「秋イカシーズン到来!」佐多岬の実釣で学ぶ初心者向けエギング基本講座【鹿児島】
10月中旬、朝夕は肌寒くなり秋の気配を感じる季節となってきた。秋は一年で最も手軽に数釣りができ、これから始めたいと思っている人や上達したい人にぴったりな季節。釣れて楽しく、しかも高級魚のアオリイカは絶品と、うれしいことばかり。今回は秋エギングのタックルやエギ、そしてポイントの選び方や釣り方を紹介したい。
秋イカ到来
春に産卵し、初夏に生まれたアオリイカは、ひと潮ごとに成長し、秋はコロッケからトンカツくらいの大きさになる。300~500gサイズが釣れ、おいしいイカの土産ができるのもうれしい季節。
警戒心がない素直なイカが多く、イカの反応を見ながらエギを操作して釣るサイトフィッシング(見釣り)は一度やったら病みつきになるほど面白い。達成感を味わうことができるし、数釣りができるのも秋エギングの魅力である。
専用タックルやエギの操作は慣れが必要だが、一度覚えると何度でも釣ることができるので、釣りやすいこの秋にエギングを始めてみよう。
エギについて
秋に使うエギは3号(9cm)と2.5号(7.5cm)。イカが普段食べている7~9cmほどの小魚(ベイト)と同じ大きさを選んであげるとよい。まずはアピール力のある3号を投げてイカを寄せる。アタリがあったり追尾してきても釣れない場合は2.5号に替えよう。
秋イカは素早く沈むエギを追いかけられないので3号でもゆっくり沈む3.0S(シャロータイプ)や3.0SS(スーパーシャロータイプ)を使うことが多い。3.0Sは2.5号とほぼ同じ速さで沈むので初心者にも使いやすい。とても浅くて根掛かりしやすい所では3.0SSがお勧めだ。スーパーシャロータイプは水深1~3m、シャロータイプは3~5m、ノーマルタイプは5~8mで使うと覚えておこう。
エギのカラーに関しては視認性がよい背中がピンクやオレンジが使いやすい。それで反応がない時はブルーやパープルに替えるとすぐに釣れることもあるので、派手なカラーと地味なカラーを両方とも準備しておくとよい。
背中のカラーに加えてボディカラーも重要で、昼間はケイムラ、夜の常夜灯下ではレッドケイムラが定番。私が3つ選ぶとしたら1つ目はケイムラのピンクかオレンジ、2つ目はレッドケイムラのブラックかパープル、3つ目は夜光ブルピン。この3つはよく釣れるのでお勧め。
タックルについて
秋エギングに使うロッドは7~8ft前後のL~ML調子がよい。75MLや77Lなどの軟らかくて短いロッドが使いやすい。秋はエギを大きく動かしてイカにアピールすることがより釣果につながるので、軽くて操作性のよい短いロッドが扱いやすい。
また軟らかいほうが2.5~3.0(号)のエギを投げやすいし、イカが掛かったときに身切れを防いでくれてキャッチ率を上げてくれる。
リールはスピニングタイプの2500番でドラグ性能がスムーズなものがよい。150~200g程度の軽量なリールを使うことでイカがエギに抱きついたときの違和感に気づきやすいし、一日シャクっても疲れにくい。
ラインは飛距離がでて感度がよいPEラインの0.6号。リーダーは根ズレに強いフロロカーボンラインの2号でPEラインの先にリーダー1mをFGノットで結節する。細いイトに慣れていない人はPEライン0.8号にリーダー2.5号など春に使う少し太いイトでも問題ない。
ポイント選び
秋のポイントは大きく2つある。1つは外敵の青物などが入ってこない漁港の内側や磯のワンドなど1~3mほどの浅場。流れが緩やかで表層にイカの群れが見えるような所だ。超浅場は大型が少ないものの、高活性の300gくらいまでのイカが多く、サイトフィッシングを楽しむことができる。
2つ目は水深が3~5mあり流れのあるエリア。堤防角の流れのヨレにイワシなどのエサが豊富で、回遊してくるイカが多い。流れが速いため満潮や干潮時の潮が緩む時間帯や、堤防角の流れのヨレができる部分を狙う。500g以上の良型を狙おうと考えるならこの流れのあるエリアがよい。
