高効率な照明を追求 省エネ実現へ奮闘 瀧住電機工業の名張工場
1947年に創業した照明器具の専業メーカー、瀧住電機工業株式会社(本社・大阪市東住吉区)は66年に奈良県桜井市に、89年に三重県名張市八幡に工場を移転。名張工場は同社の唯一の生産拠点になっている。
当初は蛍光灯照明器具を生産していたが、エネルギー有効活用の時代ニーズに合わせ、現在では年間約70万台生産の照明器具の100%がLEDに置き換わっている。
LED照明器具は電気エネルギーの使用量が少なく、従来の蛍光灯器具と比較すると、同社比で電気代が約63%カットできるという。
今回は、高効率商品の追求と、ライフスタイルに応じた多様な人材の活用など、SDGsの開発目標7(エネルギーを皆にそしてクリーンに)と12(つくる責任・つかう責任)にチャレンジする同社の取り組みを紹介する。
同社は製品企画、デザイン、設計から製造、流通・販売まで一貫して担っており、商品は自社ブランド「TAKIZUMI」で展開している。
1番目は高効率を追求する商品開発だ。1ワット当たりどれだけの明るさに変換できるかを表す「ルーメンパーワット」の数値がハイスペックモデルの「GHAシリーズ」は星5つの150を超える。
これを実現するために安定器や回路部品など基幹部品の品質改善の他、これらの部品を覆うアクリルカバーの光の透過率を上げるために「拡散レンズ」を搭載し、部屋の隅々まで均一に光が届くという仕様だ。最近では、スマートフォンや音声で操作ができる製品や、携帯の災害速報音に反応して自動点灯する製品など、便利で安全な機能を備えたものもある。
2番目は、多様な人材の活用だ。名張工場の従業員は現在約100人、うち女性が4割を占める。パートや派遣社員も多い。子育てや家族の介護が必要な人には柔軟な勤務体系を採用している。
更に障害者の雇用比率は4%を確保。能力や意欲のある人には65歳の定年を超えても雇用を延長している。
3番目は生産活動における省エネと環境配慮への取り組みだ。工場内の照明は全てLEDなのはもちろん、生産設備も省エネ性に優れた機種へ切り替えている。また、運搬用リフトも従来のエンジン式から電動式に置き換えて騒音や臭いを抑制、クリーンな職場環境を実現している。更に樹脂成形工程から出るプラスチック端材は捨てずに再利用している。
津毛定司工場長(61)は「少しずつ小さい改良を積み重ねて無駄を省き、省エネやCO2排出削減を実現すべく努力している」と話す。
本社営業部大阪営業所の川崎肇さん(49)は「伊賀の伝統工芸である伊賀くみひもをスイッチコードに使い、アロマの香りが広がる『くみ香』や、本物の和紙を使用した『提灯』など〝和のタキズミ〟を象徴する商品も多い。SDGsの取り組みや照明技術のPRを通じて会社の知名度をもっと上げていきたい」と話した。
2024年8月10日付873号22面から