住宅ローン減税とふるさと納税は併用できる?徹底解説!
住宅ローン減税とふるさと納税の併用で賢く節税しよう!
住宅ローン減税とふるさと納税は、どちらも多くの家庭に節税効果をもたらす制度として注目されています。住宅ローン減税は、住宅購入者にとって大きな家計支援となり、ふるさと納税は地方自治体を支援しながら返礼品が受け取れる魅力的な仕組みです。これらを併用することで、所得税や住民税の負担を軽減しつつ、生活の質を向上させることが可能です。
今回は、住宅ローン減税とふるさと納税の基本的な仕組みを解説し、併用する際の具体的な方法や注意点について詳しく説明します。
住宅ローン減税とは?
住宅ローン減税は、住宅ローンを利用してマイホームを購入した際に、一定期間、年末のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除できる制度です。この控除により、所得税が控除しきれない場合は、住民税からも一部が控除され、家計の負担が軽減されます。
(1) 買取再販住宅とは、住宅建物取引業者により一定の増改築等が行われた一定の既存住宅。 (2) 省エネ基準を満たさない住宅は、令和6年以降に新築の建築確認を受けた場合、住宅ローン減税の対象外。 (3) 子育て世帯:18歳未満の扶養親族がいる世帯。若者夫婦世帯:夫婦どちらかが40歳未満の世帯(令和6年12月31日時点)。 【その他の主な要件】 自らが居住するための住宅 合計所得金額が2,000万円以下 住宅ローンの借入期間が10年以上 引渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居 昭和57年以降に建築、または現行の耐震基準に適合
出典:住宅ローン減税丨国土交通省
ふるさと納税とは?寄付金額に応じた控除と返礼品の魅力
ふるさと納税は、選んだ自治体に寄付を行うことで、寄付金額の一部が所得税や住民税から控除される仕組みです。控除額は寄付金額から2,000円を差し引きした金額になります。さらに、多くの場合、寄付に対する返礼品として地域の特産品やサービスを受け取ることができます。実質負担額2,000円で特産品などが手に入るお得な制度として知られています。寄付金額は家族構成や年収によって控除限度額が決まります。
ふるさと納税で控除を受けるためには以下の方法があります。
1、ワンストップ特例制度を利用する方法
ワンストップ特例制度は、確定申告をせずにふるさと納税の控除を受けられる便利な制度です。対象となるのは「1年間の寄付先が5自治体以内」の場合のみです。寄付後、自治体から送られてくる「寄附金税額控除に係る申告特例申請書(ワンストップ特例申請書)」に必要事項を記入し、本人確認書類などとともに寄付先の自治体へ期限内(翌年1月10日まで)に提出します。これにより、所得税の控除は適用されませんが、翌年度の住民税から全額控除されます。
2、確定申告をする方法
ワンストップ特例を利用できない場合や、住宅ローン控除を受けるために確定申告が必要な場合は、ふるさと納税の控除も合わせて申請可能です。確定申告書に寄付額を記入し、自治体から送付される「寄付金受領証明書」を添付して税務署へ提出します。これにより、所得税の還付と住民税の控除が受けられます。e-Taxを利用すれば、オンラインでの申請も可能です。
両者を併用する際のポイントは?
住宅ローン減税とふるさと納税を併用する場合、所得税控除の影響でふるさと納税の限度額が変動する可能性があります。住宅ローン減税で所得税が大幅に控除されると、ふるさと納税の住民税控除枠に影響が及ぶため、事前にシミュレーションで適切な寄付額を計算することが重要です。
住宅ローン減税とふるさと納税を併用するメリットと注意点
併用することで得られる主なメリット
住宅ローン減税とふるさと納税を併用することで、所得税と住民税の両方で節税効果を得られます。また、ふるさと納税の返礼品として食品や日用品などを受け取ることで、家計を実質的に補助できます。住宅ローン返済の負担を軽減しつつ、生活の質を向上させられる点が大きな魅力です。
併用時の注意点
ふるさと納税と住宅ローン減税を併用する場合、控除を受けるためにワンストップ特例制度ではなく、確定申告をすると「控除ロス」が発生する可能性があります。
「控除ロス」とは?