釣り方
エギングはイカを誘う「シャクリ」と、イカを乗せる「フォール」の2つの動作を繰り返す。難しい動かし方は必要なく、基本の3シャクリ&5秒フォールを繰り返すだけ。
キャストしたらエギを水深の半分から底の方まで沈めて、そこから3回シャクって5秒フォールさせる。その繰り返しで手前まで寄せてこよう。シャクリはロッドを1回動かしたときにリール1回転。それを3回連続で行う。
その後のフォールは、サオを下げてイトを張った状態でサオ先を動かさずに5秒待つ。待っている間にエギにイカが抱きつくというわけだ。
秋の小さいイカは水深3m前後の浅場にいるので、キャストしてから5~10秒沈めてからシャクり始めるのがよい。また少し大きなイカは水深5m前後にいるのでキャストしてから20~30秒沈める。
秋のイカは表層から中層を泳いでいるのでエギを底まで落とす必要はなく、決めた秒数で中層を攻めていこう。アタリに気づかずにシャクリアワセになることも多いので、イカが身切れしないようにドラグは音が鳴るくらい緩めの設定にしておくのがよい。
また、アオリイカは目が良く、エギのハリに海藻が引っかかっていると釣れないので、ゴミが付いていないか毎回確認してから投げるようにしよう。
数釣りの秘訣は3回投げて釣れなかったら少しずつ移動して釣りをすること。1か所で粘らずに1~2尾釣ったらまた別のイカを探して釣り歩いて高活性のイカを次々と釣り上げていこう。
その他装備
サイトフィッシングが多い秋エギングで欠かせない偏光サングラス。キャップと合わせて遮光すると水面のギラツキを抑えて水中の様子やイカの追尾も分かりやすい。エギングになくてはならないギアだ。ライフジャケットも着用し、安全第一で楽しもう。
佐多岬で実釣
9月下旬に本土最南端の鹿児島県佐多岬を訪れた。まだまだ暑さが残るが少しでも大きなイカが釣りたいと思い、南の水温が高いエリアを選んだ。この時期は青物などの魚の活性も高くエギにネリゴ(カンパチ幼魚)やダツ、ハタなどのフィッシュイーターが追いかけてきて、イカも捕食されまいと群れを散らすように逃げてしまう。
そのため日中はイカの追尾が少ないが、それでも青物が入ってこないような浅場や湾内、漁港の奥などをていねいに狙っていくと、ほかのエリアよりひと回り大きなサイズが釣れる。
朝マヅメの満潮時は堤防をランガンし、夜のうちに漁港内に入ってきているイカを狙う。堤防には小さなスミ跡がたくさんあり、8月から多くの釣り人がエギを投げているので、手の平サイズのイカもなかなかエギに近寄らない状況だ。
本命300gヒット
そこでエギスタBTB3.0を沖に投げて底の方まで沈ませて一気に手前まで寄せてくる。そうすると隠れていたイカの追尾があった。青物を警戒しているのか、エギを触腕で触ってはすぐに底の方へ逃げていく。カラーを替えてもエギを触るだけなので、エギスタ2.5に替えるとすぐに抱いてくれた。
イカの反応を見ながらカラーやサイズを替えて釣るサイトフィッシングはとても面白い。300gであったがこの時期の平均100gに比べると大きく、うれしいサイズだ。
午後は干潮の磯を探ってサイズアップを狙う。始めはデカイカが釣れる水深3~4mを攻めたが魚にひったくられるようなアタリがあるもののイカからの反応はない。
友人も400g手中
水深1m前後のワンドをエギスタ3.0SS(スーパーシャロータイプ)で攻めると1投目で友人にヒット。しかもサイズは400gとサイズアップに成功。その場所で私にはヒットはなかったが2人とも楽しめた。
10月後半や11月に入ると水温が下がりこのサイズの数釣りも期待できるので、また次の釣行を楽しみにしたい。
<週刊つりニュース西部版 河野剛志/TSURINEWS編>