やる気のない部下が働くようになる「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」とは!?【相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学】
やる気のない部下がみるみる働く
仕事の頼み方にひと工夫して
やる気スイッチがなかなか入らない部下の存在は、いつの時代もやっかいなもの。しかし、仕事の頼み方1つでモチベーションを上げることができます。もし、やればできる力のある部下がやる気低下を起こしているのなら、まずは負担の大きい仕事を依頼してみて、本人が難色を示したところで本当にやってもらいたい仕事を依頼する方法(ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック)を使ってみましょう。例えば、まず「新商品のプロモーションを全面的に任せたい」と依頼します。本人が「そんな大きな仕事は無理です」と拒否反応を示したら、「では、プレゼン資料作成を担当してくれる?」とハードルを下げて本当にやらせたいことを提示し、「わかりました、やります」と言わせるのです。ポイントは「キミならできると信じているから任せるんだ」と好意をアピールする。部下は、上司のその気持ちに応えようと、やる気スイッチが入ります。こうした心の動きを心理学では好意の返報性と呼んでいます。
さらに、そのやる気をみんなの前で宣言させるという手法もあります。人は、目標を立てても自分一人ではなかなか達成できないものですが、目標を大勢の人に向けて宣言することで、努力し、達成する確率が高くなると言われています。これを心理学ではパブリック・コミットメント(誓約・公約の公表)と呼び、ビジネスや教育の場などで広く使われています。部下のモチベーションが上がってきたら、いつまでにやるか、どれくらいの量をやるかといった目標を、周囲のみんなにも聞かせましょう。オンライン会議でも活用しやすい、やる気スイッチ術の1つです。
達成体験を積み重ねて「できる!」に
あの手この手で部下を叱咤激励してみても、なかなかやる気に火がつかない時は、部下の心理状態を探ってみてください。もしかすると自己効力感が低くなってはいないでしょうか。自己効力感とは、自分ならできるだろう、がんばれるだろうと予測する心理をいい、カナダの心理学者バンデューラによって理論づけられました。
自己効力感が高い人は、どんなことにも前向きに取り組むことができます。しかし、自己効力感が低いと、自分に自信を持てず「やっても無理」「どうせうまくいかない」とマイナス思考になり、積極的に取り組むことができません。このような状態になっている人にはガミガミ言ってもムダ。それよりも、キミならできると声をかけながら、小さな達成体験をさせることが効果的です。「昼休みまでにこのデータ入力を終わらせよう」などと小さな目標を提示して、達成できたら「できたね!」とほめてあげるのです。こうした成功体験を積み重ねることで本人も「できる!やれる!」という達成感を味わい、しだいにやる気が生まれるというわけです。
「キミならできる」とおだててコントロール
低モチベーションなスタッフのやる気を
パブリック・コミットメントは大勢の前でほめることで有効的。月間の売上表をオフィスに貼っておくなどがよい。
「今月の売上 NO.1はA 君!」
おお~!来月は俺も頑張るぞ
宣言して達成するテクはビジネス以外にも使える
目指せ TOEIC800 点!(と会社の同僚に宣言)
体重マイナス5キロ!(と SNS で宣言)
週1でブログを書く!(と友だちに宣言)
【出典】『相手の心が9割わかる 大人のブラック心理学』著:渋谷昌三