住宅ローン減税は、所得税から先に控除され、控除しきれない分が住民税から差し引かれます。一方、ふるさと納税の控除額も、まず所得税から控除され、残りが住民税から差し引かれます。しかし、住宅ローン減税で所得税がすでに控除されていると、ふるさと納税の所得税控除枠が減り、結果的に控除を受けられない部分が生じることがあります。これが「控除ロス」と呼ばれる現象です。そのため、住宅ローン減税を受けている方は、ふるさと納税の寄付額を慎重に計算し、住民税の控除枠を超えないように調整することが重要です。
また、控除ロスを発生させないためには、ふるさと納税でワンストップ特例制度を利用する方法があります。
ただし、以下のケースはワンストップ特例制度は利用できず、確定申告を行わなければいけないため、注意が必要です。
・1月1日〜12月31日の間に寄付をした自治体数が6自治体以上ある方・寄付をした自治体のうち、1ヶ所でもワンストップ特例の申請書を提出できなかった方・医療費控除などの申請が必要な方・住宅ローン控除1年目の方・個人で事業を行っている方・2,000万円以上の給与収入があった方
実際にワンストップ制度と確定申告を行った場合シミュレーションをしてみましょう。
【前提条件】
年収: 400万円(夫婦共働き)所得税: 84,000円住民税: 173,000円ふるさと納税額: 42,000円(控除上限額と仮定)住宅ローン控除額: 168,000円(年収の0.7%と仮定)
ワンストップ特例制度を利用した場合
住宅ローン控除所得税から84,000円控除住民税から残りの84,000円控除ふるさと納税(寄附金控除)住民税から40,000円控除(42,000円 - 2,000円)
結果
所得税: 0円 (84,000円 - 84,000円)住民税: 49,000円 (173,000円 - 84,000円 - 40,000円) 合計税額: 49,000円
確定申告を行った場合
ふるさと納税(寄附金控除)所得税から2,000円控除(40,000円 × 5%)住民税から38,000円控除(40,000円 - 2,000円)住宅ローン控除所得税から82,000円控除(84,000円 - 2,000円)住民税から残りの84,000円控除(上限額)2,000円の控除ロスが発生
結果:
所得税: 0円 (84,000円 - 2,000円 - 82,000円)住民税: 51,000円 (173,000円 - 38,000円 - 84,000円 合計税額: 51,000円
上記のように、ワンストップ特例制度を利用した場合の方が、確定申告を行った場合よりも2,000円税額が少なくなります。これは、確定申告を行った場合に住宅ローン控除の一部(2,000円)が控除しきれないためです。ただし、この比較は簡略化されたモデルであり、実際の税額計算はより複雑になる可能性があります。また、ふるさと納税による返礼品のメリットも考慮する必要があります。結論として、住宅ローン控除2年目以降は、可能な限りワンストップ特例制度を利用することで、より多くの税額控除を受けられる可能性が高くなります。
まとめ
住宅ローン減税とふるさと納税は、併用することで大きな節税効果を得られます。しかし、ふるさと納税と住宅ローン控除を併用した際に確定申告を行うと、控除ロスが発生する場合も。住宅ローン控除の初年度など、確定申告のみでしか申請できない場合もありますが、可能である場合はワンストップ特例制度を利用しましょう。
ただし、確定申告のみしかできない場合でも、控除ロスの金額はそれほど大きくない場合がほとんどです。ふるさと納税を行うことで、返礼品がもらえるという利点もあります。控除ロスが出ても併用した方がメリットが高いため、制度をしっかりと理解して、ふるさと納税を活用しましょう。