の原料は、ココナッツ。
窓を開ける。吹き抜ける自然の風が気持ち良い。
夕焼けのきれいな日没時、庭に出て、フィジー産のビールを飲んだ。
旨い。
その味は、忘れられない。
1874年、フィジーがイギリスの植民地になった時の首都だったレブカという町がオバラウ島にある。
この町のメインストリートには、西部劇のセットのような建物が並んでいる。
『月と六ペンス』を書いたイギリスの作家サマセット・モームも、この島を訪れている。(文・写真/秋山秀一)