【茅ケ崎警察防犯安心・安全特別号】「一人ひとりに届く対策を」鈴木健二署長にインタビュー
タウンニュース茅ヶ崎・寒川編集室では、茅ケ崎警察署(鈴木健二署長)の協力のもと、「警察防犯安心・安全特別号」を企画した。歳末の交通安全週間と、詐欺電話が増える年内最後の年金支給日を前に、鈴木署長は本紙のインタビューに「一人ひとりに届く対策を行っていきたい」と話し、さまざまなキャンペーンを行っていく考えを示した。
――特殊詐欺被害が後を絶ちませんが、ここにきて発生件数が鈍化してきていると聞きました。
「茅ケ崎署が管轄する茅ヶ崎市と寒川町エリアでは、昨年から特殊詐欺被害が県内ワーストでした。しかし、ここ最近でやっと発生件数が鈍化してきました」
――何が成果につながったのでしょうか。
「『一人ひとりに届く対策』を行っていることでしょうか。ペデストリアンデッキなどで行う大きなキャンペーン活動に加えて、『生活の中に沁みる』ような取り組み、例えば、スーパーに協力してもらってのアナウンスやビラ配り、朝のラジオ体操におじゃまさせてもらったりもしました。他にも、地域を良く知るまちぢから協議会や、被害者になりやすい高齢者と接点の多い医師会、歯科医師会とタッグを組んだり、包括支援センターと連携してケアマネジャーに協力してもらったり。以前の施策が市民に届いているかを検証し、署員からアイデアを募るなどして、とにかく地道な活動にも力を入れてきたのが奏功したのではないでしょうか。とはいえ、気を緩めず、他人事ではなく自分事として引き続き注意してください」
――学生などの若い力の協力もあるとか。
「文教大学と2013年に『神奈川県警察と文教大学とのサイバー犯罪の防止に係る連携協力に関する協定』を締結しました。以来、同大学情報学部情報システム学科の学生が、サイバーボランティアとして活躍しています。先日も、子どもたちに向けたネットリテラシー教育研修を行ってくれました。近年は、SNSからの闇バイト募集や、SNSに誘導する特殊詐欺も多くなっています。そのため、高齢者だけでなく若者も被害者になるケースが増えています。そこで、私たちのような年配者ではなく、インターネットやSNSに明るい学生と協力して対策を練ることで、防犯につなげていきます」
――交通安全の面ではいかがでしょうか。
「痛ましいことに、今年はすでに死亡事故が4件発生しており、事故件数は増えています。管内では相変わらず自転車と高齢者が関係する事故が多い傾向にあります。幸いにも、全国的に報じられているような高齢ドライバーによる大きな事故は、管内では発生していません。ただ高齢になって運転される方には、体力や認知機能の衰えを十分に認識し、免許の返納を考えた際には『安全運転相談ダイヤル』(#8080)にご連絡いただきたいと思います」
――自転車盗の被害も多いそうですね。
「自転車盗の約7割が無施錠で被害にあっています。カギをかけるだけで地域の犯罪件数が減るので、ぜひ徹底していただきたいです」
地域守るつながり
――昨年社会に不安を与えた強盗事件は。
「管内では、『トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)』が絡むような、類似の強盗や未遂事件は発生していません。ただ、強盗や空き巣に狙われにくくする環境づくりは大切です。犯人の多くは下見をしていると言われます。普段から地域とのつながりを強くすることが、凶悪犯罪の防止につながります」
――最後に読者にメッセージをお願いします。
「茅ケ崎署では、特殊詐欺や犯罪、交通安全対策として、一人ひとりに届く地道な対策を行っていきます。関係各所や皆さまと連携して推し進めていければと考えているので、引き続きご協力をお願いいたします」